花粉症や不快な鼻トラブルにも
鼻うがいのやり方や注意点を解説
よしこクリニック
(堺市北区/なかもず駅)
最終更新日:2025/02/14


- 保険診療
アレルギー性鼻炎や、鼻の粘膜に炎症が起こる副鼻腔炎、鼻から粘り気のある鼻水が喉に流れ込む後鼻漏などは不快感が強く、生活への影響も大きい。それ以外にも、止まらない鼻水や息苦しい鼻詰まりのほか、鼻の乾燥やむずむず感などに悩まされる人は年齢を問わず多いだろう。これらの一因である鼻内部の汚れや粘膜に付着した異物は、鼻うがいによって自分でも洗い流すことができる。さらに鼻うがいは感染症の予防にも役立つという。そんな鼻うがいの方法やコツ、注意すべきポイントを「よしこクリニック」の恒川宜子院長に聞いた。
(取材日2024年9月20日)
目次
粘膜についた異物を洗い流し、感染症の予防対策にもつながる鼻うがいを習慣づけよう
- Q鼻うがいについて教えてください。
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A
▲日頃から鼻腔内をきれいにしているとスムーズに薬物治療ができる
鼻の内部には鼻腔という空間が広がっています。鼻腔の表面を覆う粘膜に空気中の異物がつくと、異物を取り除こうとする反応で、鼻水やくしゃみなどの症状が起こります。粘膜をきれいにして鼻内部の環境を維持していくことは、花粉症やアレルギー性鼻炎の際に、不快感を軽減するための一助となるため、鼻うがいを推奨しています。また、鼻うがいは鼻腔内の湿度を保つためにも役立つので、季節を問わず鼻の乾燥や鼻詰まりに悩む方、喉の違和感、咳の原因となる後鼻漏の方にもお勧めです。耳鼻咽喉科の診察では、鼻の中を吸引してから薬を使用しますが、日頃からご自身で鼻腔内をきれいにできれば、薬物治療も進めやすいです。
- Q感染症の予防にも役立つと伺いました。
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A
▲鼻うがいは花粉などのアレルギー症状緩和や感染症予防にも役立つ
鼻は呼吸器系の入り口である一方、ウイルスや細菌の侵入経路ともなり得ます。鼻うがいによって鼻の中をきれいに保つことは、感染症の予防にも役立つと考えます。中でも鼻腔の突き当たりに位置する上咽頭は、喉や耳ともつながる重要な場所で、しかもウイルスが付着しやすいんです。鼻うがいで上咽頭の粘膜をきれいに保っていくことは、さまざまな感染症の予防にも貢献するはずです。
- Q鼻うがいのやり方を教えてください。
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A
▲つらい鼻の症状を抱えている患者に鼻うがいを勧めている
一見難しそうに思えますが、意外と簡単で、痛みもほとんどありません。うがい液は、市販の生理食塩水を使うか、煮沸して人肌に冷ました温水に、食塩をしょっぱさを感じる程度に溶かしたものを使用します。そして、片方の鼻からそっと流し込むんです。水は口から出せれば理想的ですが、難しければそのまま鼻から出しても構いません。当院では、塩化ナトリウムに重曹を加えた粉末による10mLシリンジ(注射筒)を使った鼻うがいを指導しています。
- Q注意点はありますか?
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A
▲1日に1回~2回の頻度で洗浄すると良い
水が耳に流れ込むのを防ぐため、少し前かがみの姿勢を取って上を向かないようにしてください。水は吸い込むのではなく、容器のほうを操作して、上咽頭に向かって流し込むことが大切です。さらに、「えーっ」と声を出しながら行うと良いでしょう。そうしたポイントは、鼻の汚れを含んだ液が耳や気管に入らないようにするためなので、守ってほしいですね。また、鼻うがいの直後に鼻をかむと耳に水が入りやすくなるので、控えるか、片方ずつ穏やかにかむことを意識してください。誤嚥の可能性がある場合、どうしても鼻うがいが難しい場合、鼻トラブルの症状が重い時期は避けたほうが良いでしょう。
- Q鼻うがいを継続するコツはありますか?
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A
▲シリンジによる鼻うがいの指導を行っている
当院では、1日1〜2回程度の鼻うがいを勧めています。そのために、院内での指導や定期的な通院による経過観察も行っています。症状が軽いときや、花粉症や感染症が流行する前のタイミングで鼻うがいを始めて、症状が落ち着いた後も続けることで習慣化されると思います。鼻内部をきれいな状態に維持できれば、鼻トラブルが出にくくなることにもつながりますので、悩んでいる方は鼻うがいを続けてほしいですね。