円山 茂樹 院長の独自取材記事
まるやま整形外科リハビリクリニック
(宝塚市/宝塚南口駅)
最終更新日:2025/09/12

阪急今津線、宝塚南口駅より徒歩5分、駐車場も7台完備されている「まるやま整形外科リハビリクリニック」。2021年に4月に開業した同院は、広々として窓から光が差し込む心地良い空間だ。院長の円山茂樹先生は、大学病院や大規模病院で数多くの整形外科の手術を担当してきた経験からリハビリテーションの重要性を痛感し、同院を開業。術後の回復のためのリハビリテーションだけでなく、手術回避やケガを防ぐためのリハビリテーションも重要視している。話すだけで明るさと誠実さを感じさせる円山先生に、めざす医療形態やリハビリテーションについて話を聞いた。
(取材日2022年12月7日)
手術を決める前に、できることがあるのではないか
開業した経緯を教えてください。

大学病院などを経て兵庫県立西宮病院で18年間勤めていました。そこではクリニックから紹介された患者さんの手術をしており、手術が終わって退院になると、クリニックに逆紹介してその後のリハビリテーションをお任せします。その度に手術をした患者さんがどういうふうにリハビリテーションをしているのか気になっていましたし、その過程を自分の目で見たいという思いもありました。また、紹介する先に理学療法士がいない場合、十分なリハビリテーションができるのだろうかという疑問もありました。それならば、理学療法士と一緒に手術後の患者さんを引き受けられるクリニックを自分でつくろうと開業を決意しました。
手術後の患者さんを任せられるような、理想のクリニックをつくりたかったということですか?
そうですね。私はこれまで手術を中心に診療を行っていましたが「手術前にも症状の改善のためにできることがもっとあるのではないか」と常々思っていました。例えば変形性膝関節症や変形性股関節症などの患者さんは、クリニックの医師が治療して症状の改善が見込めなければ、手術のため病院に紹介します。しかし、診察してみると手術するには全身状態が良くないケースや、痛みはあるけれど変形がそれほど強くないようなケースも多く、もう少し筋力トレーニングやストレッチなど保存的治療をすることで、手術をせず改善が見込めるのではないかと思うこともありました。このように、リハビリテーションによって、手術を回避できるようにしたいという思いもありました。
リハビリテーションは手術後だけでなく、手術回避にも重要なのですね。

手術が必要か否かの見極めも、病院に行く前にクリニックで十分診断できるはずです。また、手術以外の治療を試せるという意味でもリハビリテーションクリニックは必要です。リハビリテーションのための機器、けん引も低周波も有用だと思いますが、やはり理学療法士からストレッチや筋力トレーニング指導を受けるということが重要だと思っています。今、当院では理学療法士が3人在籍しており、患者さんの症状把握などに細かく対応してもらっています。私が診察室で話す時間よりも、患者さんと長くお話しする機会があるので、診察中に十分聞くことができなかった情報を理学療法士にフィードバックしてもらうこともありますよ。他にも定期的にリハビリテーションカンファレンスを設けて、特に治療が難渋している患者さんの情報をスタッフ全員で共有して、患者さんの症状改善に努めています。
患者と画像を共有して、治療を見える化
治療で心がけていることはありますか?

整形外科では、患者さんの多くは痛みで来院されます。その際、痛みの原因がどこからきているかを画像だけに頼る診察はもちろんせず、患者さんの理学所見も重要視して、どういう筋力低下があるのか、関節の可動域がどう悪いのかなど総合的に診察します。また、患者さんにはご自身の症状、これから行う治療に関して深く理解してもらえるよう、画像を見てもらうようにしています。例えば、ブロック注射の際には、超音波で実際に患部の画面を見てもらいながら「これが骨で、これが筋肉で、炎症が起こっている箇所がここなのでここに注射しますよ」と言い、針が入っていくところをオンタイムで見てもらいます。説明しながら同時に治療ができますし、患者さんと情報を共有することで、病状に対する理解や痛みの原因、どういうふうに悪いのかを納得してもらいやすくなります。
完治しない運動器疾患に対して、どんな治療の工夫をされていますか?
現存する後遺症、治療できない痛みをゼロにすることは難しいかもしれません。しかし、今できる限りの筋力トレーニングをすることによって、腰椎・脊椎の関節の不安定を解決して、症状の緩和に最大限努めるようにしています。当院に来ている時間だけがリハビリテーションではありませんので、ご自宅でも注意する事柄や、必要な筋力トレーニング、柔軟体操は患者さんにも協力をお願いしています。ご自宅で行ってほしい筋力トレーニングに関しては、私が図解入りのパンフレットを数種類作成していますので、それを渡して「3回3セットしてください」などとお伝えします。時には診療時に目の前で行ってもらい、できていることをたたえたり、手直しをしたりしてやる気を維持してもらっています。痛みを全部取るのは難しいです。しかし、痛みによって今までできなかったことを、少しでもできるようにするために維持訓練は大切だと思います。
お子さんの患者さんも多いそうですね。

宝塚という土地柄、サッカーや野球のクラブチームがたくさんありますので、小学生や10代のスポーツ障害の患者さんが多いです。使いすぎによる痛みや疲労骨折、骨膜に同じストレスがかかることによって出る炎症などを発症しているケースが多いですが、本当に悪くならない段階で早く治療に介入して、早くスポーツに復帰させたいと考えています。そのため悪いところだけではなく、次に同じようなケガをしないためのストレッチや筋肉トレーニングなどの運動器のリハビリテーションを重視しています。例えば肩の障害の子どもでも、股関節や腰の体幹のトレーニングをすることで肩にかかる負担が少なくなって障害の再発を予防できることもあります。特に子どもの場合は局所だけを見ずに、全身を見て対応するように心がけています。
経験したからこそわかる痛み
先生が医師をめざした理由を教えてください。

実家がガラス屋だったので昔は建築家志望だったのですが、子どもの頃から人間の体にも興味がありましたので、医学部に入りました。中でも整形外科は、治療することができる病気と考えたことと、昔からスポーツしていましたのでケガをしたときの痛みやつらさもわかることから選びました。今でもスポーツは続けています。48歳の時からマラソンを始めたのですが、このクリニックの土地を見つけたのもランニング中にたまたまです。この辺は理学療法士が在籍しているところが少なかったですし、いい場所に開業できましたね。
マラソンをされているのですね。
もともと走ることは好きではなかったんですが、忙しい合間にできる運動はランニングしか思いつかなかったんです。でも、走っているうちに楽しくなってきて1回ハーフマラソンに出たらなんとか走れたので、今度はフルマラソンにチャレンジしたんです。目標の4時間は切れなかったのですが、4時間10分を切ったので、また新しい目標ができました。スポーツは目標を持ってやる人が多いし、目標を達成するためにハードに練習しがちです。そんな方のためにケガをしないための対策とケガをしてしまった方のサポートができたらいいなと思います。練習しすぎて痛めることもありますが「やりすぎ」と片づけるつもりはありません。これまでの自分のスポーツの経験で気持ちもわかるし、痛みもわかるので、患者さんのシーズン時期まで含めて考え、なるべく早く復帰できるようお手伝いしたいですね。
最後に今後の展望とメッセージをお願いします。

妻が麻酔科の医師なので、妻が手伝える時期が来たら、いずれはペインクリニックの領域で患者さんに貢献したいです。患者さんには、「忙しそうだから先生には聞きにくい」という空気を感じさせないよう、常に「話を聞くよ」という姿勢で診療を行っていきたいと思います。相談はいつでも受け入れますので、些細なことでも何でも聞いてください。