武富 弘敬 院長の独自取材記事
みみ・はな・のど たけどみクリニック
(福岡市博多区/博多駅)
最終更新日:2025/02/25

2021年5月に博多駅南に開院した「みみ・はな・のど たけどみクリニック」。鼻の手術を中心に、大学病院などでさまざまな症例を経験した武富弘敬先生が院長を務める、耳鼻咽喉科のクリニックだ。患者層は小児から高齢者まで幅広く、20~40代も多いという。「風邪やインフルエンザといった鼻や喉に関わる症状を専門的に診られる耳鼻咽喉科は、もっと皆さんの身近な診療科になり得ると思っています」と笑顔で語る武富院長。患者とのコミュニケーションを重視し、誰もが安心して通えるクリニックをめざす院長に、同院のこだわりや診療内容、今後の展望などを取材した。
(取材日2021年6月30日/情報更新日2024年1月22日)
耳・鼻・喉の専門家として、総合的に健康を守る医師へ
医師をめざしたきっかけについて教えてください。

きっかけは、祖父が通っていた内科の先生でした。祖父はその先生を心から信頼し、安心して任せていました。その姿を見て、信頼される医師はこんなにもかっこいいものなのだなと感じたのを今でも覚えています。そこから漠然と医師に憧れ、中学・高校では理系科目を自然と面白いと感じるようになり、目標を高く持って医学部をめざすようになりました。
数ある診療科の中で耳鼻咽喉科を専門とされた理由を教えてください。
子どもの頃の憧れがあったため、開業医になることを前提としていました。そのため、「町のお医者さん」として内科という選択肢もあったのですが、学生時代や研修医時代にいろいろな先輩の話を聞く中で、耳鼻咽喉科が自分に合っているのかもしれないと思ったのです。というのも、一般的に医療機関にかかる理由として多いのは主に風邪だと思いますが、その際に不具合が生じるのは鼻と喉がほとんどですよね。そして、耳鼻咽喉科は耳と鼻と喉のエキスパートです。風邪に対して、確かに内科的なアプローチの方法もありますが、私は症状が出ている部位に着目し、専門的な見地に立って診ることができる耳鼻咽喉科は面白いのではないかと感じたのです。また、耳鼻咽喉科の診療は内科的な要素はもちろん外科的要素も強く、それぞれの観点から患者さんをサポートできる科として魅力を感じたのも大きな理由ですね。
勤務医時代はどのような経験をしてこられたのでしょうか。

私の母校である東京慈恵会医科大学は、耳鼻咽喉科の歴史が長い大学です。関連の総合病院での勤務医時代には、小児の手術をはじめ、鼻を専門とした手術を数多く執刀し、さまざまな経験を重ねてきました。外来の患者さんの対応と手術を自分一人で行ったり、周りの他科の先生と協力して治療を進めたり、病院の敷地内に住み込みで働いたこともありました。同世代の同じ科の先生に比べても密度の濃い時間を過ごすことができたと自負しており、その時の経験が今に生きていると自信を持って言えますね。専門は副鼻腔炎の手術ですが、耳鼻咽喉科全般の技術をしっかり磨くことができたと思います。
少しでも患者と直接話せる時間を取れるように
開院までの経緯や、患者層を教えてください。

勤務医として診療にあたる中、最初にふれたとおり、幼少期からの夢でもあった地域密着型クリニックができないかを検討し始めたのです。そして、学生時代に縁のあった博多区でその機会をつかむことができ、博多駅南のこの場所に開院することができました。もともと耳鼻咽喉科は小児や高齢の患者さんが多いものですが、当院は20代から40代の方も多く、幅広い年代の方にお越しいただいています。症状は風邪やインフルエンザが中心の一方で、花粉症やアレルギー性鼻炎といった慢性疾患に悩む方も少なくありません。誰もが安心して気軽に通えるクリニックを目標に、患者さんのお悩みをしっかり把握してベストな解決策を提案できたらと思っています。
診療体制・設備において、特徴やこだわっている点をお聞かせください。
診療における特徴の一つが、補聴器専門の外来を設けていることです。勤務医時代にこの分野の外来立ち上げから診療まで担い、知見を深めることができました。その経験を今、十分に生かせていると感じます。診療に欠かせない防音室や各種機器も整え、少しでも聞こえに悩む方のお役に立てればと思っています。また、耳鼻咽喉科用のCTも開院時にこだわってそろえたものです。鼻の手術を行っていた経験から、正しい診断・治療のためには必須だと思い導入しました。クリニックで置いている所はまだ少ないのではないでしょうか。他にも安心して通院いただく一環として、バリアフリー構造を取り入れ、広いキッズルームも備えています。待ち時間の軽減にも注力し、無線LANの提供や雑誌を置くといった取り組みはもちろん、患者さんが多い土曜日は月に複数回、外部から招聘した医師と2人体制で診療を行うように努めています。
診療時に心がけていることについて教えてください。

患者さんとのコミュニケーションや良好な人間関係があって初めて、良い治療ができると思っています。そのためにも、まずはあいさつと自己紹介、そして日々の対話が重要です。そうした時間を取るために、当院では私がパソコンに向かってカルテを記入するようなことはせず、患者さんと向かい合ってお話ししながら診察する時間を第一にしています。カルテを記入する専門のスタッフに同席してもらうことで、その環境を実現しました。限られた時間の中で少しでも患者さんと対話をするには、そうした体制が必要だと思ったんです。また、わかりやすい説明と納得感も大切にしています。診療に納得していただければ、継続的な治療が必要な場合も取り組むモチベーションが生まれやすいでしょう。時には図や表も用いて説明し、皆さんの症状やライフスタイルに合わせた治療のご提案ができるよう心がけています。「来て良かった」と感じていただけたらと思っています。
地域に根差した、身近なクリニックをめざして
耳鼻咽喉科にはどのようなときに通院を検討すると良いでしょうか。

なんとなく体調が悪くて「風邪かな?」と内科に行くように、耳・鼻・喉に違和感や痛みなどがあったら気軽にお越しください。耳鼻咽喉科は本来どなたにも身近なクリニックだと思っています。先述したとおり、皆さんにとって身近な風邪も症状は鼻や喉を中心に出ますよね。その時に鼻・喉の専門家の観点から診療できるのが耳鼻咽喉科の良さです。また、「耳掃除がしづらくて」といったご相談でも構いません。外耳道の入り口は本当に小さいので、耳の中を傷つけずに耳掃除をしたり、炎症や耳垂れなどの問題が起きないようにしたりするためにも、耳鼻咽喉科を頼ってほしいと思います。他にも、耳の聞こえが悪く補聴器を検討するときはもちろん、耳・鼻・喉に関わることであれば些細なことでもどうぞご相談にいらしてください。説明を聞いて安心していただけるようにしっかりお話しいたします。
その他、クリニックで取り組まれていることを教えてください。
スギ花粉症やダニアレルギーの方に舌下免疫療法を提供しています。今まではアレルギーを抑え込む目的の治療法が多かったのに対し、この方法ではアレルギーの原因物質をごく少量ずつ体内に取り入れることで、アレルギー反応を弱めることをめざします。症状を根本的に治療するための方法として注目されている一方で、治療期間が数年かかるため、私やスタッフが丁寧にサポートしていきます。また、睡眠時無呼吸症候群の診療も行っています。自宅で睡眠の状態を測定できる機械を貸し出し、その結果をもとに今後の治療を判断します。状況に応じて専門的な検査機関をご紹介の上、精密検査を受けていただくこともありますね。マウスピースやCPAPと呼ばれる機器を用いる治療が一般的ですが、寝る姿勢をアドバイスするだけで改善が見込めるケースもありますので、自覚のある方やご家族にいびきなどを指摘される方は一度相談にお越しください。
最後に今後の展望をお伺いします。

ちょっとしたことでも気軽に相談できるような、地域に根差したクリニックをめざしています。患者さんもスタッフも、皆に笑顔があふれるように、真摯に向き合う治療やコミュニケーションを大切にしている点は開院以来変わりません。当院のスタッフはとても患者さん思いで、その気持ちは私より強いのではと思うほどなんですよ。また、地域のイベントなどで医療に関する勉強会などがあれば、お役に立つ情報を伝えるといった啓発活動にもぜひ取り組みたいと思っています。幅広い症状を診る地域のかかりつけクリニックとして、信頼するスタッフとともに地域の皆さんに貢献できるよう今後も頑張っていきたいです。