先天性の口唇裂・口蓋裂
医科と連携し、審美・機能面の改善を図る
卓Familie歯科・矯正歯科
(西宮市/西宮北口駅)
最終更新日:2021/10/12


- 保険診療
日本人ではおよそ500人に1人の割合で生まれるという口唇裂(こうしんれつ)・口蓋裂(こうがいれつ)。近年では治療法も確立されつつあるが、見た目や機能面の問題の改善・解消を図る上で何よりも大切なのは、適切な時期に適切な治療を受けることだと「卓Familie歯科・矯正歯科」の山本卓院長は言う。口唇裂・口蓋裂の治療は医科と歯科の連携のもと行われるが、上顎の発育が不十分であったり、歯の生え方に異常があったりするケースには、咀嚼や言語機能の改善を図るために矯正治療を行う。身近な町のクリニックでありながら、専門性を要する口唇裂・口蓋裂に対して包括的なサポートを行う山本院長に、形成外科や言語聴覚士などの多職種と協力しながら行う口唇裂・口蓋裂の治療について話を聞いた。
(取材日2021年5月27日)
目次
出生直後から成人頃まで家族とともに伴走する。成長に合わせ、計画的かつ適切な治療を
- Q口唇裂・口蓋裂とはどのような病気でしょうか?
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A
▲口唇裂・口蓋裂に対して包括的なサポートを行う山本院長
赤ちゃんの口唇(こうしん)や上顎の口蓋(こうがい)に生まれつき裂が見られる状態です。お母さんのおなかの中にいる間に、左右に対で顔のもととなる組織が発生し、それが中央に癒合することで顔の中央部分にある口と鼻が形成されますが、何らかの原因でこの癒合がうまくいかず、中央部分に裂として残ってしまうのが口唇裂・口蓋裂の原因とされています。唇や、口蓋と呼ばれる口の中の天井部分、歯茎など、割れ方のタイプや程度はケースによってさまざまです。
- Q口唇裂・口蓋裂で生まれるとどのような問題がありますか?
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A
▲治療機器も充実
生まれたばかりの赤ちゃんが最初に直面するのが哺乳の問題です。口唇や上顎の裂け目から空気が漏れてしまい、口の中を陰圧にして母乳を吸い込むことが難しく、うまく哺乳ができません。歯が生える時期になると、上顎の発育が不十分なことが歯並びや噛み合わせに影響し、歯の本数が足りないということも少なくありません。また症状によっては「言葉が鼻に抜ける」「発音がはっきりしない」など正しい発音が難しい場合もあります。このように、口唇裂・口蓋裂にはさまざま機能的側面があるため、形成外科や耳鼻咽喉科、産婦人科などの医科の診療科や、言語聴覚士などと連携を密に取りながら、チームでアプローチしていくことが必要となります。
- Qこちらでは口唇裂・口蓋裂に対し、どんな治療を行っていますか?
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A
▲在籍する言語聴覚士やスタッフとともにサポートする
当院では早ければ生まれた当日に産科に伺い、やわらかい樹脂で作った上顎にはめるプレート(ホッツ床)を作製します。赤ちゃん用の入れ歯のイメージですね。その上で、赤ちゃんが自分の力で無理なく飲める専用の哺乳瓶などを使って、お母さんに授乳指導を行います。口唇裂・口蓋裂は、形成外科や耳鼻咽喉科、口腔外科などと連携を取り、適切な時期に適切な治療を行っていきます。歯科の役割としては、早ければ4~5歳から矯正治療を始めますが、それまでに虫歯にならない口腔環境を整えることも、歯科の重要な役割です。
- Q治療の流れや他科との連携について教えてください。
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A
▲言語聴覚士や他科とのチーム医療でサポート
症状や程度によって異なりますが、大まかな流れとしては、生まれたらまず、先ほどお話しした哺乳を助けるためのホッツ床を作製します。口唇、鼻を形成する必要がある場合は生後3ヵ月頃、口蓋を形成する必要がある場合は1歳半頃に形成外科または口腔外科の医師が手術を行います。早ければ4歳頃から歯科で矯正治療を開始し、その間も虫歯の管理や、言語聴覚士による言語管理を並行して進めていきます。骨格的な問題がある場合は青年期に再度手術を行うこともあります。このように生まれてから成人する頃まで、医科・歯科・言語聴覚士がチームでサポートしていきます。
- Q貴院にも在籍する言語聴覚士の役割についても教えてください。
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A
▲同院には言語聴覚士が在籍する
言語聴覚士は、出生直後から授乳や離乳食指導、人の話し声や周囲の音が聞こえているかの聴覚のチェック、言葉が出始める1歳頃から言葉の発達をチェックや構音訓練を行い、成長とともに言葉数が増えているか、言葉に変わりがないかなどを評価します。そして、正しい発音の仕方の習得を目標に、医師や歯科医師と相談しながら訓練やアドバイスを行います。生まれてすぐから成人する頃まで長いお付き合いになるため、ライフステージに応じて保護者の不安や疑問に寄り添い、定期的に評価を行いながら本人とご家族が治療のゴールを迎えられるように支援しています。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。