新城綾乃院長、新城幸枝副院長の独自取材記事

新城歯科医院

(那覇市／安里駅)

最終更新日：2021/10/12

ゆいレール安里駅にほど近い住宅街に構える「新城歯科医院」は、院長の新城綾乃先生、副院長の新城幸枝先生の姉妹が迎えてくれる。2人の父も歯科医師で40年間この場所で診療を続けてきたが、急逝。1年の準備期間を経て、2019年に新規開業した。「患者さんを自分の家族だと思って診る」という父の信条を受け継ぎ、患者と心の通い合う温かい診療をめざす。学生時代から「父の後を継ぐ」という同じ方向を見据えて切磋琢磨してきた2人は、息もぴったりで明るい笑顔が印象的だ。「患者さんとは一生のお付き合いをしていきたい」と全力で診療に取り組む綾乃院長、幸枝副院長にじっくりと話を聞いた。

（取材日2021年2月15日）

父の想いを受け継ぎ、故郷に戻り、姉妹で開業
先進機器をそろえ、適切な診断と精密な治療に生かす
1本の歯を大切に。予防にも力を注ぐ

父の想いを受け継ぎ、故郷に戻り、姉妹で開業

まず、綾乃院長にお聞きします。歯科医師を志したきっかけと開業までの経緯を教えてください。

【綾乃院長】子どもの頃から自宅兼歯科医院で、父が患者さんのために一生懸命治療する姿を見て育ちましたので、歯科医師をめざすのは自然な流れでしたね。岡山大学歯学部へ進学し、卒業後は、総合的な歯科治療を提供する神奈川県の医療法人に16年間勤めました。ここではさまざまな年代や症状の患者さんに出会い、一通りの治療を経験させてもらった上、尊敬する先生方から技術指導いただく機会にも恵まれ、私にとってはありがたい環境でした。父からは「しっかり勉強していずれ引き継いでほしい」と言われていて、私もそのつもりでできる限りのことを吸収しようと思っていました。開業は突然ではありましたが、迷いはありませんでしたね。

幸枝副院長はいかがですか。

【幸枝副院長】私も父の姿を間近で見て育ちましたので、自然な形で歯科医師の道に進みました。東京歯科大学卒業後は、神奈川県の歯科医院に12年ほどお世話になりました。住宅街にあってお子さんからお年寄りまで幅広く診療する歯科医院で、小学生だった患者さんが高校生になるなど成長を見守りながら治療することができました。そういった患者さんとの長いお付き合いの中から、父の信条であった「患者さんを家族だと思って診ること」の真意を学びました。そして患者さんへより良い治療ができるようになるため、いろいろな勉強会へ積極的に参加し、たまたま姉の勤務先に近かったので、そこで一緒に勉強させてもらったりもして、歯科医師として二人で同じ方向に向かって進んできました。開業は突然でしたが、姉と一緒ならと思い決意しました。

どのような歯科医院をめざしていますか。

【綾乃院長】私たちは、幅広い治療ができるようにずっと勉強してきました。それは、お子さんからお年寄りまで家族ぐるみで通っていただけるような歯科医院をつくりたいと思ったからです。それぞれの得意分野を生かして役割分担しながら、虫歯、歯周病から小児歯科、予防歯科、入れ歯、口腔外科、インプラント治療、審美歯科、矯正治療、顎関節症に至るまであらゆる治療に対応していますので、かかりつけ歯科医院としてなんでもご相談いただけたらと思います。また、「患者さんを自分の家族だと思って診る」という父の信条を受け継いで、患者さんとしっかり向き合いながら誠心誠意を尽くして診療していきたいと思っています。

先進機器をそろえ、適切な診断と精密な治療に生かす

新規開業にあたって歯科医院をリニューアルされたそうですが、こだわりを教えてください。

【綾乃院長】どなたでも安心して通っていただけるように、工夫を凝らしました。院内は完全バリアフリー、医院の入り口にはスロープをつけました。ですから、車いすやベビーカーでもスムーズにお入りいただけます。お手洗いも車いすのままで大丈夫ですよ。待合室にはキッズルームを備え、おむつ交換台も設置していますので、子育て世代の方も安心してお越しください。2人ともこれまでいろいろな設備を見てきましたし、父の代から勤めてくれているスタッフの意見も取り入れて、試行錯誤しながらつくり上げました。準備に1年ほどかかりましたが、その分しっかりと良い歯科医院ができたのではないかと自負しています。

医療機器も充実しているようですね。

【綾乃院長】適切な診断と精密な治療には精度の高い機器が欠かせませんので、惜しみなく良い物を使うようにしています。
【幸枝副院長】具体的には、まず、歯科用顕微鏡のマイクロスコープを導入しています。最大20倍に拡大でき、今まで見えなかったものが見えるようになり、診断と治療の精度が向上しました。エックス線検査機器は、通常の歯科用エックス線に加えて、3次的に歯や骨の状態を高い精度で確認できるCTも導入しています。こういった器材をうまく使うことで、適切な診断と精度の高い治療ができるようになり、今まで残せない、抜くしかないといわれた歯を残すことがめざせるようにもなりました。歯は抜いたり削ったりすると二度と元には戻りません。皆さんの大切な歯を守るために、常に知識をアップデートし良い器材は積極的に取り入れ活用することも大事だと考えています。

顎の動きを調べる機械も導入されているとお聞きしました。

【綾乃院長】顎機能咬合診療システムですね。顎関節の動きやずれについては、これまで手指の感覚に頼っていましたが、この機械では、顎の動きをコンピューターで分析して、顎関節の状態を客観的に検査、診断することができるんです。顎関節症や噛み合わせを診る際はもちろん、顎が痛い、口が開かないといった症状で困っている方も、これによって適切な診断につなげることができます。お子さんの場合は12歳ぐらいまでの顎が成長する時期に噛み合わせを整えることが重要になりますが、小児矯正においても大いに役立ちますね。このほか、型採りをせずにスキャナーで歯の形を読み取って、精度の高さにこだわったかぶせ物を作るのに役立つ口腔内スキャナーなども導入しています。

1本の歯を大切に。予防にも力を注ぐ

予防に力を入れているそうですね。

【綾乃院長】私たちはいったん治療した歯はもう治療しないで済むようにしたいと思っているんです。そのために、まず初診の段階で、エックス線検査で1本ずつ診断したり、唾液測定システムで虫歯や歯周病のリスクをチェックして、予防のために何に気をつければいいかアドバイスさせていただきます。また、なぜ虫歯や歯周病になるのかについても、写真や動画を使いながら大きな画面でわかりやすくご説明するようにしています。
【幸枝副院長】「もっと歯を大切にしていればよかった」としみじみおっしゃる患者さんをたくさんみてきました。1本の歯でもきちんと残すことが重要で、それは生活習慣病や認知症の予防、健康寿命の延伸にもつながると考えています。お口や歯は楽しく食事をするためにも、栄養を取るためにも、笑うためにも大切なところ。治療して終わりではなく、きちんと噛める環境を保ち続けて、長く健康に過ごしていただきたいですね。

実際に予防に対する意識が高まってきているようですね。

【綾乃院長】「この歯だけ治して」という方もおられるのですが、予防の大切さをお話ししていくうちに、治療が終わってもクリーニングやメンテナンスで来てくださる方が増えています。中には「ここまで詳しく説明されたことがなかった」とおっしゃる方もいて、もしかしたら私たち医療者側の説明不足だったのかもしれませんね。私たちは患者さんと一緒に予防に取り組んでいきたいと思っていますので、歯磨きの仕方など予防法についてもわからないことなどあれば、遠慮なくご質問いただきたいと思っています。

読者へメッセージと今後の展望をお願いします。

【幸枝副院長】私が尊敬する歯科医師は、まず父です。そして大学や勤務先、勉強会で心から尊敬できる先生たちに出会って、たくさん勉強させていただいたのは私たちの大きな強み。今でもその先生方に教えていただいていますし、これからもおごることなく一生勉強を続けて、それを診療に生かしていきたいと思っています。また、歯科医院は決して怖い所ではありません。「痛みが取れてよかった」「口の中がきれいになって気持ち良い」「おいしくご飯が食べられてうれしい」、そんなふうに患者さんに感じていただけるような場所にしていきたいですね。
【綾乃院長】父の教えのとおり、患者さんは家族だと思っていますので、「一生のお付き合い」のつもりで診療させていただいています。患者さんも私たちに家族のようになんでもお話ししていただけたらうれしいです。