青山 修 院長の独自取材記事
青山歯科医院
(宮崎市/南方駅)
最終更新日:2021/12/09

宮崎市本郷南方。JR日南線・南方駅や宮崎南バイパスとのアクセスも便利な県道367号沿い、ピンク色の外壁が目を引く「青山歯科医院」はある。1991年開業以来、一般歯科、小児歯科、矯正歯科、インプラント治療はもちろん、訪問歯科診療を積極的に行っているのが大きな特徴だ。青山修院長はいずれ訪れる社会の高齢化を見据え、20年前から訪問歯科医療に取り組んできたが、近年は多職種連携や歯科クリニックによる分担が進み、患者にとっても受診しやすい体制が整えられてきたという。「お口は健康の入り口。人生の最後まで自分の歯で食べることができるようサポートしていきたい」と話す青山院長に、診療方針や訪問診療への取り組みについて詳しく聞いた。
(取材日2021年10月21日)
超高齢社会を見据え、訪問歯科診療を20年前から実施
1991年開業と長く地域で診療されていますね。クリニックの特徴と治療方針について教えてください。

一般歯科をはじめ矯正歯科、インプラント治療まで幅広く対応しています。できるだけ削らない治療を心がけ、予防歯科に積極的に取り組み、歯のクリーニングにも力を入れています。小さなお子さんの治療は、歯科医師はじめとするスタッフと信頼関係を築いてから徐々に治療を始めるようにしています。訪問歯科、障害者歯科にも力を入れてきたことは当院の大きな特徴です。食べることは大切ですし、食べることで毎日が豊かになるということは皆さんご存じだと思います。お口は健康の入り口です。バランスのいい食事で、栄養をしっかり取る、それが健康につながります。悪いところがあれば治療して、しっかり食べられる状態をつくり、一人でも多くの患者さんに喜んでもらいたい。そんな思いで日々、診察しています。
昔と今で、患者さんの口内に何か変化は感じていますか?
開業した30年前は虫歯の多いお子さんもたくさんいましたが、最近は学校も積極的に啓発を行うなど、予防歯科の考え方が浸透してきたようで、全体としては、口内の状態は良くなってきたと思います。メンテナンスのために来院される患者さんも増えていますね。入れ歯もメンテナンスが大切です。年を重ねて体重が減ると歯茎も痩せてきてしまうので、定期検診で噛み合わせの確認をしていくことも必要です。
訪問歯科診療を始めたきっかけは何だったのでしょう。

訪問診療を始めたのは今から20年ほど前で、地域でもかなり早い時期から取り組んできました。来たる超高齢社会を見据え、通院困難な患者さんの増加を予測して、ポータブルの診療ユニットを訪問先に運び、診療を行ってきました。最初は週1回、特別養護老人ホームで実施していましたが、その後、紹介などで依頼が多くなりました。足腰が悪くなったり病気にかかったりして自力での通院ができなくなる患者さんはますます増えており、日曜を除く毎日、歯科衛生士とともに昼休みから4時くらいまで訪問診療を行っているほか、歯科衛生士が午前中、単独で施設や居宅を訪問し、誤嚥性肺炎防止や摂食嚥下機能の向上のための口腔ケアを行っています。
生涯にわたって自分の歯で食べられるようサポートを
通常の診療との両立はかなりハードなのではないですか?

以前は診療できる歯科医師は私一人でしたが、今は娘夫婦も診療に加わってくれているので心強いですね。私が訪問診療に出向くのは週1回が基本で、その日は1日に10人前後の患者さんを診ます。口腔ケアのための歯科衛生士の単独訪問はもっと多く15人くらいでしょうか。対応エリアは、保険適用の範囲の半径16km以内です。今は訪問診療に対応している歯科医院も増えましたので、皆で協力して分担をしています。在宅の患者さんには、ケアマネジャーや訪問看護師、薬剤師など多くのスタッフが関わっていることも多いため、しっかり連携を取りながら進めるシステムが整っています。同居のご家族や施設のスタッフから依頼の連絡があるほか、ケアマネジャーさんから直接紹介も受けることも増えました。
障害者の歯科診療も行っているそうですね。
訪問診療では、障害がある患者さんの依頼もあります。障害によっては、体を不意に動かしたり、お口をスムーズに開けたりすることが難しい場合もあるため、当院ではスタッフ全員で、実習を含め、障害者歯科について学ぶ機会を設けてきました。訪問診療は通常の診療に比べて、さまざまな制約がありますし、行うべきことも多く、準備や治療計画も、より綿密にする必要があります。また多職種スタッフと連携する中で、歯科医療の専門家として尋ねられることもあります。常に次のことを想定し、ゴールを考えて仕事をするようにしていますので、日常でも先のことを考え、スケジュールをうまく立てられるようになったと思いますよ。思い返せば、私の歯科医師人生のうち半分は、訪問診療を行ってきたと思います。患者さんが人生の最後まで自分の歯で食べることができるよう、これからもしっかりサポートしていきたいです。
院内での診療を含め、日々の診療で大切にされていることは何ですか?

問診と検査をしっかり行った上で、丁寧にわかりやすく説明をすることですね。時には自費診療をご提案することもあるので、費用のことも含め、患者さんが迷ったり不安を感じたりしないよう、一つ一つをクリアにしていくことを大切にしています。そして治療は優しく行うこと。若い時は怒ってしまうこともありましたが、自分がイライラしていたら患者さんに伝わります。言葉や話し方に注意を払い、患者さんがリラックスできるよう心がけています。
行動あるのみ。今後は地域医療にさらに貢献したい
先生が、やりがいや手応えを感じるのはどんな時ですか?

治療を終えた患者さんの笑顔を見た時ですね。若い方からご高齢の方まで、皆さんのうれしそうな様子を見ると、歯科医師として大きなやりがいを感じます。お年寄りの方はやはり入れ歯の相談が多いのですが、入れ歯が合わずよく噛めないと、麺類などやわらかいものに食事が偏りがちになってしまいます。野菜や果物がしっかり食べられる口腔機能を維持することで、栄養バランスの偏りをなくして体の調子を整えれば、認知症の予防にもつながるのではないでしょうか。また、しっかり食べられるようになると、認知症の方も表情が明るくなったり、意識がはっきりしたりすることもあると聞きます。それほど食べることとお口の健康は重要なんですよ。
先生が歯科医師をめざしたのはなぜですか?
身内に医療従事者はいませんでしたが、医療に興味があったんですね。人の体は、わからないことが多くある。歯科医師になって30年たちますが、常に進歩や発見があり、ずっと研究、勉強をしなくてはいけないところに面白さがあります。医療系以外では、海洋生物学者になりたいと思っていた時期もありました。動物に興味がありましたし、動物は人をだましたりしない純粋な生き物。そこにも魅力を感じました。
オフの時間はどのように過ごしているのですか?

車で出勤しているので、健康のために朝の散歩を日課にしています。今は新型コロナウイルスの影響で難しいですが、旅行に出かけて心が洗われるような景色を見るのが好きですね。京都の神社やお寺を静かに観賞するのもリラックスできて良いですね。座禅や写経も体験してみたいです。日常的には、音楽を聴くのが好きです。最近はやりのJ-POPも好きで、コロナ禍前はカラオケでもよく歌っていました。声が高いので女性アーティストとキーが合うんです。中学の頃はよく友人と2人でフォークソングの弾き語りしていました。妻も音楽が好きで音楽療法士として高齢者施設で歌を歌う活動もしていたんですよ。
最後に、今後の展望についてお聞かせください。
常に先を見て、次のステップを考えてきました。将来の医療のことから病院の継承のことまで、先のことを見据えて、今どういう行動を起こすか考え、実際に行動していくことが大切だと思っています。頭で考えているだけではダメということです。今は娘夫婦がこちらにいますし、息子も医学部で頑張っています。彼らが学んできたことを生かしていけたらという思いもあります。地域医療をもっと広げていきたいと思いますし、ここだけで終わらないよう、包括的な支援、診療を広げていきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正歯科/成人:基本料金60万円、インプラント治療/基本料金25万円(上部構造別)