「仕事に疲れた、休職したい」は甘え?
無理せず心療内科で相談を
うめだ心と体のクリニック
(大阪市北区/梅田駅)
最終更新日:2025/01/24
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- 保険診療
働く世代が直面するさまざまなストレス。会社へ行きたくない、オフィスでの仕事が苦痛……という日々が続き、「もう疲れた、休みたい」と思った経験のある人も多いだろう。「それは単なる甘えではなく、背景に“うつ状態”という病的な要因が潜んでいることもあります」と話すのは、オフィス街で診療を行う「うめだ心と体のクリニック」の山田圭造院長だ。「うつ状態」はうつ病、適応障害や不安障害、双極性障害といった精神疾患のほか、ストレス反応として起きることもあり、医療・心理学的なアプローチも必要だという。また、仕事とメンタルヘルスに対する企業の取り組みも様変わりし、「今は休職して治療に専念し、復職をめざすこともできます」と山田院長。そこで、病的な変化のサインや復職を見据えた治療について、詳しく紹介してもらった。
(取材日2025年1月9日)
目次
「できなくなった」の原因にうつ状態が潜んでいることも。復職をめざした服薬やプログラムで前向きな治療を
- Q仕事に行きたくない、疲れたと思うことは甘えなのでしょうか。
-
A
▲穏やかな口調で丁寧に説明してくれる山田院長
もちろん、嫌なことから逃げるという性格的な「甘え」はあるかもしれません。ただ、真面目な日本人は「仕事で以前はできていたことが今回はうまくできなかった」「以前は失敗しても挽回できたけれど今回は取り返せなかった」という状態を、「頑張りが足りないから」「甘えているから」と捉えがちです。この傾向は年齢を問わず、若い人でも見られます。しかし、実は病的な「うつ状態」が、「ミスの増加」や「効率の低下」に影響している場合も少なくありません。仕事を続けていれば、以前にできたことは同じ環境であればできることが多いので、それが難しくなっているようなら、今までとは違う原因があるのではと考えてみることも大切です。
- Qどんな自覚や症状があれば、受診したほうが良いですか?
-
A
▲気になる症状があればまずは受診の一歩が大切
過剰なストレスが心や体にかかると、心理面では気分の落ち込みや不安、眠れない、意欲や興味の低下などが起こりがちです。行動の面では仕事の質が低下したり、休みや遅刻が増えたり、身だしなみが乱れたりといった変化が見られることも。頭痛や肩凝り、動悸、胃痛、食欲の低下、便秘や下痢など、体に症状が出ることも多いです。「疲れが回復できない、翌日になっても疲れが残る」と言われる方も多いです。このような症状は出たり消えたりを繰り返すことも多いですし、体の症状は、まずは内科などを受診すると思います。ですが、症状が続くようであれば無理をして限界まで頑張らず、早めに心療内科や精神科を頼っていただければと思います。
- Qでは、休職すべきサインはありますか?
-
A
▲体や感情の変化が強く表出している状態も限界のサイン
休職や休養に対して、具体的な定義や判断基準はありません。その患者さんの症状や、職場や周囲のサポート体制などさまざまな要因を医師が考慮して、総合的に判断することになります。また、休職するかどうかの最終的な判断はご本人に行っていただきます。実際には、仕事の質や効率が明らかに低下すると、ご本人も自分を強く責めるようになりますし、周囲も仕事を安心して任せにくくなる。すると周囲との溝が深まりがちです。そういった状況になれば、休職を具体的に考える必要があると感じています。またすでに出社できなくなっていたり、仕事中に涙が止まらなくなったり、体や感情の変化が強く表出している状態も、限界のサインかなと思います。
- Q受診するとなると、服薬や復職への不安も感じてしまいます。
-
A
▲ゆったりとした時間の中で、生活環境を整えていくことが大切
治療では脳科学、心理、社会という3つの要因にアプローチします。落ち込みや不安が極度に強い時期は、脳科学的要因に働きかける薬物療法を使い改善を図ります。同時に食事や睡眠など乱れた生活リズムを整えつつ、まずはゆっくりと休み自分を見つめ直す時間を作ります。薬物療法は再発予防にも有用なので、治療の一環として適切に取り入れてほしいですね。また今はメンタルヘルスに対する企業の意識が高く、スキルのある人材を維持し続ける利点を考慮し休職や復職をプラスに捉えているところも多いです。実際に業務調整などの対応も早いと感じています。服薬や休職を過度に不安がらず、うまく利用してご自身の回復に役立ててほしいと思います。
- Q復職をめざすリワークプログラムでは本院と連携しているとか。
-
A
▲適切な治療を継続できるようにサポート
休職して自宅で元気に過ごすのと職場で仕事をするのとでは、回復の度合いが相当異なります。「元気になったから」と復職して「やはり続けられない」となると、ご本人にも周囲にも大きなダメージに。そこで当院では、復職に必要な回復度合いを補うため、なんばの本院と連携してリワークプログラムによるサポートも行っています。リワークプログラムは、病気やストレスへの対処を学ぶだけでなく、ほかの患者さんとのグループワークを通じてコミュニケーション力を取り戻したり、ご自身の考え方を捉え直したりするためにも、とても有用な手段だと考えています。