大原彌稀院長の独自取材記事

みきデンタルクリニック

(名古屋市緑区／神沢駅)

最終更新日：2024/08/06

近隣に小中学校や公園が点在する住宅地に立つ「みきデンタルクリニック」。白を基調とした明るい院内はバリアフリーで、ユニットは半個室が2台に個室が1台。大原彌稀（おおはら・みき）院長は「歯科医院を怖い所と思ってほしくない」と親しみやすい場づくりと丁寧なコミュニケーションを心がけている。同院には家族で通う患者も多いそうで、大原院長は「患者さんに『ありがとう』と言われることが一番の喜び。やってきて良かったなと思えます」と明るい笑顔を見せる。「患者さんに丁寧に」との勤務時代の教えどおり、優しい心配りが感じられる歯科医院だ。院内のあちこちに飾られた、院長の甥っ子、姪っ子によるかわいらしいビーズ作品も目に楽しい。

（取材日2024年6月26日）

口腔外科も経験し、地元で開業
子どもから高齢者、病後のケアにも幅広く対応
スタッフ全員で丁寧な治療を実践

口腔外科も経験し、地元で開業

こちらに開業された理由やご経歴を教えてください。

当院の場所はもともと実家で、高校を卒業するまで住んでいました。この辺りは、昔は空き地が多く、中学校までは空き地を通り抜けて1分でしたね（笑）。だんだん住宅が立ち並び、今は中学校まで道路を歩いて5分ぐらいだと思います。父が医療関係者で、母からは何か資格を取るようにと言われていたことから歯科医師の道に進みました。大学卒業後、大学病院の歯科口腔外科と名古屋市内にある一般歯科医院で経験を積み、2021年実家を改装して開業しました。入り口にはスロープがあり、院内は待合室から診察室、トイレへもバリアフリーになっていますので車いすの方やベビーカーの方にも安心して来ていただけると思います。新型コロナウイルス感染症が流行しているさなかでしたので、ユニットの間仕切りを加えたりトイレのふたの開閉や手洗いを自動にしたりと、感染症対策にも努めました。

大学を卒業後、なぜ大学病院の歯科口腔外科に勤務されたのですか？

もともと外科に興味があったことと、歯科だけでなく全身管理を学びたかったことが理由です。超高齢社会になり、今後は歯科医院にも歯だけでなく体の病気を持つ方が増えるでしょうから、そのときに備えて全身に関することを学びたいと思ったのです。大学病院では口腔がんや舌がん、交通事故による外傷などの手術にも携わりました。さらに麻酔科に所属し、医科の先生が行う手術麻酔についても学びました。なので、当院にそういった病気で手術後の方が来られた場合、治療やお薬のこと、お体の調子がある程度想像できますし、経験が役立てられると思います。

クリニックでも歯科口腔外科の経験を生かしていらっしゃいますか。

最近、親知らずの相談をよく受けるようになりました。検診で親知らずに気づくこともあれば、痛みを感じて受診する方、他院で手術ができないと断られた方など、受診のきっかけはさまざまですね。親知らずを放置すると、手前の歯が磨きづらくなって、虫歯になるリスクが高まります。35歳以上になると、歯と骨が癒着して抜歯しづらくなるので、できれば早めの処置を検討したほうが良いと思います。いざ抜歯するとなると、難しいケースでは大きな病院を紹介されることもあるので、当院のような身近なクリニックで処置を受けられるメリットは大きいのではないでしょうか。19時半まで診療していますから、お仕事帰りに立ち寄ることもできますよ。

子どもから高齢者、病後のケアにも幅広く対応

こちらではどのような治療を行っていますか？

虫歯や歯周病などの治療から義歯作製、抜歯処置、セラミックを用いた修復治療やホワイトニングなどの審美歯科、さらに予防やメンテナンスまで幅広く対応しています。義歯を作る方には咀嚼機能検査をして噛む機能、嚥下の機能をチェックします。がんの放射線治療で歯がボロボロになってしまった方のケアや誤嚥性肺炎の予防を意識した口腔ケアに対応しており、食事や生活についてのアドバイスも行っています。お口の悩みがあれば、どんなことでも相談してほしいですね。

子どもの治療にも力を入れているんですね。

お子さんに対しては、フッ素塗布も行いますが、まずは虫歯にならないような生活環境が大事だと考えており、おやつをだらだら食べず時間を決めることや、できれば小学校高学年まで仕上げ磨きをしてほしいことなどを保護者の方にお伝えします。歯が磨けない時には、口をゆすいだり、キシリトールのガムを噛むのも良いですね。また正しい噛み合わせになるように、舌が下がってお口を開けたままになっているような癖があるときは癖を改善するトレーニングを指導します。それでも虫歯になってしまった時には、できるだけラバーダムというゴム製のカバーを使用して治療するようにしています。子どもは唾液が多いので、感染を防ぐためにも、薬剤の刺激を和らげるためにも、予期せぬ動きで口腔内を傷つけないためにも有用です。近年、虫歯のない子どもと、虫歯が複数ある子に二極化している印象があり、保護者へのアドバイスにも、さらに取り組んでいきたいですね。

患者さんにはどのように接していますか。

歯科医院は怖い所、痛い治療をされる場所だという印象を持つ人は多いでしょう。だから、その印象を和らげ、少しでもリラックスして過ごしてほしいんです。そのためには、治療前や治療中にどんな処置をしているのかを、リアルタイムで説明するようにしています。どの歯の、どの部分に、何をしているのか。なんとなくでも想像できたら、だいぶ恐怖も和らぐと思います。もちろん、説明されることでパニックになってしまう人もいるので、人柄を見極めながら言葉を選んでいます。世間話をすることで、お人柄に触れることができるので、何げない会話も大切にしています。

スタッフ全員で丁寧な治療を実践

スタッフの方々についても教えてください。

現在受付を含めて7人のスタッフが在籍しています。常時5人程度のスタッフがおり、チェアは3台なので、手厚く患者さんのケアができているのではないでしょうか。できるだけ同じスタッフが同じ患者さんを担当するようにしています。予約の時間も遅れないように気を配り、ストレスなく治療を受けられるようにしています。スタッフには、流れ作業にせず、丁寧に必要な処置をするように伝えています。毎回同じ繰り返しではなく、患者さんのお口の状態を見て、一人ひとりが必要なことを考えて実行に移しているため、場合によってはメンテナンスに1時間程度かけることも必要なことだと思っています。同じケアを受けるなら、なるべく来院回数が少ないほうが良いですよね。丁寧さと、患者さんの利便性を考えて、少し時間をかけるようにしています。患者さん一人ひとりの歯並びや歯磨き習慣は違うので、磨き残しなども確認しながら、必要なケアや指導を行います。

スタッフ全員でクリニックの良い雰囲気をつくっていらっしゃるんですね。

そうですね。患者さんにもそのことが伝わっていればうれしいです。口の中は、歯科医院での処置だけでは健康な状態が保てないので、どうしても家でのセルフケアが重要です。だからこそ、スタッフ一同で患者さんの歯磨き習慣がより質の高いものになるように、知恵を絞って丁寧にアドバイスをしています。細かく説明したほうがいい方もいれば、褒めてほしい方もいるでしょうから、患者さんの性格やお人柄を踏まえてコミュニケーションできるようにしたいと、いつもみんなで奮闘していますよ。

今後の展望についてお聞かせください。

私は開業時から気軽になんでも相談しやすい歯科医院にしたいと心がけてきました。おかげさまで患者さんから「ここに来るとなんでも話せそう」と言っていただけることも。そんな中で最近増えているのが、矯正のご相談です。私は矯正を専門としているわけではないので、今まさに勉強中なのですが、少しでも患者さんの悩みに応えられたらという気持ちです。現在は必要に応じて他院を紹介していますが、いつか当院でも軽度の矯正ができるようにしたいと構想していて、気長に待っていただけるとうれしいです。いつも笑顔でお迎えしていますので、お口のことで困ったことがあれば、いつでも相談にいらしてくださいね。