中島 崇博 院長の独自取材記事
いわよし耳鼻咽喉科クリニック
(都城市/都城駅)
最終更新日:2026/04/02
待合室の大きなガラス窓と優しい木目調が印象的な「いわよし耳鼻咽喉科クリニック」。たっぷりと陽差しが降り注ぐ、明るく開放的な空間が出迎えてくれる。JR日豊本線・都城駅から車で約3分、国道269号線を入ってすぐのアクセスしやすい場所にあり、駐車場も25台分を完備。院長の中島崇博(なかしま・たかひろ)先生は、大学病院の耳鼻咽喉科で研鑽を積んだ、耳を専門とするドクター。大学の後輩から継承する形で2020年に開院した。それまでの理念や地域の人々との信頼関係を引き継ぐために、内容もクリニック名も変えずにスタート。言語聴覚士の必要性や「手術で治療できる難聴がある」ことを語る、穏やかな中にも熱い気持ちがあふれている中島先生に、開院の経緯、診療時の心がけ、今後の展望などを詳しく聞いた。
(取材日2026年1月15日)
多くの出会いに導かれ開院へ
最初に、医師をめざしたきっかけを教えてください。

多くのドクターがそうだと思うのですが、私も父が医師でした。内科の開業医だったこともあり、進路を考えた当初は、内科、特に神経内科に興味を持っていましたね。ですが、そんなときに自分自身が唾石症という病気を患い、患者として耳鼻咽喉科の治療を受けたことがきっかけとなって、最終的には耳鼻咽喉科の道を選びました。実家は内科医の長男が継いでいますので、父としても次男の私は好きな道に進めばいいという感じでしたね。
開院の経緯もお聞かせください。
ここは、もともと大学病院の1年後輩が2014年頃に開院されたクリニックなのですが、体調を崩されたときに何人かで手伝いに来ていまして。その後、体調が戻らずだったので、このクリニックを存続させるために誰かが継承しようということになり、タイミング的に合ったことと、ここは聴覚検査に力を入れていたので自分のスタイルと合うということで、私が2020年7月に継承し開院しました。開院するにあたっては、理念を引き継ぎたかったことと、以前から通っている患者さんに極力同じ内容で続けています、ということをアピールしたかったのもあり、クリニック名は変えませんでした。
院長の医師人生に影響を与えた医師はどんな方ですか?

大きな影響を受けてきた方はたくさんいますね。研修医時代の恩師や大学病院の医局の先生方など、本当に多くの先輩からあらゆることを学ばせてもらいました。耳鼻咽喉科の研修医は卒業生100人の中で私1人だけだったんです。1人しかいないのですべて自分に回ってくるためとても忙しかったんですが、その分、さまざまな症例を診ることができたので、貴重な研修医時代でした。それから、現在は国際医療福祉大学の教授になられている東野哲也先生には、特に耳の手術の細かいことを全部教わったと言っても過言ではありません。丁寧に丁寧に行う手術で、自身の手術はかなり影響を受けていると思います。私の先輩は手術の名手が多くて、そういう意味ではとても恵まれていましたね。
「初診は初心、再診は細心」を肝に銘じて診療に臨む
最近多いと感じる症状はどんなものですか?

開業してから感じているのは、高齢者だけでなく、子どもや若い世代のめまいが少なくない点です。背景には、新型コロナウイルスの流行で人と会う機会が減って、以降の生活環境から変化したことや心理的な側面があるのではないでしょうか。子どもから大人まで全体的にちょっと増えているように感じますね。また、感染症の様相も変わり、昔はインフルエンザは冬の病気と言われていたのが、今は夏でもはやります。新型コロナウイルスに感染した後に咳や喉の違和感が長く続く方も少なくありませんね。
診療時に心がけていることは何でしょうか。
20年以上前から大切にしているのは、「初診は初心、再診は細心」という姿勢です。初めての患者さんは当然フラットに診なければならないので「初心」で診る、再診の患者さんは「また同じだろう」と先入観を持つことなく、「細心」の注意を払うように心がけています。一人ひとりにあまり時間を取れない外来ではあるのですが、思い込みによる見逃しが最も怖いと感じていますので、初心を忘れず細心の注意を払うことをとても大切にしています。
診療において「これだけは」というこだわりはありますか?

耳の疾患、中でも「治療できる難聴を見逃さない」ことです。多くは感音難聴といって内耳の障害で、薬で治療するのですが、鼓膜は正常だけど鼓膜の内側の中耳に病変のあるケースが時にあります。そのような症例は慢性中耳炎などと同様に手術で改善がめざせることも少なくありません。耳小骨奇形や耳硬化症などという疾患なのですが、大学病院時代によく診ており、手術もやっていました。だからこそ、そこは見逃さないようにと気をつけていますね。特に20~30代では補聴器に抵抗があると思うので、しっかり診断して治療を行い、難しい手術の時は大学病院を紹介しています。ただ、残念ながら高齢者の場合は治ることが見込めない場合も多く、その場合の手段としては補聴器をお勧めしています。難聴は認知症のリスク因子の一つと言われていて、補聴器がそれを改善につなげられるというデータもあるので、積極的にお勧めすべきだと思っています。
耳鼻咽喉科専門医として、充実した診療体制をめざす
これからの目標や展望をお聞かせください。

今ある状態でできることをやろうと開院しましたが、せっかく大学で培った専門性があるので、自分の専門領域である耳に関してはできるだけここで完結させたいと思いますね。マンパワーがいることは難しいですし、現状では手術専用のスペースがないので手術が必要な方は大きな病院へ送る形になっていますが、ある程度の症例であれば院内で手術できるように体制を整えたいと考えています。病院を紹介しても、その先で長い期間待機を余儀なくされることがあるので、そういったことを解消するためにも、手術への対応をもう少し充実させたいと思います。それと、聴覚を専門としてきた医師として、より精密な検査と診断ができる環境を整えることも課題の一つです。
聴覚検査をより精密に行うために必要なことは何だとお考えですか?
現在、言語聴覚士という専門の方に週1回非常勤で来ていただいているのですが、この方がいるとレベルの高い検査ができるので、聴覚検査をより精密に行うことができます。ですので、できれば非常勤ではなく常勤で、もしくは非常勤であれば週2回来ていただけるようにしたいところです。ただ、大学院などで育成は進めているのですが、聴覚専門の言語聴覚士はまだまだ少ないのが現状です。おそらく、ほとんどのクリニックは看護師さんが聴覚検査に対応しているのではないでしょうか。宮崎県にも宮崎県言語聴覚士会というのがあり、協会に所属している方はたくさんいるのですが、ほとんどが嚥下のリハビリに就いているのです。補聴器の診療をやる上では言語聴覚士の存在は必須なので、環境を整えていくことが目標ですね。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

かかりつけ医制度ができてから、どの診療科のクリニックもあらゆる疾患を幅広く診ましょうとなりつつありますが、やはり大人であれば内科、子どもは小児科にかかりつけ医を持つことをお勧めします。何かあればそこに行って、薬での改善が見込めない場合や、診断内容によっては専門的な診療科に行く、例えば中耳炎ですと言われたら当院のような耳鼻咽喉科に来ていただく、というのが今後の道なのかなと思っています。そうすることにより当院の外来は数が減るかもしれませんが、その分一人ひとりに時間を割くことができればより専門性が発揮できるので、双方にメリットがあるのではと考えます。もちろん最初から来ていただくのもいいですが、特に耳については頼っていただければうれしいですね。

