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新谷 隆 院長の独自取材記事

ALOHA外科クリニック

(品川区/不動前駅)

最終更新日:2020/10/07

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不動前駅から歩くこと4分。かむろ坂通り沿いのビルの3階に「ALOHA外科クリニック」がある。バリアフリーの院内は青とオレンジで統一され、リカバリールームも広々とした個室仕様。町のクリニックでありながら手術室を構え、腹腔鏡下手術を日帰りで行っているのが特徴だ。「腹腔鏡の手術が日帰りでできることをもっと知ってほしい」と話すのは、院長の新谷隆(にいや・たかし)先生。腹腔鏡の専門家で、現在も他の医療機関で手術を行い、後進の指導にも取り組んでいる。料理が得意で、毎週水曜日はカレーをつくりスタッフに振る舞うという気さくな一面も持つ新谷院長に、クリニックの診療や手術に込めた思い、理念について話を聞いた。
(取材日2020年9月25日)

腹腔鏡の手術が、日帰りでできる時代に

2020年4月の開業ですが、コロナ禍での開業準備は大変だったのでは?

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ええ。でもその分、部屋を個室化するきっかけにもなりました。手術後のリカバリールームは、通常簡単な間仕切りだけの場合が多いのですが、ゆっくりと休めるように仕切りを入れ、個室感覚にしました。ドイツ製の麻酔器は、麻酔専門の先生に勧められてすぐに購入を決めたのですが、あと2〜3日注文が遅れていたら、届くまでに2〜3ヵ月かかっていましたね。ただ、マスクや手袋などクリニックの必需品がどうしても手に入らず、業者の方に八方手を尽くしてもらいました。知り合いの先生から、フェイスシールドの存在を教えてもらい、製造元の会社に事情を話してすぐに送ってもらったり、先輩方が心配して声をかけてくれたりと、多くの人たちの尽力で開業できました。本当に感謝しています。

医院名の「ALOHA」の由来について教えてください。

医院名は「親しみやすい言葉」にこだわり、マークに描かれているハンドサインも自分で考えました。ハワイ語のALOHAにはアルファベット一文字ずつに意味があり、「思いやり、協調、礼儀、謙虚、忍耐」を表しています。これに倣い、われわれのクリニックのALOHAには「外来での日帰り手術、腹腔鏡下手術、ヘルニア修復術専用手術室、アドバンス・ケア・プランニング、緩和ケア」という思いを込め、当院の特徴をそれぞれのアルファベットで表しました。クリニックのカラーは、妻と息子が好きなオレンジ、そして僕が好きな青。この2色って相性が良いそうですね。

腹腔鏡を使った日帰り手術では、どのような治療をされるのですか?

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鼠径ヘルニア、胆石症や胆嚢ポリープ、待機的な虫垂炎など、消化器外科を中心とした日帰り手術を行っています。鼠径ヘルニアは、腿のつけ根の鼠径部の筋肉や筋膜が弱り、腹膜と一緒に内臓の一部が飛び出す病気です。40歳以上の男性に多く、立ち仕事や重い物を持つなど、腹圧がかかる職業の方に多く見られます。全身麻酔が困難で腹腔鏡が向かない症例の方には、従来の鼠径部切開法を行うなど、患者さんに合わせた術式の選択も可能です。また、独居などの理由で日帰り手術が困難な症例では、術後に連携先へ搬送し1泊の入院加療をご案内しています。

多角的に捉える外科の視点を、訪問診療に生かす

腹腔鏡での日帰り手術を可能にした大きな要因は何ですか?

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一番の要因は、麻酔方法の進歩です。腹腔鏡は全身麻酔で、筋弛緩薬を使用し、おなかの中に炭酸ガスを入れて腹腔内を観察しやすいようにして手術します。従来は、術後に筋弛緩薬が代謝されてきちんと自力呼吸が戻るまでに時間が必要でしたが、近年、新しい筋弛緩薬とその効果を止める拮抗薬が開発され、早い時間での自力呼吸の回復が望めるようになったのです。また、代謝の早い医療用麻薬の投与も術中の完全鎮痛が期待できます。さらに今の麻酔は、術後に投与をやめると10~20分で動けるようになります。術直後に自分で回復ベッドまで歩いていける時代ですので、多くの方に日帰り手術のメリットを知っていただけたらと思います。

腹腔鏡の手術のメリットを教えてください。

まず傷口が小さいことです。従来の鼠径部切開法だと4センチほど切開するのですが、腹腔鏡下手術ではわずか5ミリの穴が3個程度。体への負担が少ないため、日常生活への早期復帰が可能です。クリニックの滞在時間も短いので、感染症に対するリスクも減らせます。もう一つは、入院した場合よりも少ない費用で済むことです。保険診療なので医療費の負担は1〜3割ですが、入院と日帰りの差は大きいと思います。鼠径ヘルニアは年間で30〜50万人が発症し、約15万人が手術を受けているといわれますが、社会の高齢化に伴い手術症例は増加すると考えられます。腹腔鏡の手術が身近な町のクリニックで受けられることは、患者さんの安心感のみならず、医療費の削減にもつながると考えています。

訪問診療にも力を入れているそうですね。

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はい、大勢の患者さんを診るというよりも、がんの終末期や床擦れなど、外科の視点を生かした訪問診療を行っています。開業してまだ4ヵ月ですが、地域の緩和ケア病棟を持つ医療機関と連携し、看取りも行っています。訪問診療ではご本人やご家族から病気以外のこともよく相談されますが、ある意味それがかかりつけ医としての大切な役目だと思っています。例えば、処方した薬は1種類なのに訪問すると家中のあちこちから重複する薬が出てきたり、ご家族から言われて初めて気づくことがあったりと、患者さん宅に足を運ぶからこそわかることも多いのです。だからとてもやりがいがあります。

医師にならなかったら、ラグビーの選手になっていた

ところで、なぜ先生は医師を志したのですか?

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難しい質問ですね(笑)。実は、小さい頃には医師になろうとは思っていなかったんです。でも、会社員ではなく、例えば大工さんのように手に職をつけ、その技術を生かせる職業に就きたいとは思っていました。あとは、中学・高校時代の仲間に医学部に行く人間が多かったことや、10歳以上離れているいとこが外科の医師だったので憧れもありました。父からは技術系や工学系の大学を勧められていたのですが、将来何に生かせるかイメージできずにいたら、医師も手に職をつける仕事だと母が勧めてくれました。外科を選んだのは、体を動かすのが好きだったからです。外科の医師という仕事に巡り合うことができ、医学を志して本当に良かったと思っています。

外科の手技はどのように学んだのですか?

鼠径ヘルニアは自ら学び、母校の昭和大学医学部の教室で現在も後進の指導にあたっています。私には手術の師と仰いでいる先生が2人います。1人は昭和大学医学部の消化器外科で、食道外科のスペシャリストとして知られる村上雅彦教授です。私に腹腔鏡の手術を手取り足取り教えてくれ、胆嚢の摘出から胃や大腸の手術など多くを教わりました。もう1人、東京大学医学部の肝胆膵・人工臓器移植外科にいらっしゃった幕内雅敏教授からは、肝臓外科や手術に対する基本原則から術後管理、患者さんとの接し方まで幅広く学びました。手術で幕内教授の前に立った時は緊張で手が震え、糸も結べませんでした(笑)。こうした先生方のおかげで、今の自分があると思っています。

先生はラグビーがお好きのようですね?

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僕にラグビーを語らせたら大変ですよ(笑)。中学受験前に花園大会の決勝戦を見て感動し、中学、高校は絶対にラグビー部がある所に行くと決めていました。幸いにもラグビー部がある第一志望の中学に合格したので、すぐに入部しました。それから大学までの12年間、ずっとラグビーをやっていましたね。ラグビーは1チーム15人で、スポーツの中では大人数。しかも選手の体形に関わらず、競技内ではきちんとそれぞれに役割があるんです。太っていたらスクラムの前で体を張れるし、小柄な選手は隙間をぬえる。誰にでも役割があり、素晴らしい人間関係がつくれる、これほど楽しいスポーツはないですね。ラグビーの中に人生を感じます。

今後に向けての展望をお聞かせください。

手術の症例数を重ねて、腹腔鏡を使った日帰り手術をさらに普及させていければと思います。地域に根づき、体のことで相談したいことがあったら「ALOHAさんに聞けば」と言ってもらえるようなクリニックが理想ですね。現役の日本消化器外科学会消化器外科専門医ですので、がんや栄養学などにも知見がありますし、その延長線上に手作りのカレーがあるのです。腹腔鏡による日帰り手術が普及したのはここ4〜5年なので、まだまだ知らない方も多くいらっしゃいます。今後も、できるだけ多くの方々に伝えていくことが自分のミッションだと思っています。

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