星田 茂 院長の独自取材記事
木曽川みみはなのどクリニック
(一宮市/新木曽川駅)
最終更新日:2026/02/09
新木曽川駅から徒歩数分の「木曽川みみはなのどクリニック」。広い院内には木がふんだんに使われ、ほっとできる温かな雰囲気がある。星田茂院長は、耳鼻咽喉科の中でも神経に関わる神経耳科と呼ばれる領域を専門に、大規模病院で長く勤めてきた医師。同院では専門性を生かしながら、地域のかかりつけ医として身近な悩みに幅広く応じたいと抱負を語る。2026年2月に診療再開した同院に話を聞いた。
(取材日2025年12月2日/情報更新日2026年2月5日)
専門性を生かしつつファミリードクターとして広く対応
まずは、先生のご経歴やご専門について教えてください。

私は金沢大学医学部卒業後、北陸3県の大学関連病院をはじめ、全国の総合病院で経験を積んできました。専門を耳鼻咽喉科に決めた理由は、もともと体のメカニズムやシステムに興味があり、大学では神経内科や病理の講義も聞いたのですが、耳鼻咽喉科の話に最も魅了されたからです。そのまま自然に聴覚・平衡を扱う神経耳科領域を専門とするようになりました。日本では、神経を専門にしている耳鼻咽喉科の医師は多くはなく、その専門的な診療ができることは当院の特徴の一つになると思います。
どのような診療に注力していきたいとお考えですか?
専門的な医療を充実させる一方で、ファミリードクターとして身近なお悩みに幅広く対応することも当院が力を入れたい取り組みです。いわゆるかかりつけ医としてお気軽にご相談いただけたらと思います。近隣の病院とも連携していますので、当院で対応が難しい場合にも適切な医療機関へ橋渡しができます。また、開業にあたって思うのは、病院にはなかなか行く時間が取れない働き世代の方にも受診していただきたいということ。それから、勉強や部活で忙しい小学校高学年から中学、高校に通っている子どもたちにも来てもらいたいです。小さいお子さんは親御さんが時間をつくって連れて来られますが、10代はなかなかそういきません。すべての方にとって来やすいクリニックでありたいという思いから、当院は土曜の午前午後も診療予定としています。
先生が診療にあたり大事にされていることは何でしょう?

徹底して患者さんのお話を聞くことです。例えば「痛い」という訴えはとても多いものですが、詳しくお話を伺うと、しびれや熱感、むくみ、重苦しさ、かゆみなど「疼痛」とは異なる違和感・不快感であることもしばしばです。そのためこちらは、患者さんの言葉の奥にある、その方だけが感じている感覚を探っていくという診療をすることになります。人間の五感のうち視覚以外、聴覚、味覚、嗅覚、触覚を耳鼻咽喉科が診ますが、感覚はその人の中にあるものですので、ご本人がどう感じているかを第三者が理解することは難しいです。そのため耳鼻咽喉科は言葉に重きを置いた診療といいますか、検査が自動的に悪い箇所を見つけてくれるという診療とは違うところがあります。患者さんの内面にある感覚世界に向き合うことは感覚器診療の基本でもあり、ファミリードクターとして地域の皆さんに貢献していく上で、感覚器や神経を専門に診てきた経験は強みになると思います。
患者の話をよく聞き、十分な検査、根気強い生活指導を
ご専門であるめまいの診療について教えてください。

めまいで来院される方は多いですが、医学的にはめまいとは言い難い方も少なくありません。長期間治療を続けていてもめまいが良くならない方をよく調べてみると、めまいではない病気が原因にあって、めまい以外の治療で楽になることはとても多いです。日常語の「めまい」という言葉にはとても広い意味があります。100人いたら500種類のめまいがあるというくらいに多種多様です。めまい診療の第一歩は、それぞれの患者さんが「めまい」という言葉を使って何を表現しようとしているのかを知ることにあります。丁寧に診察をし、十分な検査をし、根気強く生活指導をする。めまい診療に近道はなく地道な積み重ねこそが王道です。これは科学技術が進歩した現代でも変わらないことで、深い専門性が必要な理由です。
難聴についてもお聞かせいただけますか?
難聴には大きく2つの種類があります。耳垢や炎症などで音の伝わりが詰まってしまう伝音性難聴と、音を感じるセンサーが感じにくくなる感音性難聴です。伝音性難聴は単純に音を大きくするだけで聞こえやすくなりますので補聴器の有用性は大きいですし、補聴器をしなくても薬や手術の治療で改善が望めるものも少なくありません。一方で、感音性難聴はセンサー自体が損なわれていますので、補聴器をつけただけでは聞き取りを良くすることは難しく、弱った聞き取る力を回復させるためのトレーニングが必要になります。特に、補聴器を始めてすぐの頃は何を言っているのかうまく聞き取れず、音がものすごく大きく感じますので、うるささに耐えられなくて失敗する方がとても多いです。感音性難聴に対して補聴器で聞き取れるようにするには特別で専門的な段取りが必要になります。聞こえでお困りの方にはお気軽にご相談いただければと思います。
町のクリニックでは花粉症にお悩みの方も多そうです。

花粉症は都市型自然災害といわれることもあり、都市化が進んだ東海地方は花粉の飛散量は多くなる傾向があります。近年では発症の低年齢化が問題となっていて、早期介入が求められることも増えてきています。スギ花粉症は日本人の2人に1人といわれるまさに国民病。治療法が進歩した現在でも症状や薬の副作用に苦しむ方は少なくありません。困ったことに、スギ花粉の飛散期は人生の分岐点である受験や就職の時期に重なります。花粉症であるかどうかが人生の選択にハンデとなるのなら、不公平なことだと思います。抗ヒスタミン薬などで反応をさせないよう図ることが花粉症治療の中心ですが、近年ではアレルギーが起こりにくい体質に変化させるための舌下免疫療法も盛んに行われるようになっています。どなたにもお勧めしやすい治療法ですが、治療が完了するのに3〜5年と長期間を要するのが欠点でもあります。将来を見据えて早めの治療開始をお勧めしています。
舌下免疫療法を受けるのに年齢制限などはあるのでしょうか?
年齢制限はありませんが、低年齢では途中で嫌になって続けられないこともあります。小学校高学年くらいになれば治療の意義を理解して根気よく治療を頑張れるようになってきますから、アレルギーでお悩みの方はご相談ください。また、顔の発育が完了した成人であれば、レーザー手術や鼻腔形成手術などの侵襲的な処置も可能になります。短期間でできるものもございます。多忙な社会人の方にもご提案できる選択肢を用意していきたいと考えています。
QOLを支えるため、通いやすい環境づくりにも努める
これからともにクリニックをつくっていくスタッフさんについては、どのようにお考えですか?

良い医療を行うには医師一人では不十分で、チームの力が大切です。スタッフの皆が仲良く働きがいのある環境を整えるのも私の役割だと思っています。皆が同じ方向を見て切磋琢磨していければ、質の高い医療へつながっていくと信じています。
今後の展望をお聞かせください。
多くの診療科が臓器別・機能別に担当分野が整理されているのとは違って、耳鼻咽喉科は頭頸部という首から上の領域で起こる出来事は何でも広く扱います。広く何でも診る総合医療の医師としての側面は大切な柱です。一方で、それとは別に専門家としてその施設ならではの強みを用意していることが多いと思います。当院では感覚器の専門家として十分な検査をする医療をめざしています。感覚の感じ方はその人の心の中にしかありません。感じたものをどのような言葉で表現するかは人それぞれですから、傾聴だけでは不十分で、よく知りよく治すためには客観的な計測が必要です。何が起きているかを解き明かした上で、より良い選択肢をご提案できるよう努力したいと思っています。
最後に地域の方々へメッセージをお願いします。

病気の診療だけではなく、QOL(生活の質)を支えることは耳鼻咽喉科の重要な役割です。ただ、そのような困り事は「些細なこと」「わざわざ受診するほどでもないこと」として放置したり我慢したりされがちです。ちょっとしたことでも気軽にご相談いただけるよう、平日夕方や土曜日にも診察時間をご用意しております。当院ではインターネット予約システムを導入する予定です。仕事帰りや学校帰り、休日など空いたお時間にお気軽にお立ち寄りいただけたらと思います。

