安井 絢子 院長の独自取材記事
あや眼科クリニック
(葛城市/尺土駅)
最終更新日:2025/06/09
近鉄南大阪線・尺土駅南出口より徒歩1分というアクセスの良い地に位置する、「あや眼科クリニック」。入り口は2階だがエレベーターで上がることができ、バリアフリーの院内は老若男女の患者たちでにぎわう。白とピンクとグレーをアクセントカラーとして取り入れた院内は、やわらかい雰囲気で居心地の良い空間となっている。大学病院などの勤務医時代に、一般眼科診療や白内障手術に携わり、目の健康を守ることがその後の生活や人生にとってどれほど大切なことか、深く実感したという安井絢子(やすい・あやこ)院長。クリニックを開業した経緯や、診療する上で大切にしていることなど、話を聞いた。
(取材日2025年4月23日)
眼科の少ない地元で地域貢献がしたいとの想いでの開業
先生はなぜ、眼科医をめざされたのですか?

医師として働く親戚がいたことや、父が製薬会社に勤務していたなどの環境もあって、幼い頃から漠然と選択肢の一つに医師という職業がありました。高校生の時に進路を選択する際、幼少期からの漠然とした憧れをかたちにしてみたいと思い、医師の道を選びました。循環器など興味のある分野はいくつかありましたが、大学時代に立ち会った白内障の手術で、眼科領域に魅了されました。白内障の手術では水晶体の濁りを取って、人工レンズに置き換えていくのですが、その一連の流れを「美しい」と感じたんです。大学卒業後も想いは変わらず、早々に眼科に進むことを決意しました。大学院時代には、日本でも希少なレーザー機器を用いて、主に脈絡網膜疾患についての研究を行い、症例発表会にも参加していました。緊急手術などにも多く立ち会い、専門的な治療の研鑽を早くから積むことのできる環境に身を置けたことにとても感謝しています。
こちらで開業された経緯をお聞かせいただけますか?
もともと、開業するなら地元でという気持ちが強くありました。大阪市内には眼科はたくさんありますが、この辺りにはあまりないので、ここで眼科を開業をしたら地域の皆さんのために貢献できるのではと思っていました。実際に開業してみて、地域の方から、「ここで開業してくれて良かった。遠くまで行かなくてもいい治療が受けられてありがたい」と言っていただくことが多く、私のほうこそありがたいな、といつも思っています。子育て世代も多く住まわれていますが、長くこの辺りにお住まいのご高齢の方も多いので、近くに眼科があるという安心感を持っていただければうれしいですね。
子育て世帯も多いということで、お子さんの来院も多いのですか?

そうですね、このエリアは子育て世代が多いので、小さなお子さん連れでご来院される方も多くいらっしゃいます。お子さん連れでいらした際、「女性医師がいい」という希望をおっしゃる方も一定数いらっしゃるので、私自身が女性医師であるということが患者さんの安心の一つになっているのであれば良かったなと思っています。また、私自身も3人の子どもの子育て中で、スタッフも子育て経験者ばかりなので、親御さんが診察を受ける際には、スタッフがお子さんを抱っこしてあやしたりということも自然に行われています。小さなお子さんがいて来院を躊躇しているという方がもしいらしたら、安心してご受診いただければと思います。
生活背景もしっかり聞き、希望に沿った治療法を提案
患者さんからは、どのような主訴や声が多いのでしょうか。

ご高齢の患者さんですと、白内障で見えにくいとか運転免許更新が危ないといった主訴が多いですね。白内障の背後に別の病気が隠れていることもあるので、丁寧にお話を聞きながら見逃しのないよう慎重に診察を行っています。また、患者さんの生活背景などもよく知っているので、そのあたりも鑑みて、今どんな治療が必要なのか、急ぐのかそうでもないのかといったことを判断するのも、町のかかりつけ医の仕事だと思っています。あとは年齢層を問わずに、春や秋は花粉などのアレルギー症状の方が多いですね。また、このエリアには眼科が少ないので、小学校、中学校の学校健診で要受診となった子たちも多く来院します。私のもともとの専門は網膜疾患なのですが、近隣大学病院など大きな病院からの紹介で来院される方も。遠方まで通わずに、定期的な治療が地元で受けられるようになったことで、患者さんの負担軽減のお役に立てたらと思います。
特に力を入れている治療はありますか?
自分の専門領域である、加齢黄斑変性などの網膜の病気に対する注射治療でしょうか。大学病院では一般的な治療の一つですが、まだまだ対応していない病院も多いので、近隣の医院からの紹介で来院される患者さんも少なくありません。大学病院でしか受けられなかったような専門的な治療を受けることができるというのは当院の特徴の一つだと自負しています。当院は、お子さんの受診が多いのですが、やはりこの辺りでも、お子さんたちの近視の進行を目の当たりにすることが多いですね。小学生でもタブレット型端末を持ち、宿題はタブレット提出が当たり前の時代になり、世界的にも東アジアでも近視の進行は大問題になっています。当院でもさまざまなメニューを取り扱っていますのでお気軽にご相談ください。
診療時に特に心がけていることがあれば教えてください。

家族ぐるみで受診くださる方も多いので、ご家族の構成や状況などは問診時に特にしっかり聞くようにしています。皆さんそれぞれ背景が異なるので、治療の選択肢を提示するにも、ご家族関係などバックグラウンドをしっかり把握しておくことが大事だと考えています。例えば、白内障の患者さんがいて、治療法の選択肢は手術という一択かもしれません。でも、どこの医療機関にご紹介するか、すぐに入院は可能かなどの判断は、背景を知っているか知らないかで大きく変わります。ペットがいるから、介護中の家族がいるから入院は難しいとおっしゃる方も少なくありません。大きな病院であれば、個々の事情まで配慮することは難しいですが、どのような選択肢を取るのがいいのか、患者さんと相談しながら決めていくことができるのが、地域のかかりつけ医の強みだと思います。お一人お一人に寄り添った対応を心がけています。
なんでも気軽に相談できる場所でありたい
印象に残っているエピソードはありますか?

開業した日の風景です。今から5年前で、ちょうど新型コロナウイルスが流行し始めた頃でした。チラシを配ったものの、予定していた内覧会ができず、どこまで地域の皆さまに開業を周知できたのか本当に不安でした。ところが開業当日に扉を開けたところ、朝から三十数人の患者さんが並んで、診察を待っていてくださって、スタッフ一同驚くと同時に、本当にありがたく感謝の思いでいっぱいになりました。「この辺には眼科が少なかったから、できるのを楽しみにしていた」というお声も少なくなく、皆さまからの期待を感じた瞬間でもありました。
今後の展望をお聞かせください。
より地域に根差し地域の皆さまのお役に立てる眼科になっていきたいとの想いから、昨年度には法人化もいたしました。私が専門としている分野は、日進月歩で新しい治療法や器具などもどんどん出てくるので、常に先端の医療を皆さまにご提供できるよう、自分自身のアップデートを常に続けていきたいと思っています。現在も週に1度は大学の外来診療を担当しており、先端の治療や勉強会の情報なども、意識的に集めたり、参加したりすることを心がけています。気軽に来院できる場所でありつつ、専門的な治療も受けることができる地域のかかりつけとして、今後も皆さまのお役に立っていきたいと思っています。
読者へのメッセージをお願いします。

患者さんお一人お一人の訴えに真摯に耳を傾け、地域の皆さまの目の健康を守る「かかりつけ医」として信頼されるようこれからも努力してまいります、また、日本眼科学会眼科専門医として根拠に基づいた、正確かつ迅速な診断に努め、適切な治療へとつなげるとともに、診断が確定した後、今後の治療方針や患者さまの生活において気をつけるべきことなど、できる限りわかりやすい言葉でご説明しています。開業時より、小さなお子さんからご高齢の方まで、何か困り事があったら気軽に相談できる場所を開きたいという想いを持っていました。困ったことがありましたら、お気軽にご来院ください。

