常見 健雄 院長の独自取材記事
れいわ札幌クリニック
(札幌市中央区/石山通駅)
最終更新日:2021/10/12
札幌市電石山停留所から徒歩4分、「れいわ札幌クリニック」は2020年4月に開院したばかりの新しいクリニックだ。院長の常見健雄先生は「スポーツが好きで整形外科の医師になりました」と話す言葉のとおり、小麦色の肌がはつらつとした印象。整形外科の医師になり30年、脊椎外科のスペシャリストとして豊富な手術経験を持つ。診療では患者の希望に耳を傾け、ライフスタイルを考慮した治療を提供することを心がけているという常見院長に、設備のこだわりや医師としてのやりがいなど、ざっくばらんに語ってもらった。
(取材日2020年10月16日)
年齢を理由に治療を諦めず、人生を楽しんでほしい
このエリアに開院された理由についてお聞かせください。
このエリアは子どもの頃からなじみがある土地なんです。また以前に勤務していた中村記念病院などの、近隣の病院との連携を考えて、この場所を選びました。私は札幌医科大学の出身なので、クリニックがある石山通はいつも通っていた思い入れのある道なんですよ。またこの地域の住民の方たちは品が良くて、ご高齢になっても趣味を楽しんで生活をしていらっしゃる印象です。80歳を過ぎた女性で、今もゴルフに出かけている患者さんを知っていますが、その方のように年齢を重ねてもアクティブに人生を送っている人は珍しくないですよ。
患者層や多い主訴について教えてください。
多くの整形外科と同じで、ご高齢の患者さんが多いです。大まかですが、3分の1はホームページを見て来院された方、3分の1は地域の方、残り3分の1は患者さんからの紹介、という内訳になります。また中村記念病院で長年手術や治療を行っていたので、その時の患者さんが、札幌市内の比較的広い範囲から来てくださっています。患者さんの傾向としては、昔と比べて元気なお年寄りが増えた分、膝や腰などの変性疾患も確実に増加しています。しかし昔なら80歳を過ぎていたら年齢を理由に手術を諦めていましたが、麻酔などの医療技術の進歩と合わせて、今の80代は意欲的な人が多いので、当たり前に人工関節などの手術が行われるようになりました。当院の場合、全身麻酔が必要な手術に関しては、提携する病院に入院していただき、私が手術をさせていただきます。
先生はなぜ整形外科の医師を志したのですか?
小学生の時に読んだ漫画の主人公の天才外科医に憧れて医師をめざしました。同じように医師になった人は結構多いですよ(笑)。また、さまざまな科がある中で整形外科を選んだのは、仲の良い先輩や友人の影響と、自分自身がスポーツが好きだったことが大きな理由です。私自身は大きなケガをした経験はないのですが、目が悪い先生は眼科を選んだり、アトピー性皮膚炎の先生は皮膚科に進んだり、というふうに自分や近しい人の問題を解決したくて専門の科を選ぶのは珍しいことではありません。整形外科もやはり、スポーツ好きの医師が多いのですよ。
充実のリハビリ設備を備え、日帰り手術にも対応
長年、脊椎疾患を専門にされていたそうですね。
新人医師時代、当時の札幌医科大学の脊椎外科チームのトップにいた恩師と出会ったことが、この道に入るきっかけになりました。恩師の患者さんを思う気持ち、技術、行動など、すべてが当時の私の憧れであり、今も尊敬する気持ちは色あせません。また脊椎疾患の主なものに、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、頸椎症などがありますが、私はこれまでに脊椎外科で数多くの手術を行い、研鑽を積んできました。開業後はこれまでの経験を生かしながら、薬物療法、リハビリテーション、各種ブロック注射などの保存的加療を優先的に行うことを基本に、日帰り手術にも対応しています。
日帰り手術の対象となる疾患やそのメリットを教えてください。
腱鞘炎や手根管症候群、肘部管症候群のほか、骨折、アキレス腱断裂、ガングリオンなど、局所麻酔や静脈麻酔で行える手術は日帰りで対応しています。まず挙げられる日帰り手術のメリットは、体への侵襲が少ないため、合併性などにつながるリスクの低減が望める点です。また手術時間が比較的短時間で済みますし、手術後は消毒や検査のために数日の通院が必要となりますが、入院する必要がないので仕事や日常生活への影響を抑えられます。入院しないということは、当然入院費用もかかりませんから、経済的負担も軽減されます。当院には充実したリハビリ施設がありますので、手術後にリハビリが必要な場合も安心かと思います。
設備や機器のこだわりを教えてください。
検査機器は先進のMRIのほか、骨密度検査装置、エックス線透視装置などを導入し、多岐にわたる検査が可能です。また特にこだわったのは2階のリハビリ室。器具を多くそろえているだけでなく、シャワー室もついていて、一般の整形外科クリニックとしてはかなり充実した内容だと思います。リハビリテーションは予約制で、週に1~2回、20~60分間、患者さん一人ひとりの状態に合わせたマンツーマンの指導を行っていますので、ぜひ患者さんに活用していただきたいですね。私はスポーツが好きなので、リハビリ室で時々体を動かしているのですが、運動後に汗を洗い流せるのでとても快適ですよ。患者さんが居心地良く過ごせる環境を整えていますが、私にとっても快適な空間で、例えるなら別荘のようなんですよ。
患者と丁寧に意思疎通を図り、ベストな治療の選択を
診療ではどのようなことを心がけていますか?
患者さんが何に一番困っていて、何を望んでいるのかをくみ取ることです。当然ながら、患者さん一人ひとり、ライフスタイルは異なります。その点を考慮せずに治療すれば、教科書的にはベストな治療かもしれなくても、その患者さんにとってはベストとは言いがたい治療になってしまいます。例えば同じ腰椎すべり症の患者さんでも、それぞれのライフスタイルを考慮すると、脊椎固定術を行ったほうが良いという人もいれば、違う治療のほうが良いということがあるわけです。検査画像は治療を決める重要な判断材料ではありますが、画像だけで決めるのではなく、患者さんとお話をして、どこまでを望んでいるのか確認した上で治療していくことを心がけています。
医師としてやりがいを感じる瞬間を教えてください。
腰や膝が痛くて歩けなくなってしまい、「もう高齢なんだから」と周囲や病院からも言われて諦めかけていた人に、手術をして差し上げたことでたいへん喜んでいただけると、「医師になって良かった」と思います。人間の体には不思議なことがたくさんあって、思うように回復に向かわない方もいれば、劇的に回復される患者さんもいます。その姿を見ると、自分の気力と体力が続く限り、患者さんのためにできる限りのことをして頑張ろうと思います。患者さんの元気な姿を見ることが日々のやりがいであり、モチベーションになっています。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。
脊椎を中心に、整形外科の医師として30年、経験を重ねてきました。この経験を地域の皆さんにフィードバックしたいと思っています。他の病院で諦めるように言われた方も、何か力になれるかもしれませんから、ぜひ一度当院を訪ねてみてください。また当院には高齢の患者さんが多いですが、高齢になると体の不調や、複数の疾患を抱えている人も少なくありません。そういった健康に不安がある人の悩み相談のような役割も担っていきたいと思っています。医療の知識はそれなりに持っているつもりなので、整形外科に限らず、気軽に相談をしていただけたらうれしいですね。