今村 英之 院長、村崎 舞耶 先生の独自取材記事
駅前クリニック内科・心療内科
(松戸市/北小金駅)
最終更新日:2025/10/08
JR常磐線・北小金駅南口より徒歩1分の場所にある「駅前クリニック内科・心療内科」。今村英之院長は、2020年に開業して以来、救急の現場で鍛えた洞察力と判断力、大学病院の心療内科で培ったノウハウをもとに、地域住民の心と体の健康に従事してきた。さらに2025年4月からは、勤務医時代の後輩である村崎舞耶先生も週1回の勤務で加わり、これまで休診にしていた月曜午前の診察も可能になった。「体の具合が悪いけれど原因がわからない」「何となく最近モヤモヤする」といった幅広い愁訴を柔軟に受け止め、患者を優しく包み込むような診療に日々努めている。そんな2人に、同院についてさまざまな話を聞いた。
(取材日2025年7月18日)
何科を受診すべきか悩む人の助けとなる医院へ
心療内科とはどのような科なのか教えてください。

【今村院長】簡単にいうと、ストレスが影響して体の不調となって現れるような症状を診る科です。起きられない、寝られないといった睡眠障害、頭痛や腹痛、動悸、倦怠感など、症状は多岐にわたります。よくストレスで胃炎や胃潰瘍になるという話があると思うのですが、消化器内科で症状を抑えるための薬を処方することもあるかもしれません。しかし、その原因であるストレスというところにアプローチされていないことも少なくないため、根本的な解決にはなっていないんですね。そこでわれわれの出番があると思っています。かつて自律神経失調症と呼称されていた「適応障害」の患者さんが受診されるケースが多いです。そういった意味では、患者さんが足を運びやすい立ち位置であり続けたいと思っています。
今年から村崎先生も加わり、2人体制になったそうですね。
【今村院長】はい。4月から村崎先生が加わりました。これまでは月曜日の午前中は休診にしていましたが、村崎先生はそこを埋めてくださっています。東邦大学医療センター大森病院で一緒に勤務していたので、いわば同門の後輩にあたります。非常に聡明な方で診療にも安定感もあるので、とても頼りがいのある先生です。
【村崎先生】私はこれまで長野県の総合病院や東邦大学の心療内科、埼玉県の病院、訪問診療のクリニックなどに携わってきました。現在は週1回ですが、女性医師だからこそ話しやすい話題や、月経関連の不調など話しにくいような悩みを抱えた方もいらっしゃると思うので、そういった方達の手助けになればと思っています。
お二人がそれぞれ心療内科医をめざすことになったきっかけは何でしょうか?

【今村院長】きっかけは研修医時代の初期対応です。「どの科を受診すれば良いかわからない」という患者さんが多くて、中には救急車を呼んだけれど何も問題がなく、後日精神科への受診を促される方もいました。そんな方々を何とかしてあげたいと、心療内科を専門にしようと思いました。そのために内科の症例もたくさん学ぶため、救急の現場でも研鑽を積んできました。
【村崎先生】私は、家族が大きな病気になったことです。治療後も落ち込んだり、外に出られなかったりということがありました。その時、手術で悪い所を取ったらおしまいではなくて、その後の生活に支障が出ている人ってたくさんいるんだろうなと実感しました。心と体はつながっているから、体調を崩せば気分も落ち込むし、その逆もあります。そういう生きづらさを抱えている人たちを診られるようになりたいと思いました。
気軽に来られて、何でも話せるクリニックへ
クリニックのコンセプトや特徴について教えてください。

【今村院長】めざすのは「気軽に来られるクリニック」。どんなことでも、まず一度相談してみようと思える場所でありたいですね。それが例えば発達障害、幻覚や幻聴といった統合失調症を疑うような症状、双極性障害など精神科の領域であっても、相談できる窓口でありたいという意味ではまず受診していただいて、必要に応じて適切な医療機関をご案内させていただきます。ほかにも、当院で診察して症状が重いような場合は、連携する大規模病院へ紹介させていただきます。
診療はどのように進めるのでしょうか?
【今村院長】患者さんは、いろいろな病院で受診しても何も問題がないと診断された方が多いので、まずこれまでの経緯や症状について時間をかけて伺います。ストレスは気持ちのほうに表れる場合と、体の不調となって表れる場合がありますが、後者はストレスが原因だと気づいていないことが非常に多いため、対話を通して「自分はストレス状態にある」と患者さんに気づかせることも重要です。治療では基本的には薬で症状のコントロールをめざしつつ経過を見ていきますが、薬はあくまでも対症療法的なものでしかなく、根本的な問題が解決しないと治療は完了しません。そのためには患者さんとの対話が鍵になります。会話の中で重要な言葉を丁寧に拾いながら原因を探り、解決に向けてお手伝いをしていきます。
先生方がそれぞれ患者さんと向き合う上で大切にしていることはなんでしょうか?

【今村院長】どんなことでも気軽に話せる雰囲気づくりです。患者さんがリラックスできるように、診療とは関係ない日常的なことを聞くこともあります。診療というより会話を楽しんでいただく感覚に近いかもしれません。ほかには、ご本人のお話だけではストレスの原因が見えてこないような時は、ご家族との対話も大切にしています。
【村崎先生】患者さんに対しては、今村先生のように「何を話しても良いですし、無理に話さなくても良いですよ」と伝えることは大切にしています。自身に対しては、「私が治している」と思わないようにしています。私にとって診療とは、患者さんと一緒に試行錯誤して悩みながら改善をめざすことです。もちろん医師として適切な医学的判断や処方は行いますが、患者さん自身の治る力を信じて、あくまでサポートをしていくというスタンスです。
心療内科の間口は広いことをもっと知ってもらいたい
先生の考える心療内科の意義について教えてください。

【今村先生】開業当初から患者さんは増えてはいますが、心療内科がどのような科なのか、特に精神科との違いをご存じない方は、医療の業界も含めてまだまだ多いと感じています。私が救急の現場にいた時、血圧が高いことに不安を感じ、救急要請をしたものの、病院に到着する頃には血圧は安定し、検査しても異常なしとされるケースが見受けられました。時には救急要請したことをとがめられる場面もあり、医療者側の心身症への理解不足が患者さんの医療不信につながってしまうこともあります。パニック障害の過換気発作で救急搬送されるケースでも、医療者と患者さん双方のニーズが合致せず、お互いが困ってしまうことも多くありました。こうした事象を減らすことを使命とし、日々の診療に取り組んでいます。コロナ禍では救急搬送の問題がさらに顕著となり、心療内科の受診が救急要請の減少にもつながると考えています。
患者さんはどのような方が多いのでしょうか?
【今村院長】初診の患者さんの多くは、会社に行けなくなってしまった働き盛りの方々です。環境の変化や人間関係などに思い悩み、それがストレスとなって症状が出てしまう方は年齢性別問わず多くいらっしゃいます。
【村崎先生】以前よりもメンタルヘルスへの関心や理解が深まってきているためか、比較的若い世代の方は早期のうちに受診をしてくださることも多く、嬉しいなと感じています。一方でまだまだ受診のハードルが高く、一人で抱え込んでしまう方もいらっしゃいます。追い詰められて行き場がないと感じてもどうかご相談に来ていただきたいです。
最後に、地域の方々へメッセージをお願いいたします。

【今村院長】今は、不安ではあるけど気分が極端に落ち込むというのがなく、ただ体に症状が出て困っているという方も増えています。そういった方は本当に、どこに行って良いのかわからないことも多いと思います。それをなんとかしてあげたいし、そのために心療内科という間口は広いんだということを知ってもらい、どんな悩みや不安でもまずは来院していただきたいです。先ほども申し上げましたが「気軽に来られるクリニック」でありたいと思っています。
【村崎先生】そうですね。ここは「何を話しても良い場」であることを改めてお伝えしたいですし、「こんなこと話しても良いのかな?」と思わず、ご相談に来ていただきたいです。

