中尾 美鈴 院長の独自取材記事
なかお歯科クリニック
(宇和島市/宇和島駅)
最終更新日:2021/12/08

2015年に開業した「なかお歯科クリニック」は、地元愛媛出身の中尾美鈴先生が院長を務める歯科医院だ。中尾院長は大学時代を北海道で過ごし、10年以上に及ぶ勤務医生活を神奈川で過ごした経歴の持ち主。長年の経験と勉強を通じて予防歯科の重要性を痛感、現在も日々の診療で定期的なメンテナンスの大切さを啓発すると同時に、歯周病を専門とする歯科医師として、歯周病の早期発見・治療にも精力的に取り組んでいる。「自分の歯を残す、守ることが一番大切」。熱く明るい口調でそう話す中尾院長に、予防歯科へのこだわりや診療ポリシーについて、大いに語ってもらった。
(取材日2021年10月14日)
経験と勉強を積み、予防歯科の大切さを痛感
予防歯科に注力されているとお聞きしています。

ええ。まったくの私見ですが、歯科医師の究極の理想は「治療をしないこと」だと思っています。患者さんのお口の中を、治療の必要がない健康な状態に保つことができれば、わざわざ治療しなくて済むわけですから。そのために大切なのが、患者さんに予防の意識を持ってもらうこと。自分の歯に興味を持ち、口の中の健康状態をこまめにチェックし、定期的なメンテナンスを心がける。そのような習慣を患者さんに植えつけていくことが、歯科医師にとって大切な仕事の一つだと思っています。
先生はもともと、予防歯科に興味があったのでしょうか。
予防歯科の重要性に気づいたのは、歯科医師として働き始めてからです。大学卒業後に勤務医として10年以上働いてきたのですが、その歳月の中でたくさんの経験を積み、インプラント治療などさまざまな分野の勉強を重ねた結果、「予防歯科こそ第一」という結論に達したんです。生涯を通じて、自分の歯でおいしくものを食べる。シンプルですが、これに勝る喜びはないと思うんです。そして、自分の歯を守るために何より大切なのが、病気を未然に防ぐための取り組み、つまり予防です。治療の際も、できるだけ患者さんご自身の歯を残すことを最優先に考えていますので、極力削らない、抜かない治療を心がけています。
歯周病をご専門にされているそうですね。

歯の健康を阻害する天敵の一つが歯周病です。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」の格言に則り、まずは敵のことを知ることが大切と考え、歯周病について改めて勉強を始めました。勤務医として働き始めて10年がたった頃です。それからは働きながら大学の専科で学ぶ日々を重ねました。歯周病のリスクは30歳代から高まり始めます。自分の歯を守るためにも、早め早めのケアをお勧めしています。
長年の勤務医経験を経て、故郷での開業を決意
先生が歯科医師をめざしたきっかけを教えてください。

幼い頃から医療職に興味があったんです。数ある医療職の中から、なぜ歯科医師を選んだのかについては……正直あまり覚えていません。自分のことなのですが(笑)。動機は定かではありませんが、とにかく歯科医師をめざすことを決め、高校卒業後は、北海道大学の歯学部に進学しました。北海道は生まれ育った愛媛とは、気候も風土もまるで違う。別の国に来た感覚でしたね。大学生活は、楽しかった思い出しかありません。とにかくエンジョイしていました(笑)。自分の人生の中でも、いつまでも記憶に残る大切な時期の一つだと思います。
大学卒業後は、どのようなキャリアを積まれたのですか。
先ほども少しお話しさせていただきましたが、大学卒業後は、勤務医として経験を積んできました。神奈川県にある歯科医院で、10年以上にわたって診療にあたりました。とても充実した時間を過ごしていましたので、その頃は、開業する意志はまったくありませんでした。ただその後、愛媛出身の方と結婚することになり、生まれ育った街との断ち難い縁を強く感じ、地元に戻り開業する決意をしたんです。
こちらに来院される患者さんはどのような方が多いのでしょうか。

老若男女、さまざまな世代の方にお越しいただいていますが、特に多いのが30~40歳代の方々です。この世代は、歯周病の早期発見・治療において、とても重要な年代。早い段階から予防意識を持つことの大切さを、日々、懇々と説いています(笑)。妊婦健診の時からお越しいただき、出産後、親子そろって通院されているご家族もいらっしゃいます。60歳以降のご高齢の方も多くいらっしゃいます。90歳を過ぎて、今なおご自身の足で歩いて来院される方もいるんですよ。当院の立地するエリアは、歯科医院が少ない地域ですので、「この場所で開業してくれてうれしい」という、私にとってもうれしい声を頂く機会も少なくありません。そんな声を耳にすると、「この街に帰ってきて良かった」と心から感じますね。
負のイメージを払拭できる歯科医院をめざして
こちらの特徴を教えてください。

特に意図したわけではないのですが、当院のスタッフは全員女性なんです。手前みそですが、こまやかな気遣いや配慮ができる歯科医院だと自負しています。そして当院のスタッフは皆、とても明るくフレンドリー。当然、私も含めて(笑)。そんな雰囲気を心地良いと感じていただけているのか、繰り返し来院してくださる患者さんも少なくありません。一人でも多くの患者さんにとって、当院が「気兼ねなく相談できる場所」になることが、これまでも、これからも変わらない目標です。
患者と接する上で心がけていることはありますか。
患者さんにとって、当院が「嫌な場所」にならないような診療と言動を心がけています。残念ながら、多くの人にとって今なお、歯科医院は「怖くて、痛くて、嫌いな場所」だと思います。事実、「以前から自覚症状があったけれど、痛い治療が嫌だから行きたくなかった」「他の歯科医院に行っていたけれど、つらい治療に耐えられず途中から行くのをやめてしまった」と話す患者さんが、当院にも多数いらっしゃいます。そんなネガティブな感情を持って来院される患者さんの、歯科医院に対するイメージを少しでも変えたい。そんな志を抱いて、日々の診療に取り組んでいます。その結果、「ここなら通えそう」といった声を頂くことが、何よりも私たちの励みになりますし、より良い診療を提供しようというモチベーションにもつながります。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

とにかく「自分の歯を大切にしていただきたい」。その一言に尽きます。歯科医療は日進月歩のスピードで進化していますが、生来持っている歯以上のものを作り出すことはできません。そして、そんな貴重な歯は、高い予防意識と定期的なメンテナンスの習慣を身につけることで、生涯を通じて守ることが十分に可能だと考えています。また最近では、口腔環境と糖尿病・認知症といった全身の疾患との関連性についても注目されています。年齢を重ねても、自分の歯でおいしい食事を楽しむ。そんな豊かな生活を通じて全身の健康も守る。そんな人生をすべての患者さんに送っていただきたいと思いますし、そのサポートをすることが当院の役目だと認識しています。どんな些細なことでも構いません。重大事になる前に、何かお困り事がありましたら、ぜひ当院にお越しいただければと思います。