岡田 光司 院長の独自取材記事
神宮前こころのクリニック
(橿原市/橿原神宮前駅)
最終更新日:2025/06/06

橿原神宮前駅の西出口からすぐの場所に、「神宮前こころのクリニック」はある。院長を務める岡田光司先生は、日本精神神経学会精神科専門医として長年患者の心に寄り添ってきたエキスパートだ。エメラルドグリーンの縁が印象的な眼鏡の奥からのぞく優しい目と、ゆっくりと丁寧な話しぶりから温かさがにじみでる。奈良県各地から患者が訪れる同院では、今年1月に診療枠をさらに増やし、毎週新患を受け入れるなど、徹底した患者目線で早期受診にこだわる。昨年10周年を迎えたが、その進化は止まらない。「精神科は受診までに長い期間待たなければならないこともしばしば。だからこそ、なるべく早く受け入れてあげたいんです」と静かに語る岡田院長に、クリニックの診療について話を聞いた。
(取材日2025年5月14日)
「早期発見・早期治療に尽力したい」と開業を決意
まずは、先生が医師を志したきっかけから教えてください。

医師になろうと思ったのは、人の役に立ちたいという想いが強かったからですね。直接人と関わりながら誰かを助けられる仕事はないかと考えていて、医師になれたら人助けができるかなと思いました。精神科を専門に選んだのは、これからの世の中で悩みが出てくるところに寄り添いたかったから。たくさんの患者さんを救いたいと思ったときに、メンタルクリニックで精神科医として働くのが一番人の役に立てるのではないかとの結論に至りました。高齢になったら整形外科的な疾患にかかられる方も多いので整形外科とも迷いましたが、ストレスが多い世の中でメンタルの不調を来す方が多いですし、そういった症状をお持ちの方はこれからもどんどん増えていくと思い、精神科に進みました。
なぜ開業しようと思われたのですか?
勤務医時代から、いつかは自分のクリニックで患者さんを助けたいと考えていました。病院の患者さんは重症の方が多く、社会復帰できないような方がたくさんいらっしゃるんです。そういった方も、症状にもっと早く気づいて早期に治療ができていれば、結果は違ったかもしれません。仕事をしながら病気と付き合っていく軽症の患者さんと向き合いたいという想いが強くなり、開業を決めました。橿原神宮前は奈良県立医科大学がすぐ近くにあり、大学1年生のときから住んでいる第2の故郷。精神科にしては大きいこの場所は、治っていく患者さんがたくさんいてほしいとの想いから選びました。「ほかの患者さんと顔を合わせるのでは」と心配される方もいらっしゃいますから、プライバシーには細心の注意を払っています。待合室には仕切りができるよう随所に工夫を凝らし、お名前を呼ばないように番号札を使って、診察室には私が自ら招き入れるかたちを取っています。
どんな患者さんが多く通われていますか?

当院は成人に絞って診療していますが、20代から90代まで幅広い年齢層の方が通われています。そのうちの7割が、初めて精神科を受診される方ですね。あとの3割は他院から移られてきた方。男女比は6対4ぐらいで、女性のほうが若干多いと思います。駅前という立地もあって、奈良市から吉野町まで、幅広いところから通われていますね。相談内容としては、職場での人間関係、夫婦や家族間のストレスが多いです。精神疾患の症状は、うつやパニック、不眠症などさまざまですが、一番多いのはうつですね。適応障害や大人の発達障害も多くご相談いただいています。重症の患者さんは入院施設に紹介するなど、病診連携にも対応しています。
患者目線に立ち、早期に受診できる体制づくりに尽力
診療にあたって大切にしていることを教えてください。

まずは、心の病気だとはっきりさせてあげたいと思っています。「だらけているだけだ」と自分を責めてしまう方も多いので、「甘えや怠けではなく、病気なんですよ」と、ちゃんと証明してあげる。そして、「ちゃんと治療したら病状は良くなる」という安心感を得てもらもらえるよう心がけています。精神科・心療内科の治療はほかの診療科に比べて長い付き合いになります。診断に対して拒否反応を示される方もいらっしゃいますが、付き合いが長くなればなるほどお互いのことがわかってきますから、関係ができていく中で徐々に受け入れてくださることもありますね。診療に限らず、患者さんに「安心できる」という気持ちを持ってもらうことが大切です。「受け入れてもらっている」「覚えてくれている」といった安心感を与えられるよう、接遇にも力を入れています。
接遇面で特に力を入れていることは何ですか?
早く受け入れてあげること、でしょうか。患者さんを診ていて、受診までにだいぶ時間がかかったのだろうなと感じることが多いんです。最近の精神科・心療内科の傾向として、受診まで2〜3ヵ月、場合によっては半年と、長い期間待たなければならない。完全予約制なので、枠の取り合いになってしまうんですね。でも、患者さんの視点に立ってみると、2~3ヵ月は待てないし、不信感と不安感に襲われるでしょう。早く診てほしいし、苦しい時に診てほしいからです。ですから当院では、2週間以内に患者さんの診察をすることをモットーに、基本的には週に1回、初診新患の枠を確保して受け入れ体制を整えています。月曜の朝8時45分から電話受付をスタートするのですが、9時には用意した枠がすべて埋まってしまうことも。ご本人はもちろん、ご家族からのご相談も含めて、たくさんのお問い合わせをいただいています。
確かに2~3ヵ月は長いですが、2週間なら待てそうです。

「2週間待てば診てもらえる」と思うと、安心感が違いますよね。おかげさまで当初の診療枠では診きれなくなり、今年の1月から木曜の休診をなくし、土曜の午後も診療を始めました。日常で困っていることをすぐにご相談いただけるよう、来るものは拒まず診療していきたいですね。また、受診の際も患者さんを待たせないよう、スムーズな対応を心がけています。受付や会計、患者さんの案内、電話対応に至るまでスタッフへの指導を徹底し、常に患者さんのことを思った気配りができるよう教育しています。患者さんは些細なところまで見ていらっしゃいますからね。
めざすは「受診して良かった」と安心できるクリニック
先生ご自身が健康のために気をつけていることはありますか?

睡眠をしっかり取ることでしょうか。寝るって、大事なんです。当院に来られる患者さんは、眠りが浅い、途中で目が覚める、寝つきが悪いなど、あまりよく眠れていない方がほとんどです。不眠と精神疾患は関連性がすごく高いんですよ。私自身が健康でないと患者さんの安心も得られませんから、しっかりと睡眠を取って現場に備えています。あとは適度な運動ですね。私はファッションが好きなので、大阪に出て、御堂筋通りを好きなブランドの方向に散歩がてらぶらぶらと歩いたりしています。
先生はとてもおしゃれでいらっしゃいますよね。
身だしなみには、とても気を使っていますね。患者さんと接する上で、清潔感はとても大事だと思っています。意外かもしれませんが、医師は手元を見られる職業なんです。患者さんの前でパソコンに入力するので、ネイルサロンに通って爪の手入れをしています。些細なことではありますが、患者さんは私たちの見た目もしっかり観察していらっしゃいますから、細かなポイントまで気配りは欠かせません。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

今は患者さんの数も多いですが、長期間待たせることはありませんし、新患の方も毎週受け入れています。私たちにできる最大限のことをしているので、これを維持できたらいいなと思っています。一番お伝えしたいのは、「勇気を出して受診していただきたい」ということ。「受診して良かった」「安心した」と思えるようなクリニックをめざして診療していますので、来てもらえれば、安心感や信頼感を伝えることができると思っています。でも、会わなければ何もできません。今、何か不安を抱えているなら、ほんの少しだけ勇気を出して、少しでも早く会いに来てください。