本城 裕也 院長の独自取材記事
城彩会歯科ガーデンクリニック
(大阪市平野区/喜連瓜破駅)
最終更新日:2025/07/08

院内に足を踏み入れると、目に入るのは吹き抜けから自然光が届く明るい空間。中庭には植栽が施され、室内にいながら季節の移ろいを感じることができる「城彩会歯科ガーデンクリニック」は、大阪メトロ谷町線・喜連瓜破駅から徒歩約13分の住宅街にある。1989年の開業以来、長年にわたって地域の人たちの歯の健康を守ってきた歯科医院で、現在院長を務めるのは2代目の本城裕也先生。同院が力を入れる医科歯科連携やチーム医療について詳しく話を聞いた。
(取材日2025年5月23日)
人間全体を診る「総合歯科医療」をめざす
まずこちらのクリニックの成り立ちについて教えてください。

103年前に曽祖父が大阪市中央区で開業したのが始まりです。その後、祖父、叔父と引き継ぎ、現在は僕のいとこが継承しているクリニックが本家として続いています。一方で、僕の父が1989年に平野区瓜破西で分家開業をしたのが当院です。さらなる患者さんの利便性、治療環境の向上をめざすべく、2016年9月に現在の場所で移転しリニューアル開業しました。僕は8年前に父から継承し院長を務めています。
先生が歯科医師をめざした理由と、これまでのご経歴を教えてください。
物作りが好きで、小学生の頃は建築家になりたいと考えていました。しかし、成長とともに父の働く姿を見る機会が少しずつ増えてきて、歯科というものが身近な存在になり、人の歯を作るという仕事はすごいなと感じるように。物作りという共通点から歯科技工士になりたいと考えていた時期もありました。高校生になると、手伝いや見学でクリニックを訪れる中で、父が患者さんから感謝されている姿を見て、やりがいがある仕事であることを感じ、進むべき道は歯科医師だなと。そこで九州歯科大学歯学部へ進学し、卒業後の臨床研修先は大阪大学歯学部附属病院総合診療部を選択しました。何か一つのことに特化するのではなく、また、歯だけではなく人間全体を総合的に診られるような医療人になりたいと考えたのです。そしてこの思いは、すべての患者さんに多角的で高品質な治療を提供すべく「総合歯科医療」を追究するという当院のコンセプトともつながっています。
クリニックを継承に至った思いをお聞かせください。

臨床研修後の勤務先としていろんなクリニックに見学に行きましたが、当院が一番進んでいると感じました。そして父のクリニックの理念も「人間全体を診ること」で僕と同じです。だったら父に直接学ぶのが一番早いのでは?と感じたため、ここに勤務することに決めました。継承にあたっては、理念はもちろん、クリニックを長く支えてくれているスタッフごと引き継ぎ、成長・発展させていきたいと考えました。めざすは、一般的な虫歯治療から矯正、歯周病治療、審美歯科、高度な外科技術を必要とする難症例の抜歯やインプラント治療まで、地域の「総合歯科医療」を提供するクリニックです。痛みを取るだけではなく、今後問題が起こらないようにお口の環境を整えて、体全体の健康にもつなげていきたいと考えています。
地域の医院と「医科歯科連携体制」を構築
医療連携に力を入れているそうですね。

はい、当院は地域医療の入り口のような歯科医院にしたいと医療連携に力を入れています。通常、医科には体に不具合が出ないと行きませんが、歯科は健康な方が継続して通う診療科です。2~3ヵ月に1度は通うため、微細な病気の兆候や体の不調を発見できる一次予防の前線だと思っています。そこで当院では「本当の医科歯科連携」をめざし、平野区のさまざまなクリニックとスムーズに連携できる関係性を構築しています。例えば、歯周病がひどい場合は血糖値検査をして内科へ、エックス線写真から骨粗しょう症の疑いがあれば整形外科へつなぐなど、口腔に関する疾患のほかに、全身に関わる疾患をスクリーニングして、必要な場合は連携医療機関にご紹介しています。また当院には、歯科では珍しい管理栄養士も在籍していて、訪問診療を通じて歯科と医科のつなぎ役としても働いてくれるため、今まで以上に連携がしやすくなりました。
矯正に関して院内作製する、つまりインハウス型のマウスピース型装置を採用していると伺いました。
今主流になりつつあるマウスピース型装置を用いた矯正は、基本的に装置の作製をアウトソーシングするケースが多く、決められたデザインしかできなかったり、やりとりに時間かかって納品までに少なくとも1ヵ月はかかったりと、いろいろ不都合が多いんです。そこで当院ではインハウス型のマウスピース型装置を用いた矯正を採用。資料の採得、診断から設計、装置の作製に至るまで、院内ですべて完結することができます。修正も即座にできる上、デザインが自由なので一人ひとりに適したマウスピース型装置を作れることが大きなメリットです。また、歯型を採ったら、希望によっては当日または翌日に装置をお渡しすることも可能です。さらにインプラントに関しても、当院では専門性の高い技術の提供に努めており、インプラント治療と矯正を並行して行うなど提供できる診療の幅が広いことも強みです。
院内は明るく、緑が目に入る美しい空間ですね。

「歯科医院は暗くて怖い」というイメージを払拭できるような歯科医院づくりを心がけてデザインしました。患者さんとスタッフの動線を分離しながらもスタッフの動きが時々見えて安心できる配置や、プライバシーに配慮した完全個室診療、植栽や空を見ることができて時刻や天気や季節による変化を感じる空間づくりなど、さまざまな想いを形にしました。もちろん、患者さんのためにという気持ちが第一ですが、スタッフが気持ち良く働けるようにということも意識しました。そして細かなところまでいろいろとこだわった建物にすることで、みんなが「大切に使おう」と意識してくれていて、うれしく感じています。
多職種によるチーム医療を展開
多彩なスタッフが在籍する強みを教えてください。

地域の「総合歯科医療」を提供するためには、歯科医師だけではなく多職種での連携がなければ成立しません。当院は、歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士、歯科助手、管理栄養士など、それぞれ高い専門性を持つスタッフによる「チーム医療」を行っています。チーム医療をまとめる一番の鍵となるのはトリートメントコーディネーターと呼ばれるスタッフの存在です。多職種がさまざまな方向から検討を重ね、患者さんの治療計画を立案しますが、その治療計画や費用などをトリートメントコーディネーターが患者さんに丁寧にわかりやすく説明。患者さんに納得していただいてから治療を開始します。患者さんにお伝えする工程を任せられるおかげで、僕たち歯科医師は治療に専念でき、多くの患者さんの診療に集中できるため、非常に頼りになる存在です。また、歯科技工士も院内に3人いますので、納期の確認や修正など臨機応変に対応してもらえるのも本当に助かっています。
管理栄養士さんの果たす役割について教えてください。
管理栄養士の役割はクリニックによってさまざまですが、当院では具体的には、歯を失った方への食事指導やアドバイスをお伝えしています。また、当院が連携している内科医院には、管理栄養士がいるところが少ないため、糖尿病など生活習慣病の患者さんに対して栄養指導ができない、時間が取れないという悩みがあるようです。そういった場合、連携する歯科医院として、メンテナンスと並行して食事のアドバイスを行うことも可能です。こうした取り組みによって医科歯科連携ができているなと実感しています。
今後の展望を教えてください。

インプラントは、他院ではできないと言われる難症例まで対応できるように、さらなるステップアップに取り組んでいます。また訪問診療も嚥下の評価までしっかり携われるように進めているところです。セミナーや勉強会に参加するなど、僕自身が頑張る姿勢を見せることで、スタッフに学びを続ける大切さを伝えていきたいですね。そして、いいと思えることをどんどん追求して変化し続ける歯科医院でありたいと思います。当院は、本当に自分自身が正しいと思う医療を提供しています。また、スタッフには患者さんに「自分の家族に行うような治療をしてほしい」と日々伝えていますので、まずは安心して通っていただきたいです。医科歯科連携も重視しているので、何かお困り事や体の不調に関しても気軽にお話ししていただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/85万円~、インプラント治療/30万円~、ホームホワイトニング/3万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。