青山 友則 院長、青山 貴子 副院長の独自取材記事
青山クリニック
(板橋区/志村三丁目駅)
最終更新日:2026/09/14
「何かに貢献した」という気持ちは、自身の存在意義の実感につながる重要な要素であり、日々を支えるエネルギーだ。「青山クリニック」で内科を診る青山友則院長と、妻で整形外科医の青山貴子副院長は、この貢献感を職員が持つことで患者との前向きな関係が生まれ、安心して暮らせる地域につながると話す。「先生に会ったら元気が出たと言われると、役に立てたと感じて私まで元気になりますし、もっと役に立ちたいと思う。この好循環が社会を良くすると信じ、私たちは患者さんと向き合っています」と友則院長。貴子副院長とともに描く理想のクリニック像を中心に話を聞いた。
(取材日2026年5月25日)
地域に暮らす一員として、日々の気づきを診療に生かす
昭和の面影が残る温かな場所ですね。

【友則院長】志村三丁目駅から徒歩10分ほどのこの場所は、1970年代後半に開発された10数棟からなる大規模分譲マンション群で、都心へのアクセスが良い一方、緑が生い茂る自然豊かな場所です。木々の合間を縫うようにお年寄りが散歩をし、学校帰りの高校生がにぎやかに話しながら通り、テニスコートから小中学生の元気な声が響く。良い意味で昭和の温かなコミュニティーが残るエリアですね。毎年夏と秋にお祭りもあります。実は私たちもこの近くに住んでいるんです。もともと妻の実家がありなじみのある場所でしたが、自分たちが住むようになってより愛着を感じるようになりました。
ここで開業していたクリニックを継承したと伺いました。
【貴子副院長】以前診療していた先生が引退されると聞き、引き継ぐことにしました。私が幼稚園の頃から生活していた場所で、通院する患者さんの多くが顔なじみでしたから、大切なかかりつけの役割を引き継げて良かったなと。今では子どもの同級生や親御さん、両親の知り合いも来てくれます。温かなつながりの中で診療でき、ありがたい気持ちでいっぱいです。
【友則院長】患者さんと同じ地域で暮らしているとメリットも多いんですよ。例えば街中で患者さんを見かけると「この間より体調が良さそう」「楽だと言っていたけど、歩くのがつらそう」など生活の場だからこそ気づけることも多く、診察に生かしています。
患者層や主訴を教えてください。

【友則院長】内科では生活習慣病が多いですが、年代によって訴えはさまざま。お子さんも多く、昔から住んでいる高齢の方がお子さんやお孫さんに連れられて受診することもあります。
【貴子副院長】整形外科も年齢層は広く、お子さんの場合はケガ、年齢が上がると骨粗しょう症や膝腰の痛み、変形性股関節症などが目立ちます。骨粗しょう症に加えてけんしょう炎など、更年期以降の女性特有の悩みで来られる方も多いですね。薬の処方はもちろん、運動や生活上のアドバイス、栄養指導など、患者さんごとの症状や生活背景に合わせた多角的なアプローチを心がけています。
「患者よし・職員よし・社会よし」が理念
クリニックの理念をお聞かせください。

【友則院長】「患者よし・職員よし・社会(地域)よし」の医療版「三方よし」を掲げています。患者よしはもちろん「職員よし」も大切にしていることが特徴です。医療従事者は利他の精神で患者さんに尽くすべきという考えもありますが、私たちは、職員も一人の人間として尊重されるべき存在だと思うのです。自分の存在意義を感じ、前向きに仕事に向き合えてこそ、患者さんとより良い関係を育めるのではないでしょうか。こうした考えのもと、当院では「医学的緊急性を優先し、それ以外は社会や院内のルールに基づいて対応する」ことを患者さんにお伝えしています。職員を患者さんのハラスメントや過剰要求から守ることで、いつもルールを守ってくれる患者さんに対し、職員が安心感やモチベーションを保ちながら対応することができるんです。それが結果的に「患者よし」につながります。医療の持続性に「患者よし」と「職員よし」はどちらも重要です。
互いを思いやることで、より良い社会が育まれるということですね。
【貴子副院長】私も院長も患者さんと職員が思いやりのキャッチボールをすることが、より良い医療をつくりだし地域の幸せにつながると考えています。万が一患者さんが理不尽な要求をされた場合は、院長が毅然と対応してくれます。だから職員も安心して正しいことを正しいと言えるのです。中には関係が途切れる方もいますが「言ってくれて良かった」と納得してくださる方も多く、そういう様子を見ると、社会よしの一端を担えているのかなとうれしくなります。
【友則院長】1回限りの体験価値が問われるホテルやリゾートと違い、患者さんは1~3ヵ月またはそれより短い間隔で来院されます。医療機関は患者さんと長期的な関係を築く必要があるので、平等性と公平性が大切です。その上で職員が気持ち良く働き、何かに貢献できたと思える環境をつくることを起点に、より良い形で医療の持続性を高めていきたいです。
「貢献できた」と思える環境をつくるために、どんな工夫をされていますか?

【友則院長】私たちは仕事の中で創意工夫をし、誰かを支えています。こうした行動を自覚することが、その人にとっての「貢献感」を高めることにつながります。しかし忙しいと日々の工夫は記憶に残らず、仕事に追われた感覚だけが刻み込まれやりがいを見失うことも。そこで、貢献感を生む小さな種をきちんと拾えるよう、自己評価とフィードバックのシステムを導入しました。職員には、「患者よし」そして「職員よし」となるような目標を考えてもらい、その達成に向けステップを踏めるよう、日々の「貢献感」を記録してもらっています。
【貴子副院長】記録に対し、院長が職員一人ひとりと定期面談を通じてフィードバックしながら、思いをくみ取ることを大切にしてきました。その積み重ねもあって、ありがたいことに引っ越しなどを除き多くの職員が長く働いてくれています。
地域で生きる人たちの支えとなるクリニックに
診療における強みを教えてください。

【友則院長】内科と整形外科を軸に幅広く診療しているため、複数疾患をお持ちの方も院内で治療を完結できることが大きな強みです。年齢を重ねると「生活習慣病が気になるし、腰も痛い」など、両科にまたがった症状でお悩みの方も。当院であれば通院負担が軽減でき、スピーディーで適切な治療につながると考えています。
【貴子副院長】腰や背中の痛みの多くは整形外科の領域ですが、中には内科疾患が原因になっていることもあります。こうした場合、2人で話し合って原因を探り、包括的な視点で診断します。また院内には頼れるスタッフもいますので、診断の結果、整形外科治療が必要になれば、多職種によるリハビリテーションも受けていただけます。
患者さんの不安を理解するための取り組みも行っているとか。
【友則院長】漠然とした不安をお持ちの高齢者が多いと感じており、以前に「人生のしまい方」を話し合う企画を実施しました。いわゆる「アドバンス・ケア・プランニング」です。もしもの時に備え死生観をタブー視せず話すことで、不安を軽減できる側面もあると思います。また患者さんと職員がより通じ合えるよう、クリニックでハイタッチ運動をしたことも。今でもやっていますが、診察中に不安を口にしていたおばあちゃんが、最後に大きな笑顔でハイタッチしてくれるのが堪らないです。「なんか元気が出た(笑)」と言ってくれると私も元気が出ます。
【貴子副院長】患者さんの人生に寄り添う診療ができるのは、地域医療の醍醐味。私は整骨院を営んでいた母のように、人の役に立ちたいと思い医師を志しました。今も「人生で1回だけかもしれない医療との接点に関われる、医師という仕事は素晴らしい」という母の言葉を胸に仕事をしています。
今後の展望をお聞かせください。

【友則院長】「三方よし」の理念を忘れず、患者さんのため、職員のため、社会のためになるクリニックをめざします。私がルールを守ってくれない患者さんに厳しいことを言わざるを得ないときも、貴子先生が温かくフォローしてくれるので、安心して信念を貫けるんです。
【貴子副院長】院長のぶれない芯の強さは、私の尊敬するところ。何かあっても守ってくれると信じているから、私も職員も正しいことを正しいと言うことができます。しかも、診察終わりに患者さんとハイタッチをして励ましたり、親身になって話を聞いたりする院長の姿を見ているので、誰かを思えばこその厳しさだとわかるんです。私も皆さんが地域で生きていくための一助になれるよう、力を尽くしたいですね。

