郡家 浩人 院長の独自取材記事
なごみ歯科クリニック
(福岡市中央区/六本松駅)
最終更新日:2025/05/29

西鉄バス城南線・鳥飼バス停よりすぐ。銀行やコンビニなども並ぶ住宅街の一角に、「なごみ歯科クリニック」はある。院長の郡家浩人(ぐんげ・ひろと)先生が同院を開業したのは2020年4月のこと。前身のクリニック時代の患者からの信頼も厚く、歯周病予防、歯のメンテナンスなどに定期的に通う患者も多い。「今はまだあえて強みを掲げることはせず、地域の患者さんのニーズを拾い上げていきたい」と語る院長は、久留米・博多地区で長年研鑽を積んできた。往診や難易度の高い症例に数多く携わり、自身のスキルに自信を持てた今、開業に踏みきったという。「スタッフの意見を取り入れながらクリニックをつくっていきたい」と真摯に語る院長に、クリニックのあり方や患者との向き合い方、今後の展望などを聞いた。
(取材日2020年9月14日/情報更新日2025年5月26日)
患者に届けたい治療がある、そのためのクリニック
クリニックを開業したきっかけをお聞かせください。

勤務医として、久留米や博多地区などで10年以上も患者さんと接してきました。そこでは難しい症例も多く、かなり鍛えられました。そこで得た経験と知識、自分のスキルが大きな自信につながり、開業しようと考えました。加えると、勤務していると、勤務医ならではのジレンマがあるといいますか……。ある程度の制約があり、ベストだと考える治療法を選択できないこともありました。経営者としてはリスクを考えますから当然のことですね。ですから、そこを自分で決められるようになれば良いのではと考えたんです。
先生がおっしゃる「自信」とは、クリニックの強みが見つかった、ということでしょうか?
それとは少し違いますね。長く研鑽を積みましたから、たいていどんな患者さんでも対応できるんです。少なくとも、アベレージ(平均値)以上の医療は提供できると考えています。これが自信です。だからこそ当院では、患者さんの意見を取り入れたいと考えています。最初からインプラント、予防歯科、ホワイトニングなどに絞るのではなく、すべてを平均値以上にする。その中で患者さんのニーズに耳を傾けるうちに、勉強し、設備を整え、平均値のさらに上に突出するものが自然と生まれていけば、という考えです。患者さんの声をおろそかにしたくないんです。
ニーズに対応していくというのも、技術がなければできないことですよね。

そうですね。来てくださった患者さんに、悲しい思いをさせたくないんですよ。患者さんは多様なニーズがあるので、こちらはできる限り選択肢を提案させていただき、それぞれの患者さんにベストな治療法を選択していただきたいんです。だから、患者さんの求める分野を得意分野にしていければと考えているんです。もちろん、極端に難しい症例であれば、出身である福岡歯科大学医科歯科総合病院、九州大学病院などをご紹介します。できないからそれで終わり、なのではなく、地域の患者さんの声に対して何を提供できるかが大事だと考えています。
スタッフの意見を取り入れ、クリニックをつくっていく
どんな患者さんが来院されるようになりましたか?

歯の健康意識が高い高齢の方が多いことに驚いています。というのも、当院はもともと、別の歯科クリニックがあった場所。前の先生がご高齢になったということで、場所を譲り受けました。前の先生はとてもしっかりと患者さんに歯磨きの仕方やメンテナンスの重要性を説いていらしたようで、たとえ歯周病が進行していたとしても、炎症が抑えられ、歯茎と骨がしっかりとして、口の中がきれいな患者さんが多いんです。引き継いだ患者さんたちを通じて、前の先生から勉強させてもらっているようなところもありますね。それに受付スタッフは、前身のクリニックから勤めてくださっています。患者さんにとっても顔見知りの方がいると安心していただけると思うんです。
スタッフとのコミュニケーションで心がけていることなどありますか?
当院では、スタッフの意見を取り入れながらクリニックをつくっていきたいと考えています。昔からのクリニックであれば、トップダウンやワンマン気質の場所も実は多いんです。しかしクリニックづくりとは、院長である私一人ではなく、スタッフの意見を取り入れるものだと私は考えます。課題があれば全員で取り組み、障害は何なのか、解決できないならばどう対策すべきか、現時点でやれることは何なのかなどを全員でディスカッションしていく。今はまだ開院して間もないこともあってルーティンが確立しきれていない部分もありますが、定期的なミーティング・勉強会も積極的に取り入れていく予定です。
なぜそのように考えているのでしょうか?

受動的に働いているだけでは、個々人に知識があったとしてもスタッフの足並みがそろいません。ということは、患者さんに対してもスタッフごとに意見がちぐはぐになってしまう恐れも考えられますよね。当院のスタッフは皆さん経験豊富な方ばかりで非常に心強いのですが、以前に勤めていたところと流れが違ったりすると、何度も患者さんに説明する場面も出てきてしまう。自分たちがどのような知識・技術を持っているのか、どうしたいのかをすり合わせておかないと、スタッフ同士で意見がずれることもありますし、結果、患者さんへのアドバイスなどにも影響が出てしまいます。患者さんに適切な診療を受けていただくためにも、私を含めスタッフが同じ方向を向くというのは非常に大切なのだと感じています。
診療を通じ「噛める喜び」を地域に還元していきたい
院内で知識を共有するために、取り組んでいることはありますか?

最近は新型コロナウイルスの影響もあって、ウェブでのセミナーなどに参加していますね。個人的にはウェブだからやりづらいということはまったくなく、むしろ時間や距離を気にせず勉強できる点が気に入っています。もちろんスタッフにももっと知識を身につけ、経験を積んでほしいと思っています。自らも勉強したいと考えているスタッフもいますから、スタッフの学びに対して援助していくこともできるシステムも構築していきたいと考えています。一人ひとりが勉強したことをクリニックに還元していくような体制にしていきたいですね。
周辺は住宅街でもありますし、ファミリー層も多いかと思いますが、どんなアドバイスをしていますか?
よく聞くお悩みに、「子どもが歯磨きをさせてくれない」というものがあります。対策の一つとして挙げられるのは、歯が生える前から口の中を触ること。例えば、まだ歯が生えていない時期から、口の中をガーゼできれいにするといったことですね。早い段階で触っていれば、抵抗なく歯磨きを受け入れてくれるようになると思います。予防は小さい時から必要ということを認知していただきたい。そういったことを啓発していく役目もあるのだろうと考えています。これはお子さんに限りませんが、歯というのは意外と簡単になくなってしまうものなんです。それを防ぐためにはどうしたらいいのかを伝えていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

「患者さんが10年、20年後も、よく噛んでよく食べ、健康に生活するためのクリニックであること」を目標としています。そのためにはしっかりと患者さんの話に耳を傾け、パーソナリティーを理解し、一人ひとりに合った治療方法を提供していきたいと考えています。若い方ですと、つい予防の優先順位が低くなりがちですが、年に1〜2回のメンテナンスを受けるだけでも将来が変わってくるのではないかと思います。そういった潜在的な課題点も解決していければと思っています。いずれ専門的な部分を持つようになるとしても、地域の患者さんのお悩みには必ず耳を傾け、「ここに来てよかった」と思っていただきたいんです。そのためにもこれからも知識や技術を磨き、スタッフ一丸となって地域の皆さんに「噛める喜び」を還元していきたいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/36万円~、ホワイトニング/1万5000円~