伊崎 寿之 院長の独自取材記事
小滝橋整形外科
(新宿区/落合駅)
最終更新日:2024/10/24
東京メトロ東西線の落合駅から徒歩7分。スーパーやコンビニなど、地域住民の生活を感じられる建物のそばに「小滝橋整形外科」はある。院長の伊崎寿之(いざき・ひさゆき)先生は、穏やかで優しい語り口が印象的だ。自身も水泳に長く打ち込み、体の痛みに悩んだ経験があるという伊崎院長は、加齢からくる疾患の他にスポーツ障害の診療にも取り組む。また、骨肉腫などの腫瘍の研究に注力していたという研究者としての一面も併せ持つ。「地域の方々に痛みのない生活を送ってもらいたい」と語る伊崎院長からは、患者の幸せのため治療に取り組む真摯な想いが伝わってきた。今年で開業24年を迎える同院の治療方針や、伊崎院長の診療モットーを聞いた。
(取材日2024年9月12日)
自身の経験から整形外科を志し、腫瘍の研究に注力
百人町で開業された経緯や、街の印象について教えてください。
もともと出身の慶応義塾大学医学部が百人町の近くにあったことと、一時期この辺りに住んでいて街の様子をよく知っていたことが大きいですね。愛着がありましたので、この街で開業したいと思いました。百人町は新宿区にあり、歌舞伎町も近いですが比較的落ち着いた地域だと思います。公務員住宅やタワーマンションといった住宅も多く、生活の拠点になる街ですね。高齢の方から働き世代の方まで、いろんな方が住む面白い地域だと思います。開業した2000年と比べても、街の印象自体はそこまで変わりません。ですが最近は時代の流れか、外国の方が増えてきたかと思います。当院でも、外国人の患者さんをお見かけすることも増えてきました。
先生が医師を志したきっかけや、整形外科を選んだ理由を聞かせてください。
高校時代に、「社会に貢献できる仕事は何か?」とずっと考えていました。さまざまな仕事がある中で、直接患者さんを診て病気を治療する医師という仕事が自分にとっての社会に貢献できる仕事だと思い、医学部を受験したことが始まりです。整形外科を選んだ理由ですが、もともと私は中学・高校・大学とずっと水泳をやっていまして、医学部に入る前から人間の体の筋肉・骨・靱帯に興味がありました。それに加え、練習のしすぎで膝や腰を悪くしてしまい、痛みに悩んだ時期に「自分がこれだけ痛いなら、他の人もきっと痛いはず。それならそういう人たちを治したい」と思ったことが大きな理由ですね。また、整形外科の疾患は痛みが直接的な分、治療の手応えも得やすい分野だと思います。患者さんの笑顔が見られる、そういった整形外科の明るい部分に惹かれた点も大きいです。
防衛医科大学校の講師時代は、骨肉腫など腫瘍の研究をされていたと伺いました。
はい。講師として勤務していた防衛医大では腫瘍の患者さんもよく診ていました。整形外科で腫瘍というと生命に関わる分野ですので、専門に研究する医師はあまり多いとはいえません。ですが私自身、一般的な整形外科の疾患だけでなく、内科的な疾患も含めた全身の診療ができるようになりたいという想いがあったので、専門に選びました。腫瘍はまだ研究されていない分野が多く、未開の地でもあります。研究テーマとしても興味深かったですし、勉強になりました。骨を分解する細胞である「破骨細胞」の起源について研究をし、その後はそれをベースに細胞破壊酵素のMMPがどういったところに分布しているかという研究を行いました。研究はとてもやりがいがありましたし、防衛医大時代に診ていた患者さんが開業後も当院へ顔を見せに来てくださったりすると、感慨深いものがあります。
患者ごとの「目標」に寄り添い、柔軟な治療を
患者の主な年齢層や、主訴について教えてください。
患者さんの数でいうと高齢の方が多いですが、中高生の方もよくいらっしゃいます。若い方は部活を一生懸命やって膝や肩を悪くしてしまう、いわゆるスポーツ障害を診てほしいと来院されるケースが多いですね。百人町は野球のリトルリーグが活発ですので、土地柄もあるのかもしれません。部活に打ち込む方は試合を1つの目標として練習しているので、「この試合までに治したい」という要望もあるでしょう。試合までに完治をめざせるかといわれると、何ともいえない部分もあります。ですがそういった方にとって、多少痛みがあっても「試合に出る」ことはとても大切で、大きな目標であり、使命なんですね。私自身水泳をやっていたので、その気持ちはとてもよくわかりますし、その想いを優先してあげたいと考えています。絶対安静の患者さん以外は、練習して大丈夫な部分、休ませる部分の境界を丁寧に説明して、なるべく想いに寄り添う治療の提案を心がけます。
先生が患者さんに接する際、心がけていることは何でしょうか。
痛みを持って来院する方は、気持ちが沈んでいることが少なくありません。私自身も体が痛いと気分も塞ぎがちになりますので、とてもよくわかります。ですので、来院した際に少しでも患者さんの気分を上げられるように、明るく笑顔で対応することを心がけています。怖い顔をしたとっつきにくい医師は、患者さんも良い気がしませんよね。「患者さんの心に寄り添う」ということは、私自身の診療モットーで、当院の方針でもあります。自分から話をするのが苦手な患者さんもいらっしゃいますので、そういった方には話しやすい雰囲気をつくるようとりわけ気をつけています。あまり話を急かさずに、余裕を持ってゆったりと聞くようにしていますね。
先生が注意されている症状などはありますか?
「電車で肩を押されてからすごく痛くなった」という患者さんを診た経験があります。エックス線画像を撮ると、肩甲骨に骨折があったのですが、どうも折れ方がおかしい。MRIの結果も怪しかったため精査した結果、骨髄腫だったということがありました。そういった患者さんは、私が医師になってから何人か出会っています。腫瘍を長らく研究してきたからか、そういった「少しの違和感」には比較的気づくほうかなと思います。当院では、診察時に何か気になることがあった際、すぐに紹介できるよう、日頃から地域の大学病院とも連携を取るよう努めています。
地域のクリニックとして患者の笑顔のために尽力したい
広々としたリハビリテーションルームが印象的ですが、現在スタッフは何人ほどいるのでしょうか。
現在スタッフは18人ほどおります。リハビリテーションルームには、低周波治療器やホットパック、けん引装置を設置しており、それらをメインに幅広いリハビリテーションを受けていただけるかと思います。高齢になると肩や首など、年齢から来る体の痛みがあちこち出てきます。高齢の方の場合、どうしても痛みを100%取るというのは難しいのですが、定期的に治療やリハビリテーションに通うことで痛みの軽減をめざしていければ良いですね。
先生が医師としての喜びを感じるのはどのようなときでしょうか。
やはり患者さんが良い方向へ向かっていることがわかると、医師としての喜びややりがいを感じます。また、長く地域でクリニックを運営していると、子どもの時に来ていた患者さんが大きくなって10年、15年ぶりに来院することがあります。そういったときは、成長を感じてしみじみと喜びを感じますし、医師という仕事をやっていて良かったと改めて思いますね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
整形外科の疾患は生活習慣病と同じように、生活の中での習慣が大きな要因となる場合が多いです。ですので、少し姿勢や歩き方を気にしてみるなど、日常の些細なことに気をつけて生活を送っていただくと良いかと思います。今後も地域に密着し、地域の方々が痛みのない生活を送れるよう、尽力したいと考えています。もし不安や心配なことがある方は、ぜひいらしてくださいね。