河本 新太郎 院長の独自取材記事
しんたろう河本こども歯科
(尾張旭市/旭前駅)
最終更新日:2022/02/03

白亜の円形の外観。その斬新なデザインは、緑の田園地帯の中でひときわ目を引く。名鉄瀬戸線の旭前駅から徒歩約11分、尾張旭市ののどかな風景が広がる地に2020年7月、「しんたろう河本こども歯科」が開院した。院長の河本新太郎先生は、日本小児歯科学会が認定する小児歯科専門医の資格を持つ、子どもの歯や口腔に関するプロフェッショナルだ。大学の教壇にも立ってきた河本院長は「お子さん一人ひとりの成長に寄り添うことが何より大切」と、きめ細かな診療に意気込みを見せる。「子どもと向き合う思いを形にしたら、こんな世界観になりました」と、内装も個性的な院内で、専門家として小児歯科医療に臨む姿勢を存分に語ってもらった。
(取材日2020年9月3日)
子どもの成長・発達に興味を持ち、小児歯科を専門に
内外装とも、とてもユニークな造りのクリニックですね。

デザイン事務所や工務店の皆さんとじっくり時間をかけてつくり込んでいったのですが、「北欧の小さな森」のようなイメージです。リスやウサギをモチーフにした当院オリジナルのキャラクターがいる森で、そこに私が迷い込んで診療を行っている、キャラクターたちが子どもの治療を見守っているというコンセプトになりました。これは私の診療方針にも通じるのですが、子どもが相手でも、いわゆる「子どもだまし」ではいけません。適当なおもちゃを与えて気を紛らわせ、そのすきに治療というのでは、口の健康を守るためにここに来ているという意識が育たないと思うのです。ですからキャラクターにも役割を持たせて、治療に向き合う雰囲気づくりをとても大切にしました。
お子さまの矯正にも力を入れていらっしゃるそうですね。
はい。小児矯正にはI期とII期があり、永久歯の前歯が生えそろいはじめた7歳頃のI期治療は、歯の移動だけでなく成長を利用して、健康的な噛み合わせと骨格を育成することが目的です。II期治療では、生えそろった永久歯をそれぞれ移動させて美しい歯列を整えていきます。当院ではI期のスタート時点から、しっかりと詳細に検査を行い、どこまできれいにしたいのかゴールを決定します。そのゴールに向け、検査の結果から、どのような治療をしていくのかを患者さんと先を見据えて計画を立て、一緒に取り組んでいきます。I期治療のみでは、どうしても求める結果が得られないこともあるので、最初にコミュニケーションを図り、II期治療を含めたゴールを定めるのが重要であると考えています。食生活の様子やお口の運動機能、体幹等をしっかり確認して行いますので、いつから始めても大丈夫ですが、なるべく早い時期のほうが作戦に幅が生まれやすいです。
子どもを専門に診ていこうと決めたきっかけは何だったのですか?

小児歯科の教科書がとても興味深いと感じたのが始まりです。子どもの理想的な食生活に始まり、どういう成長をたどるかということが、市販の育児雑誌より事細かに書いてある。それで子どもの成長過程について考えるのが好きになりました。大学院在学中は、成長と関係する生活リズムについて研究を行いました。小児歯科はお子さんと長いお付き合いになるため、成長とともに診療方法などを見直していくことが必要です。その成長自体に学問的な興味が持てたのは、子どもが好きという理由よりも強い動機づけとなり、今の診療に生かせていると思いますね。もともと私自身、食べることが大好きで、食に直結する学問をやろうと歯学部に進みました。楽しく、おいしく食べるには、子どもの頃からの口腔ケアが大切です。そんな食への思いも小児歯科の仕事につながっています。
「学べる歯医者」として、歯科知識の浸透を図る
あらためて基本的な診療方針について教えてください。

一人ひとりのお子さん、そして、それぞれのご家庭に合わせた診療を行っていくことに尽きますね。小児歯科の世界に「The child is not a little man(子どもは小さな大人ではありません)」という有名な言葉がありますが、肉体的にも精神的にも大人とは大きく異なります。一人ひとり成長途上であり、先を予測して方針を提案していかなければなりません。さらに各家庭の食生活や歯磨き習慣が異なりますから、一人として同じ診療方針はありません。例えば同じ3歳でも、初診から虫歯になりそうな溝に予防処置を行うこともあれば、歯科器具に触れさせるなどして慣れさせ、歯磨き練習から行うこともあります。ほかの子と進行速度の違いに対して心配になることがあると思いますが、得意な教科と不得意な教科があるように、お口の中を触られるのが苦手なだけなので気にしないでくださいね。
子どもに歯科への興味を持ってもらうことを大切にされているそうですね。
当院は「学べる歯医者」をめざしています。来院されるたび、お子さん・保護者さまの歯科的知識が身につき、ご家庭でのメンテナンスにやる気が出るような興味を引く診療ができるといいです。鏡で虫歯を見せながら削ることもありますし、問題のない範囲で歯科器具を触れさせることもあります。時間があれば希望者には院内ツアーを行い、フルフラットの診療台や子どもの背丈を考えた鏡の位置や椅子の高さなど、すべての設備や道具に小児歯科として意味があることを体感してもらっているんです。正しい知識が得られれば怖さも消え、「歯が良くなるところ」とプラスのイメージで歯科医院をとらえやすくなりますよね。
気になる感染症対策はいかがですか?

まず入り口に備えつけの消毒液を常備。器具類は個別に滅菌されていますので、準備を要する急ぎの治療でない限り、保護者さまの目の前で一つずつ袋から取り出すようにしています。また、空調は業務用空気清浄装置を導入。一般的な清浄機に比べ7~10倍の能力があるとされるものです。院内は円形で中央に中庭があることから、窓を開ければ中庭へ空気が流れ、換気能力も十分でしょう。何よりも診察室を含め、待合室やキッズコーナー、トレーニングルームなど、主だった場所が大人の目が届くよう、密室ではなくオープンスペースになっているので安心だと思います。
自分で次の歯科医院を選べるようにサポート
スタッフさんはどのように患者さんに接してくれていますか?

スタッフは皆、子どもたちと楽しく遊びながらリラックスして治療に臨めるよう心がけたり、保護者さまが気軽に声をかけやすい雰囲気づくりも大切にしています。子どもだけでなく保護者さまにとっても通いやすい歯科医院でありたいですね。お子さん相手なので、予期せぬことが起きた時のことも頭に入れつつ、楽しいふれあいの場にしていきたいですね。
今後の目標を教えてください。
お子さんに関しては、しっかりとした歯学的な知識を身につけ、大人になってから自分の考えで歯医者を選べるようになっていただきたいと考えています。小さな頃から通っていると、本当に卒業式を迎えるような雰囲気になり、歯科医師もうれしさと寂しさの両方がこみ上げる不思議な気持ちになります。また、当院の将来としては、ここが地域貢献の場として機能していけると理想的です。お子さんと保護者さまが集まって何かを学べる場。歯科ですから地域とお口と「食」をつなげていきたいです。こういう夢の数々も、毎日の診療をしっかり行い、地域の皆さんの信頼を獲得した延長線上でかなえていけたらと考えています。
最後に読者へメッセージをお願いします。

院内には歯磨きができるトレーニングルームがありますので、歯磨きができていなくても気になさらずお越しください。ここで磨いていただいたほうがかえって、その場で指導できるメリットもあるかと思います。また、お子さんによっては診療時にぐずってしまい、次の順番の方をお待たせしてしまうこともあるかもしれません。地域の子どもたちみんなで成長していけるよう、温かく見守っていただけると助かります。技術的なこと、お子さんの成長・発達のこと、どんなことでも構いませんのでお気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは矯正/乳歯列期:3万3000~7万7000円、I期治療:~33万円、II期治療:22万~77万円(装置代込み)