西原 正訓 院長の独自取材記事
医療法人けあき会 脳神経外科クリニック
(箕面市/桜井駅)
最終更新日:2024/06/07
阪急バス・桜ヶ丘停留所から徒歩2分の場所にある「脳神経外科クリニック」。幹線道路沿いの閑静な住宅街に立つクリニックビルの1階にある。院内はバリアフリー対応で、待合室も広々としているため開放感のある雰囲気だ。MRI室内まで入ることができる車いすも用意している。院長の西原正訓先生は、脳神経外科医として研鑽した後、救命救急の現場においても数々の経験を積んできたドクター。「患者さんの話をじっくり聞くことを大切にしている」と語る、穏やかな表情が印象的だ。一方、医療の専門的な話題では、救命救急センターの副部長・救急部部長などを歴任してきた経験もあり、瞬時の判断力・決断力の機敏さを感じる話ぶりが頼もしかった。そんな西原院長に、クリニックの特徴や診療への思いを聞いた。
(取材日2024年5月10日)
気軽に受診できる町のクリニックで専門的な検査を実施
こちらにはどのような患者さんが多く来院されますか?
頭痛・めまい・物忘れ・手足のしびれなどで受診する患者さんが多いです。「長年、片頭痛で悩んでいて何とか改善したい」という方をはじめ、「最近、物忘れがひどく、家族に勧められて」という高齢の患者さん、「めまいがあり、脳に腫瘍か何かあるのでは」と検査に来る方など、皆さん、さまざまなきっかけで来院されます。同じクリニックビル内に入っている内科や眼科から、「痛みの原因が脳神経にあるかもしれない」ということで、詳しい検査のために当院をご紹介いただき、来院される患者さんもいますね。あとは、脳ドックで受診される方もいます。その他、「スポーツをしていて頭部を打撲した」等々でご相談に来られます。脳神経外科クリニックと聞くと敷居が高いと感じるかもしれませんが、何か頭に関係していると思われるお悩みがあれば、まずは気軽に来院いただければと思います。
MRI検査に力を入れていると伺いました。
当院のMRI検査は、診察当日に撮影・診断ができます。受付、問診と説明、MRI検査、診断説明まで、早ければ1時間で完了します。頭部でしたら検査の時間自体はおおむね20分です。当院で採用しているのは、先進の1.5テスラ密閉型MRI。密閉型の特徴は、画像の鮮明さにあります。ですので、脳腫瘍、脳卒中、未破裂脳動脈瘤、頭部と頸部血管の狭窄、アルツハイマー型認知症の原因である脳の萎縮などのより詳細な画像情報を得ることができるようになりました。音が静かでリラックスして受けていただきやすい点も特徴です。また、当院でのエックス線検査については、診療放射線技師が対応します。
検査当日に結果までわかるのは安心ですね。
MRI検査で見つかる疾患は、早く治療しなくてはならない病気が多いです。例えば、くも膜下出血は早く処置しないと命に関わります。その他、脳梗塞は時間との勝負で、発見の時間が遅くなるにつれて、できる治療の選択肢が少なくなってしまうため、検査から結果までは、早ければ早いほどいいですね。検査の結果、重篤な病気が発見されなかったとしても、患者さんを早く安心させてあげられることにもつながりますから。患者さんは、例えば頭が痛くて、「出血しているんじゃないか」「腫瘍があるのでは」と心配して来院されます。そうした不安を抱えた患者さんに「くも膜下出血じゃありませんよ」「脳腫瘍はありませんよ」とはっきり言ってあげることで、安心して帰っていただきたいと思っています。
一人ひとりの悩みに寄り添う、きめ細かな診療を
頭痛のお悩みに対して、新しい治療も行っているそうですね。
はい。3年前から始まった新しい治療法で、皮下注射による片頭痛予防薬の提案もさせてもらっています。まだ知らない方も多い新しい治療法ですが、頭痛に悩んでいる方にとっては画期的な治療法だと思います。注射は月1回で、保険適用となります。
認知症に対してはどのような検査、治療を行っていますか?
認知機能検査とMRI検査を行います。認知機能検査は、「長谷川式簡易知能評価スケール」を採用していて、認知症かどうかを簡易的にスクリーニングするための知能検査です。言葉や数字などの簡単なテストで、5~10分程度で終わります。MRI検査では海馬を見ます。記憶をつかさどる脳の部位ですが、この海馬の体積を数値化してその萎縮度合いをチェックします。早期のアルツハイマー型認知症診断に有用な方法です。ご自身で「最近物忘れがひどい」と感じて受診される方や、ご家族や周りの方が「最近ぼーっとしていて様子がおかしい」と連れて来られることもあります。中には、認知症ではなく慢性硬膜下血腫だったというケースもありますし、不安を抱えたまま生活するのはおつらいと思いますので、気になることがあれば一度診察を受けてほしいですね。万が一認知症と診断された場合でも、進行を遅らせるための早期の薬物療法が有益とされています。
脳ドックは、定期的に受診したほうがいいのでしょうか。
年齢や患者さんの所見にもよるので、一概に「毎年受けたほうがいいです」とは言えませんが、ご本人の安心につながりますよね。例えば、40代なら節目の5年ごとに受けてもいいかもしれません。所見で動脈硬化や血管に細いところがある方なら、定期検査を勧めることもあります。年齢を重ねるほど動脈硬化などのリスクは上がりますので、70歳を超えたら年に1回受診されることをお勧めします。当院のある箕面市にはありませんが、近隣の池田市などは脳ドックの助成があるため、「助成を使って脳ドックをしたい」と来院される患者さんもいます。少し離れたエリアから受診される方もいて、脳ドック以外にもさまざまなご相談にも柔軟に対応しています。
「いつもと違う」サインを放置せず、ぜひ受診を
日々の診察で大切にしていることはありますか?
患者さんが何を期待しているか、来院した本当の理由を聞き取ることを大切にしています。患者さんが自分で正確に説明できなかったとしても、丁寧にヒアリングすることで、状況を的確に把握するよう努めています。それは、脳神経外科では「いつもと違う」という感覚が非常に重要だからです。例えば、頭痛持ちの方が「いつもと痛みの種類が違う」と感じて来院されたなら、くも膜下出血の可能性もあるため、早急にMRI検査をしてスピーディーな処置につなげる必要があります。反対に、特に自覚症状はないけれど、「物忘れがあり家族に勧められて来た」ということなら、それはそれでじっくりと検査を行い、問題があれば治療を進めていきます。症状に応じた適切な対応を取れるように、患者さんとのコミュニケーションの中で、“なぜ来院されたのか”は、しっかり把握するよう努めています。
話は変わりますが、お休みの日はどのように過ごしていますか?
私はペンギンが好きで、一時期は皇帝ペンギンのひなを見に行くために、和歌山県まで足を運んでいたこともあります。長年、救命救急など張り詰めた現場にいたからか、プライベートでは気持ちが癒やされるような時間を過ごしたいという気持ちがあります。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
脳神経外科と聞くと、受診のハードルが高いと感じる方も多いのかもしれません。例えば頭痛では内科に行かれる方が多いですが、最終的には精密検査のために当院をご紹介いただいて、MRI検査を受ける患者さんも多いです。さまざまな症状があり、どこに原因があるかは検査しないとわからないですから、ぜひ気軽に受診していただきたいですね。私自身、総合病院の救命救急センターであらゆる症状の患者さんの初動対応をしてきましたので、MRIやCTで診断の上、適切な医療機関へタッチアップすることも慣れています。当院が入るクリニックビルの中でも、内科・眼科と連携しています。脳神経の分野では、急を要する疾患もあり、スピードが大切なケースもあるため、「いつもと違う」と感じたら、躊躇せずにご相談いただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは脳ドック/1万9800円~2万9700円