柳原 孝章 院長、大坪 俊介 副院長の独自取材記事
ひとやすみこころのクリニック姪浜院
(福岡市西区/姪浜駅)
最終更新日:2025/09/29
姪浜駅から徒歩1分の好立地にある「ひとやすみこころのクリニック姪浜院」。2021年の開業以来、柳原孝章院長を中心に複数の医師が患者の人生に深く関わり、それぞれの幸せにつなげようと尽力している。「合う医師を見つけることが最も大切」という考えから、しっかり話せる時間が取れるよう公認心理師が常駐し、患者の悩みに親身に耳を傾けるための体制を整えている。また、誰もが気軽に足を運べるようにと、初診でもインターネット予約が可能。今回は、漫画を読むことが大好きで「患者さんの好きなことを聞くのも楽しい」と爽やかな笑顔を見せる柳原院長と、「患者さんが元気な姿を見るのが何よりの喜びです」と目を細める大坪俊介副院長に、診療内容を中心に話を聞いた。
(取材日2025年8月25日)
理想の医師像を求め、心臓外科医から精神科医へ転身
柳原先生はもともと心臓外科がご専門だったそうですね。

【柳原院長】子どもの頃に天才外科医が主人公の作品を読み、かっこいいなと感じたことがきっかけで、大学卒業後は心臓外科に入局しました。少しのミスが患者さんの命に直結するような世界だったので緊張感もあって、かなりハードでしたが、患者さんの笑顔を見るとやりがいもひとしおでした。刺激も多く、成長させてもらいましたが、外科の分野で担当するのは手術だけで、患者さんとふれあう機会はなかなかありませんでした。「私が追い求めていた医師像はこうだったか?」と自問自答する中、もう少し患者さんと対話できる科に行きたいと思い、精神科へ。体と心との両面から多角的に捉えて診断できることが、私の強みの一つだと思います。
開業した頃から何か変化はありましたか?
【柳原院長】開業当初は一人で診療をしていたのですが、徐々に患者さんが増え、私だけでは対応が難しくなったことから、大坪先生をはじめ非常勤の先生方にも来ていただき、今は常に医師3人体制で診療を行えるようにスケジュールを組んでいます。しかしながら、1ヵ月先まで予約が埋まるような状況だったため、少しでも改善できるよう新たに西新で2院目を開業しました。来院される方はお仕事や家庭内でのお悩みを抱えていらっしゃる方が多いですね。最近急増しているのが発達障害に関連する受診です。症状はそれぞれですが、「やる気がでない」「眠れない」「仕事に行くのがつらい」「起きられない」「電車に乗るとパニックになる」といった主訴が多く、社会的背景も影響しているのは否めません。
そのような患者さんにどのようなアプローチをされるのですか?

【柳原院長】当院は複数の医師をはじめ、看護師や公認心理師が在籍しておりますので、手厚い対応ができる点が特徴です。例えば、休職された方へ多職種が連携し、復職に向けたアプローチをしていきます。そして、当院では現在対応しておりませんが、rTMS治療という新たなうつ病の治療にも着目しています。より早い回復や薬の副作用を気にしなくてよくなることが期待できるんですよ。また、メンタルヘルスでは睡眠・食事・運動が重要ですので、今後は管理栄養士による食生活指導も行っていきたいと考えています。
復職まで手厚くサポートできる環境を構築
復職を支援するための体制が構築されているのですね。

【柳原院長】休職しても患者さんの困り事が解決できるわけではありません。その後に向けた策を講じなければ、復職できたとしても再発を繰り返してしまいます。特に発達障害に関しては、今までうっすら感じてはいたけれど、働くようになって初めて顕著に感じるようになったというケースが多く、発達障害をベースに、うつ病など二次障害を発症していることもあります。最近は、お子さんの発達障害も各メディアで取り上げられることが増えましたが、当院は16歳からを診療の対象としています。それは、児童を専門とする心療内科の多くが中学生までを対象としていることが理由です。また、成人を対象としたクリニックでは18歳からを対象としているケースが多いんです。そうなると、高校生の受け皿が非常に少なく、思春期ですから発達障害以外のことでの悩みも多く、親御さんも悩まれているケースが多いことから、当院では16歳からを診療対象としています。
親子で受診されるケースもありますか?
【柳原院長】はい。親子で受診される場合、それぞれからしっかりお話を伺うことがとても重要になりますので、時間もかかります。医師1人体制だと難しいのですが、当院は医師やスタッフが複数在籍しております。患者さんにとって大切なのは、ご自身に合った医師を見つけること。そういった意味でも、当院の環境は患者さんにとってメリットが大きいと思います。やはり相性がありますから、医師が複数在籍していることで合う医師が見つかる可能性は高くなると思います。大坪副院長はじめ、各先生方の強みを生かした診療を行っています。
大坪先生はいつからこちらで診療を開始されましたか?

【大坪副院長】私は九州大学卒業後、初期研修を経て、福間病院を中心に精神科の医師として研鑽を積み、柳原院長からお声がけいただいたのを機に2024年4月に入職しました。この診療科を選んだ理由は、初期研修で精神科の患者さんと接する機会があり、目に見えない部分に寄り添いアプローチするという診療にとても興味を持ったからです。患者さんが話される内容だけでなく、話し方や表情もしっかりキャッチして診断につなげていくというのはこの診療科ならではだと思うんですよね。統合失調症や幻覚・妄想が激しい患者さんを集中して診ていく病院でキャリアを積ませてもらった後は、うつ病をはじめ、双極性障害や発達障害などの患者さんを担当させていただくことが多かったので、これまでの経験はここでもしっかり生かせていると感じています。
睡眠・食事・運動を通じたストレスコントロールが重要
大坪先生が診療において大切にされていることをお聞かせください。

【大坪副院長】やはりしっかり話を聞くことです。クリニックではどうしてもお薬中心で、お話を聞く時間も限られがちですが、お話を通じて少しでも患者さんの気持ちが軽くなればと思っています。もちろん改善のためお薬を使うのも大切ですが、服用に至るまでに信頼関係を築くようにしています。相談できる人がいないという方も多く、患者さんの声に耳を傾けることがお薬よりも必要なことだと感じます。お薬を使用する場合も、しっかりお話を聞かなければ適したお薬の処方は難しいですからね。職場でのお悩みを抱えている方の中には、適応障害の方もたくさんいらっしゃいます。個人と環境のミスマッチによって起こる病気ですので、自分に合った環境に身を置くことが症状の緩和につながるケースが多いんですね。そのような環境調整を図るのも改善方法の一つ。本来持っている能力を発揮できる場は必ずありますので、諦めないでいただきたいなと思います。
総合的にアプローチできる環境が整っていることも特徴的ですね。
【大坪副院長】先ほど柳原院長がおっしゃっていたように、睡眠・食事・運動の3つはとても重要です。このバランスを整えて症状の改善に努めていくことの大切さを、患者さんにしっかりお伝えしていきたいです。お薬だけに頼らず、患者さんの生活に着目した治療も積極的に取り入れ、総合的に症状の改善に取り組んでいきたいです。
読者へメッセージをお願いします。

【柳原院長】当院が特に大切にしているのは、「ここに来て良かった」と思ってもらえるような診療と接遇、不調の原因となっている疾患を見誤らないことです。不調の原因が心の病気ではないケースもあり、例えば女性だとPMS(月経前症候群)や更年期障害、また産後もそうですが、ホルモン状態が気持ちの浮き沈みに影響し、うつ症状につながっていることもあります。また、パニック症状に関しては、甲状腺機能亢進症であるケースも少なくありません。女性のほうがホルモンの影響を受けやすく、それだけ受診にもつながりやすいのですが、その一方で男性は症状がひどくなってから受診される方が多い印象があります。いつもと何か違うなと感じたら躊躇せずいらしてください。また、当院は訪問看護も実施しております。看護師がご自宅を訪問し運動指導や社会復帰に向けた支援も行っておりますので、ご希望の方はご相談ください。

