片江 祐二 院長の独自取材記事
かたえ整形外科・リウマチ科
(北九州市小倉北区/南小倉駅)
最終更新日:2022/08/10

小倉北区真鶴にある「かたえ整形外科・リウマチ科」は2019年に開院。片江祐二院長は、主に急性期病院で外傷や脊椎疾患の手術を中心に研鑽を積んだ整形外科の専門家だ。肩こりや腰痛など整形外科一般の診療を中心としながら、2階のリハビリテーション施設では変性疾患、五十肩、骨折後などの疼痛緩和、可動域や機能の改善をめざし、理学療法士が各患者に合わせたリハビリを行う。また、関節リウマチに関しては、整形外科とリウマチ科の専門医師による双方向からの診療を実施。さらに泌尿器科の医師も非常勤で在籍しているため、多角的視点から診ていけるのが強みだ。一方、休日は「子どもを遊園地に連れて行ったり、塾の送迎など家族サービスで終わります」と父親の顔ものぞかせる片江院長に、同院の取り組みや診療内容を中心に語ってもらった。
(取材日2022年6月23日)
急性期病院で外傷や脊椎疾患の手術を中心に研鑽を積む
まずは整形外科の医師になられた経緯からお聞かせいただけますか。

外科系を志望していたのですが、整形外科には大学の部活の先輩が多かったのが動機の一つです。急性期病院での研修は、病棟に、手術に、と忙しい日々でしたが、同期もたくさんいましたし、手術を担当した患者さんから感謝の言葉をいただくこともあったりと、充実していました。ただ数年ごとに異動がありますので、担当した患者さんをずっと診ることができないというのは心残りでした。私が主に携わっていたのは脊椎に関する手術。脊椎の分野は一言で言うと診断学なんです。神経学的所見をとって原因となっている部分を診断していき、それを画像所見と合わせて手術を行っていきます。それで痛みが改善できれば診断が合っていたという答え合わせができるんです。特にこのような診断から手術後までのプロセスに面白みとやりがいを感じました。
リスクを伴う手術を行われることも多かったのでは?
ええ、手術時間も長くかかりますし、神経の近くを触りますのでリスクも高いことから避けられがちな分野というか、整形外科の中で脊椎を専門にする医師は残念ながら多いとは言えません。不定愁訴も多く、改善をめざすのが難しい分野であることもその要因かと。じゃあ、なぜそんな大きな責任を伴う分野を選んだかというと、あえて人が避けがちなことをやりたいと思ったんですよね。その結果、痛みで悩んでいる方がたくさんいることを実感できましたし、九州に限らず、大阪、北海道、鳥取、和歌山などいろんな地域で診療を行ってきましたので地域性を知るきっかけにも。疾患も性格もさまざまな患者さんを診させてもらったので、少々のことでは動じなくはなりましたね(笑)。このように23年間、急性期病院を中心にキャリアを重ね、2019年に開院というのがこれまでの経緯です。
開院に至ったのはどのような想いからだったのでしょう。

開院前に田川地区の地域医療にも8年ほど携わっていました。同じ患者さんをずっと診させてもらっていたので、とても親しくなり、大きな病院とはまた違った患者さんとの距離感も良いなと思ったんです。手術に打ち込んでいた時期もありましたが、残念ながら患者さん全員を手術で改善に導いていけるわけではありません。手術がすべてではないというか、手術をしなくて済む方もいらっしゃるし、手術をしたとしても改善が難しい方もいらっしゃいます。そういった方たちを外来で診ていく中で、手術以外でも痛みを和らげていけるような医者が地域に必要だなと感じたんです。その想いがどんどん大きくなり、この地での開院に至りました。
整形外科、リウマチ科、泌尿器科の各観点から診療を
この場所はアクセスも良く、街中でありながら駐車場もあるので通いやすいですね。

新小倉病院で勤務していたので土地勘があったことと、患者さんが通いやすいようにと交通アクセスの良さを考えた時に、この場所だったら良いんじゃないかなと思ったんです。実際開院してからは、近くに保育園から大学まであるのでそこに通う若い方たちも多いですし、高齢者も来院されるので、患者層は幅広いですね。若い方は捻挫や骨折、高齢の方は腰、首、肩、膝の痛みなどの症状で来られるケースが多いです。また、当院にはリウマチを専門とする先生もいますので、リウマチの患者さんも来られます。このように各専門の知識を生かし、双方向からの診療を行えるのは当院の特徴ですね。
整形外科とリウマチ科の医師による診療というのはめずらしいのでは?
整形外科の医師がリウマチを診ることがあっても、リウマチ科の医師と一緒に診療を行っているクリニックはめずらしいと思います。整形外科の医師としては、リウマチ科の先生がいるというのは非常に心強いんですね。リウマチに限らず、内科領域の相談もできますから。実際に関節痛を訴えて整形外科に来られる患者さんの中にはリウマチの方が多いため、今のような診療スタイルでやってきて良かったと実感しています。当院には泌尿器科の医師も在籍しています。高齢の方は頻尿など泌尿器に関するご相談も多いので、あちこち行かずにすむと便利に感じていただいているようです。また、大学で骨代謝の研究をしていたことから、骨粗しょう症の治療にも注力しています。
2階ではリハビリ治療を受けることができるそうですね。

ええ、痛みに対するアプローチは薬を処方するだけではなく、ブロック注射や痛み止めの静脈注射などを行ったり、患者さんの状態によって異なりますが、リハビリもその一つ。理学療法士が複数いますので、各患者さんの状態に適したスタッフが担当し、プログラムをご提案していきます。筋力増強やストレッチなどの運動療法、患者さん自身で行える体操や日常生活指導なども実施。スタッフは患者さんのお話にじっくりと耳を傾け、いつも笑顔で対応をしてくれるので、患者さんにも慕われているようです。患者さんのお話をしっかり聞くというのは、クリニック全体で心がけていること。治療とは関係ない話でも遮らないように気をつけています。愚痴を言う場がない方もおられますのでね。
歯科と連携し、口腔がん患者の術後リハビリを
また、歯科との連携も行われていると聞きました。

九州歯科大学附属病院が道を挟んですぐですので、病院と連携を図って口腔がん患者さんの手術後のリハビリを行っています。というのが、病院には理学療法士がいないので、リハビリに対応できる環境ではないようなんですね。そこで、連携しながら当院でリハビリを実施することになったんです。整形外科と歯科って関係ないと思われる方も多いでしょう。ですが、特に放射線治療の影響で首や肩が動かしづらくなるなど、困っている方がたくさんいらっしゃるということが歯科大学病院の先生方と接する中でわかったんです。また骨粗しょう症薬が顎骨壊死を起こすという誤解が広まっているため、大学病院や近隣の歯科医院の先生方とのグループを作り、年に数回、歯科と整形外科分野で関連性のあることや誤解を招かないための情報共有を行う活動もしています。
さまざまな取り組みを行われていますが、休日はどのように過ごされているのですか?
子どもが4人いますので、公園や遊園地に連れて行ったり、塾への送迎で一日終わります。下の子は未就学児、上が高校生と幅広いため家族サービスをしないと家での立場がないんですよ(笑)。ですので休日は自分の時間をつくるのは難しいですね。常にあちこち行っている気がします。だから、もしも自分だけの時間がもらえるとしたら、思う存分寝たり、ダラダラしているかもしれません。下の子がまだ小さいので、自分の時間ができるのはもう少し先になるでしょうね。
最後に今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

AIが診療の一助になる時代はすぐ近くまできています。そのための勉強もしていますので、かたちにしていきたいですね。それと、コルセットの改良にも力を入れています。コルセットは圧迫骨折で使用するのですが、初期治療が十分でないと麻痺症状が出るケースがあるため、どうしたら防げるかと考えたのが始まりでした。クリニックでの治療は保存療法が主になりますので、初期治療の対策は今後も取り組んでいきたいです。そして当院はこれまでのご縁もあり、他の機関との連携を取りやすいのも特徴。これは患者さんの安心感にもつながるのではないでしょうか。痛みや機能障害があっても年齢のせいだから仕方がないと思われている方がいたら、一度ご相談にいらしてください。より過ごしやすくなるよう、しっかりとお話を聞くところから始めさせていただきます。