後藤 有里 先生、本間 篤子 先生の独自取材記事
後藤歯科医院
(新宿区/新宿駅)
最終更新日:2024/06/28

西武新宿駅から徒歩約3分。新宿駅西口からも徒歩約5分ほどの場所に位置する「後藤歯科医院」は、父と娘2人の3人体制で運営する歯科クリニックだ。地域に密着したアットホームな診療を行っている。1976年の開院当初から「痛くない」「怖くない」歯科治療をモットーとし、「年をとっても自分の歯を使っておいしく食べられる」を目標に予防歯科にも力を注いでいるという。「根っからの世話好き」という院長のDNAを受け継いだ後藤有里先生と本間篤子先生に、近年行った移転リニューアルの本音や長く愛される歯科医院であり続けるための工夫、家族で同じ職場で働くことなどについてたっぷり語ってもらった。
(取材日2024年5月18日)
開院50周年を目前に、クリニックを移転リニューアル
移転リニューアルされたそうですね。

【有里先生】2023年12月に、同じ小滝橋通り沿いで2軒隣の新宿駅寄りのビルに引っ越しました。1976年に父である院長が開院してからもうすぐ50年、開院当時は新しかったビルもついに老朽化で取り壊しが決定し、移転することなりました。それに伴い院内設備もすべて新しくしました。
【篤子先生】患者さまの通いやすさを考えると、やはり新宿駅近の条件は譲れず、物件探しには困っていました。そこに、患者として通ってくださっていたこのビルのオーナーさんからお声がけをいただいたのです。エリアを変えず移転リニューアルがかない、本当に助かりました。
院内設計でこだわられた点があれば教えてください。
【有里先生】以前は住居として使用されていたフロアでしたから、スケルトン状態から全面的に改修しました。コロナ禍を経て、感染症対策は強化すべきとの思いから、ユニットの間にパーティションを設けました。面積的には移転前より少し狭くなったのですが、ユニットも同じ3台を設置しているのにも関わらず、患者さまからは「広くなった」と言っていただけることも。動線を重視しつつ、壁や床の素材や色にもこだわって圧迫感を排除した効果でしょうか。設備も刷新し、新鋭機器の良さを実感しています。
【篤子先生】開院当初から導入していた笑気麻酔も、先進のものに切り替えました。当院が一貫してめざす「痛くない・怖くない」治療の実践に、さらに役立てられるようになりました。
診療の特色についてお聞かせ願えますか。

【有里先生】患者さま1人にかける診察時間を長く取っています。高齢の方も多いので、日々の悩み事などをお話ししてから治療を始めることもたびたびです。話すことで元気になられる方もいらっしゃったり、話し方などで口腔機能の状態をチェックできたりするので、何げない会話の時間も大切にしています。もちろん、「痛いところだけ治療したい」「短時間で終わらせたい」という方には希望に合わせた治療も行います。
【篤子先生】「痛いところを治療して終わり」ではなく、定期的なメンテナンスの必要性をお話しします。予防の大切さをわかっていただくため、当院では歯科医師や歯科衛生士が実際にお口の隅々までブラッシングします。正しい歯磨きは「気持ちが良い」「きれいになる」ことを実感してもらうことが大事だと考えています。お口の健康は全身の健康につながることもわかりやすく説明します。今では歯のメンテナンスに通う患者さまも増えました。
人生そのものを知り合う関係でアットホームな診療を
どのような患者さんが来院されていますか。

【篤子先生】近隣にお住まいで、何代にもわたって通ってくださる患者さまをはじめ、遠方から通う方も少なくありません。遠くから一族そろって来られる方もいらっしゃいます。大勢で来院されるので、それはもうにぎやか。子どもたちも小さい頃から来てくれていますので、成長ぶりに毎回驚かされます。「ありがとう」「また来るね」と笑顔で帰っていかれます。そんなアットホームな雰囲気で長年続けています。
【有里先生】通い続けてくださる患者さまもご高齢となり、訪問診療の必要性も実感しつつあります。エリアの開発が進んで住居は少なくなりましたが、郊外に引っ越された方がわざわざこの街を訪れるというケースも少なくありません。長年勤めているスタッフもいて、互いに人生そのものを知り合う関係。皆さまの「帰る場所」になれていればうれしいですね。
最近感じる傾向などありますか?
【有里先生】最近特に増えているのが歯ぎしりです。歯ぎしりは自分では気づかなくても、歯の摩耗具合から判明することもありますし、虫歯はないのに歯が痛いというとき、実は歯ぎしりが原因ということも多いのです。歯ぎしりは脳がストレスを解消しようとして起こる症状で、根本的な解決を図るにはストレスをなくすことしかありませんが、「スプリントを入れる」「寝相に気をつける」「鼻呼吸を心がける」「枕を低くして寝る」といった対症療法もあります。
レーザー治療も導入されていますね。

【有里先生】外科処置の他に歯周病の治療や根管治療の際も使用します。小さい傷口で処置が可能なので、メスなどの刃物を使って 「切られて血が出ている」や「怖い・痛い」という印象を持たれることが少なく、私たちも重宝しています。
【篤子先生】歯科治療に不安や恐怖心を抱いている方は多く、中には診察室の椅子に座るだけで汗びっしょりになる方もいるほどですから、痛みのコントロールはとても大切です。レーザーを使えば痛みの軽減にもつながりますので、治療に恐怖心のある方には心強いでしょう。また、当院では笑気麻酔も対応しており、痛みが少なく、怖さも軽減させた治療をお望みの方にとっては満足度の高い治療になるのではと思っています。
変化を続けるこの街で、あえて変わらないものを大切に
診察で心がけていることは?

【有里先生】患者さまが求める治療を正しく見極めることですね。全部きれいにしてもらいたいのか、今痛いところだけ診てほしいのか、患者さまの話をよく聞いてニーズを読み取ります。また、歯周病に関する説明は特に丁寧に行います。歯周病という言葉は知っていても、誤った認識をお持ちの方も多いからです。歯周病予防に大切なのは定期的なメンテナンスですから、歯科医師による正しいブラッシングの効果を実感してもらうなど、歯の健康維持に興味を持っていただきやすいアプローチを心がけています。
【篤子先生】なるべく専門用語を使わず、わかりやすい説明を心がけています。エックス線写真を見せながら今の歯の状態を一緒に確認し、必要な治療法と時間・費用なども含め、患者さまの不安がなくなるまで何回も説明し、納得した上で治療ができるように配慮しています。
家族が一緒の職場で働いていて良かったと思うことは?
【有里先生】3人とも得意分野が違い、自分の手に負えないときは「お願いします」と頼みやすい環境ですし、すぐに相談できる人がそばにいるので心強いです。私の場合、すでに幼稚園の卒園文集に「歯医者さんになってパパと一緒に働くことが夢」と書いていたので、その夢は実現できました。
【篤子先生】遠慮せずなんでも聞けるのは家族ならでは。ちょっとした疑問もその場で解決できますから、理想的な環境です。父からも母からも「歯科医師になれ」と言われた記憶はないのですが、気がつけば姉妹そろって父と同じ道に進み、一緒に働いているのですから不思議ですね。
今後の展望をお願いします。
【篤子先生】ニーズに応えてホワイトニングなど、薬品を使用する器具も新しくしました。ぜひこれらも体験してみてほしいです。これからも患者さまとの対話を大切にし、心の通い合う診療を続けていきたいと思っています。
読者へのメッセージをひと言いただけますか。

【有里先生】開院以来、50年近くにわたりコミュニケーションを大切にした診療を実践しています。歯科医院が怖いという方もいらっしゃると思いますが、50年前にまだ導入する歯科医院が少なかった頃から、当院では笑気麻酔を取り入れてきました。ご不安をお持ちの方もぜひご相談ください。体同様、歯もお口の機能も年齢とともに少しずつ衰えてきます。失ってしまった歯は戻りませんが、さまざまな方法を用いることで「噛んで食べる」という目的をかなえることが望めます。その中で生まれた時から一緒にいる自分の歯を1本でも多く残していけるように、正しいケアやお手入れを一緒にしていけたらと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはレーザー治療/1ヵ所:500円~、PMTC/3500円~、セラミッククラウン/11万円~、ホワイトニング/全顎:4万5000円、床矯正/装置上下顎:40万円~
※症例によって費用が異なりますので、詳しくはクリニックにお問い合わせください。