検診・治療前の素朴な疑問を聞きました！

Q大腸内視鏡検査は、どんなタイミングで受けると良いですか？

A

よくあるのは、大腸がんの便潜血検査が陽性で精密検査が必要な場合です。それ以外でも便秘や下痢が続いたり、血便や気になる感じの腹痛があったりするなら、一度調べておくと安心でしょう。当院では、40歳を超えたら3年に1度くらいの頻度で受診することをお勧めしています。大腸の粘膜には痛覚がなく病気に気づきにくいですが、内視鏡検査では、大腸がんとなる可能性のあるポリープが見つけられるのです。ポリープには良性・悪性がありますが、カメラ画像を通してある程度判別可能。経過観察か切除かの判断も含め、10～15分で完了するので、内視鏡検査がお勧めなのです。また、経過を診る上では同じ医療機関で受け続けることも大切です。

Q患者さんの痛みや不安には、どのように配慮されていますか？

A

大腸内視鏡検査では、「一度受けたが、つらかった」「気恥ずかしくて、受診しづらい」などの声がよく聞かれます。私自身は、大腸肛門病の専門施設で師と仰ぐ医師に出会い、患者さんに負担の少ない内視鏡検査の腕を磨きました。具体的には「無送気軸保持短縮法」という、腸に負担のかかりにくい方法でカメラを挿入しています。この方法の習得には一定以上の修練を積む必要があり、大腸内視鏡検査を行う医師なら誰でもできるわけではありません。また、当院では希望により麻酔で、うとうとした状態で受けられるため、「寝ているうちに終わった」とよく言われます。そのまま隣室に移動できるよう、検査台もストレッチャー式のものを用いています。

Q内視鏡検査のクリニックは、何を基準に選ぶと良いでしょうか？

A

医師の内視鏡検査経験が豊富であることは、まず重要です。特に大腸は、ひだが多く死角だらけで、そこをこまやかかつ丁寧に目視で観察していく必要があります。見逃しを避け、粘膜の状態を適切に見極める力が求められるわけです。ですから、検査時間の短さにとらわれすぎないことも大切。患者さんは検査のために、飲みにくい腸管洗浄剤を飲んでいるのですから、その貴重な機会を有効に使わねばと肝に銘じています。また、大腸外科での診療経験がある医師であれば、内視鏡検査後に必要となる場合の治療について通じていることが多いです。より適切な医療機関を紹介できたり、治療後のフォローについて経験豊富だったりと、頼れると思います。

検診・治療START！ステップで紹介します

1問診と検査についての説明

検査に先立ち、採血検査のために受診する。そこで、検査の内容や不安、疑問点などに対して説明を受け、検査の予約をする。また、当日は内視鏡を通すのに大腸を空にするため、腸管洗浄剤を大量の水で飲むが、それを自宅で行うか、当日来院して行うかも決める。いずれの場合も、検査前日の夕食はメニューのアドバイスに従って20時頃までに済ませ、下剤を服用。そのほか、水分補給などについても説明に従う。

2検査当日、まず腸内を洗浄

当日は朝食を取らずに、指定時間から腸管洗浄剤を飲み始める。同院で使う洗浄剤は1リットルと、少量で済むタイプ。それを500ミリリットルほどの水分で、服用指示に従って、少しずつ飲んでいく。自宅で飲む場合は、不安があればクリニックに電話で相談可能。来院して行う場合は、予約時間に受付をしたら、すぐ検査着に着替え、テレビやトイレのある専用室でリラックスしながら、1時間ほどかけて飲んでいく。

3いよいよ、大腸内視鏡検査

検査台で、医師に背を向けて横になる。同院では希望すれば、静脈麻酔でうとうとした状態で受けられる。「いつの間にか検査が終わっていた」と感じるそうだ。医師はカメラを大腸の奥まで入れ、それを戻しながら大腸の壁やひだの粘膜をモニター画像でチェック。カメラを大腸の奥に入れるまで空気を送らず、腸を畳みながら挿入する「無送気軸保持短縮法」なら、腸が張ったり、無理な力がかかったりしにくく、つらく感じにくいという。

4必要に応じて、ポリープを切除

ポリープが見つかった場合、医師は悪性か良性か、また段階などを見極め、場合によってはその場で切除。なお、その場で切除するかどうかは事前の問診で希望を聞かれる。大腸の粘膜自体には痛覚がないので、ポリープを切除しても痛みを感じることはほとんどないそうだ。また、切除した組織は病理検査に回し、後日、結果を聞く。そうした切除などがなければ、検査自体は10～15分程度で終了。

5リカバリー室で休憩の後、検査結果を聞く

検査台がそのままストレッチャーになるため、検査後は横になったまま移動して、隣接するリカバリー室へ。麻酔をしている場合は1時間ほど休憩し、麻酔から覚めたら、診察室で医師より検査結果を聞く。モニター画面で実際の映像を見ながら説明を聞けるほか、同院では腸のさまざまな箇所の状態が6枚の写真でわかるようにしており、所見の書かれた報告レポートもあるので、理解しやすい。