放置すると治療が長引くことも
気になる呼吸器症状は早めの受診を
すぎもと内科クリニック
(堺市中区/初芝駅)
最終更新日:2025/07/30


- 保険診療
階段を上った時に感じる息切れや、長く続く咳、胸の違和感。こうした呼吸器の不調の背景には、喘息や肺炎、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、さらには肺がんや結核などの疾患が潜んでいることもある。「呼吸器の不調は、悪化する前に原因を明らかにし、適切な対処をすることが大切です」と話すのは、「すぎもと内科クリニック」の杉本親寿(すぎもと・ちかとし)院長。同クリニックでは、詳細な問診やエックス線検査、呼吸機能検査、一酸化窒素濃度の測定などを通じて、症状の原因を見極め、それぞれの疾患に応じた診療を行っている。今回は日本呼吸器学会呼吸器専門医でもある杉本院長に、呼吸器内科で扱う主な病気や検査の種類、治療の進め方などについて詳しく話を聞いた。
(取材日2025年7月11日)
目次
咳や息切れ、放置はNG。原因の病気が進行する前に早めの受診を
- Q呼吸器内科では患者さんのどんな悩みに応えているのですか?
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A
▲気道から肺の病気に対して幅広く対応している
「呼吸器内科」は、主に気道から肺の病気に対して専門的な検査や治療を行っています。「咳が続く」「痰がからむ」「息切れがする」「風邪の症状が取れない」「呼吸の度にゼーゼーする」「息苦しい」といった症状のほか、「胸が痛い」「いびきを指摘された」「起床時に頭痛がする」といった場合も呼吸器の疾患が隠れていることがありますので、呼吸器内科への受診をお勧めします。問診や診察・検査などで原因を追究し、必要な治療を行っていきます。さらに、健康診断の胸部エックス線検査で異常を指摘された方の精密検査や、「禁煙したいが、自分一人では難しい」などの相談にも対応しています。
- Qクリニック受診の目安となる特徴的な症状を教えてください。
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A
▲気になる症状があれば早めに呼吸器内科の受診を
「咳や痰が出る」だけでは、すぐに受診するのをためらう人が多いかもしれません。「軽い風邪だから様子を見よう」と、受診を先延ばしにしてしまう人も少なくないように思います。また、息切れを感じても「年齢のせいかも」と自己判断してしまい、適切な対応を遅らせるケースも見受けられます。私が考える目安としては、咳や痰は、2週間以上続いたら呼吸器内科へ、息切れについては、「同年代と同じペースで歩いていても自分だけ息が切れる」と感じたら受診をお勧めします。ただし、少量でも血痰がある場合や、咳や痰に加えて胸痛がある場合などは、早急な対応が必要な可能性があるため、2週間を待たずにすぐに受診してください。
- Q咳症状は、検査すれば原因がわかるのですか?
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A
▲時には呼吸音なども確認しながら検査を進めていく
咳の原因はいろいろあるため、まずは問診や肺のエックス線検査を行います。肺の病気がなければ、咳のパターンを確認して病名を絞り込みます。例えば、咳喘息では朝晩に咳が増え、日中は比較的少ないという日内変動があり、一般的な肺炎の場合は時間帯に関係なく咳や痰が続き、さらにマイコプラズマ肺炎では痰が少ない、という特徴があります。そのような情報をもとに、血液検査や肺機能検査、呼気一酸化窒素検査などを行って診断を確定します。まれに「どの検査でも異常が見つからない」という咳もあるのですが、咳止めを処方して経過を見守ったり、心因性の可能性がある場合は心療内科の受診をお勧めしたりもします。
- Q呼吸器疾患の治療はどのように進むのでしょうか?
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A
▲患者一人ひとりの症状に応じた治療を提案している
肺炎であれば、重症度にもよりますが抗生物質を用いた治療が行われ、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)に対しては吸入薬に加えて内服薬を併用するのが一般的です。さらに、間質性肺炎や非結核性抗酸菌症などの疾患についても、それぞれの病態に応じた治療を行います。高齢者に多い誤嚥性肺炎は、初期には抗生物質を使用しますが、背景に嚥下機能の低下があることが多いため、再発を防ぐためには言語聴覚士などによる嚥下機能評価や嚥下訓練の実施、さらには食事形態の見直しなど、自宅での継続的な対策を推奨しています。一方で、肺がんや結核などが見つかった場合は、専門的な治療が可能な医療機関に紹介しています。
- Q咳などの症状のほかに、呼吸器内科が得意とする診療は何ですか?
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A
▲小さな悩みでも気軽に相談をしてほしいと話す杉本院長
最近増えてきているのは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の評価と治療です。SASは、日中の居眠りや集中力低下だけでなく、脳血管疾患や心疾患、さらには突然死との関連も指摘されているので、いびきや日中の眠気、夜間頻尿、起床時の頭痛などのある方は一度呼吸器内科に相談することをお勧めします。今は、自宅で簡易検査が行えるため入院の必要はなく、CPAP療法が必要となった際も、機器のレンタルは保険で可能です。ほかには酸素療法が必要になっても住み慣れたご自宅で過ごせるよう、在宅酸素療法導入のサポートも行っています。当クリニックでは、幅広い症状や疾患に対応していますので気になる症状はなんでもご相談ください。