大橋 勝 院長の独自取材記事
吉祥寺歯科口腔外科・矯正歯科
(武蔵野市/吉祥寺駅)
最終更新日:2025/02/26

秘密基地のようなクリニック「吉祥寺歯科口腔外科・矯正歯科」を訪ねた。エレベーターの扉が空くと、そこは和モダンなインテリアで統一された心落ち着く空間。迎えてくれる院長の大橋勝先生は基幹病院で数多くの手術も経験してきた歯科口腔外科の専門家だ。矯正を専門とする女性歯科医師たちとタッグを組み、歯科口腔外科と矯正歯科の「合せ技」を得意とする。地域に密着した小さなクリニックでありながら、時には高度な治療も行う。がんかもしれないと心配しがちな口内炎、突然のけがなどはたとえ予約でいっぱいでもできる限り迅速に対応しているという。患者の不安に真摯に寄り添う大橋院長に診療にかける思いなどを詳しく聞いた。
(取材日2024年11月28日)
歯科口腔外科と矯正歯科の「合せ技」で高度な治療を
先生が歯科口腔外科を専門としたのはなぜでしょうか。

歯科口腔外科を選んだのは机上の学問だけではなく現場での経験がものをいう点、留学のチャンスがあったことなどが大きかったですね。昭和大学大学院口腔外科分野で博士号を取得、同大学病院歯科などに勤務した後、トーマス・ジェファーソン大学整形外科でがんや骨の研究にも携わりました。帰国後は昭和大学歯科病院の顎口腔疾患制御外科、インプラント科、JCHO東京高輪病院に勤務。一貫して地域の歯科クリニックからの紹介を受けて患者さんを診ていましたが、遠方から大変な思いをして通う方も多く、「ある程度の難症例の患者さんも地元で治療を受けられるようにしたい」と考えるようになり開業に至りました。
こちらのクリニックの特色を教えてください。
一般歯科はもちろん、専門性が必要とされる歯科口腔外科と矯正歯科を2本の柱としているのが当院の特色です。それぞれがバラバラに独立しているのではなく、時には協力して「合せ技」のような治療ができるのも強みといえます。じつは矯正は単に歯列や噛み合わせを整えるだけが目的ではなく、より良い治療の選択肢を広げるために使うこともできるのです。例えば、歯槽骨が足りずにインプラントを入れるのが難しい場合、骨造成ではなく矯正を併用するケースもあります。矯正で欠歯部分まで健康な歯の移動を図ると、もともと歯があった部分にインプラントを埋入することが期待できます。逆により精密な矯正のためにインプラントをすることもありますね。
矯正はどのような先生が担当していますか。

非常勤で2人の女性歯科医師が担当していて、それぞれが小児矯正、成人矯正を得意としています。小児矯正の先生は2児の母でもあり、親御さんたちとのコミュニケーションもとてもフレンドリー。型を取ったり装置をつけたりするのが苦手なお子さんにも、その子に合わせた声かけをしてくれるような優しい先生です。一方、成人矯正の先生は大学病院のような先進の治療を手早く行うエキスパート。歯周病などで歯が不適切な場所に移動している人にまず矯正をして、その後に入れ歯を作るといった治療もしています。そうすることで、せっかく作った入れ歯が合わないといった事態に陥ることも防げますからね。
腫瘍やけがなど歯科口腔外科専門だからこその強み
難しい親知らずの抜歯も得意と伺いました。

難しい親知らずは抜歯後にまひが出ないように注意が必要です。当院では矯正で親知らずを少し引き出した後に抜くという手法でリスクを回避しています。親知らずを温存すればいつか歯牙移植に使えるメリットがあるという意見もありますが、一方で、親知らずを抜いていれば歯牙移植自体が必要なかったということもあります。親知らずを残したままでは本体だけではなくその手前の第二大臼歯も虫歯になりやすいんですね。これまで、親知らずと第二大臼歯に大きな虫歯ができて2本とも抜歯しなくてはいけない例をたくさん見てきました。だからこそ、患者さんの口腔内の未来を守るためにも、必要に応じて親知らずを抜くことをご検討いただけるようお話しています。
けがと口内炎は予約がいっぱいでもできる限り迅速に対応されているのはなぜですか。
近隣には学校や保育園も多く、部活動でボールを顔面で受けた学生さん、転んで歯から出血しているお子さんなどもよく来ます。地域のニーズに応えるためにも外傷は積極的に診ていきたいです。また、口内炎に関しては、がんを心配している方も少なくありません。眠れないほど悩む方もいますし、できるだけ早めに診察して問題なければ、「何でもありませんよ」と安心していただきたいと思っています。腫れが出たり消えたりする良性腫瘍などもあり見極めも難しいのですが、大規模病院での口腔外科では腫瘍系の疾患も数多く経験してきました。がん、前がん病変が見つかった場合は、武蔵野赤十字病院、JCHO東京高輪病院を迅速に紹介できますのでご安心ください。
現在も基幹病院で手術に携わっていらっしゃるのですね。

毎週火曜日はJCHO東京高輪病院で診療にあたっているので手術をすることもあります。当院に顎の骨折などで来た患者さんを、病院のオペ室を予約して執刀することも可能です。顔面骨折のオペを形成外科の先生とチームになって行うこともあります。形成外科の先生が鼻、僕が下顎を担当するといった具合です。顔面骨折では噛み合わせを再現しなくてはいけない例も多々ありますが、やはりそれは歯科医師でなければわかりません。医科の先生から患者さんの虫歯や入れ歯の相談を受けることもあります。患者さんの全身の健康を守り少しでも生活の質を向上させるためには、医科歯科連携は欠かせません。今後とも協力していきたいと思っています。
スポーツを楽しむ人や近隣住民の健康を口腔内から守る
診療にあたって大切にしていることは何ですか。

患者さんの気持ちに丁寧に寄り添うことを大切にしています。歯科口腔外科に来る患者さんは緊張されていることが多いので、まず私が待合室に行って、少しお話して気持ちを和らげてから診察室にご案内するようにしています。また、インプラントに不安をお持ちの方もまだまだ多いので、けっして危険なものではないということもお伝えするようにしています。1〜2本のインプラントで支えて入れ歯の安定を図るなど、コストを抑えた治療法もあることはあまり知られていません。少ないインプラントで生活の質の向上につながる治療もあるのだと、より多くの方々に知っていただければと思っています。
今後の展望についてお聞かせください。
2021年夏に国際的なスポーツ大会の歯科コアスタッフを務めるなど、スポーツ歯科にも興味を持っています。これからも、アスリートやスポーツを楽しむすべての大人と子どもの口腔内を守るような取り組みをしていきたいです。例えば、スポーツ用マウスガードをもっと普及させたいと思っています。マウスガードを装着していれば歯の外傷を予防するだけではなく、歯が強くぶつかり合った振動が脳に伝わって脳震盪を起こすリスクも軽減できるんです。プレイ中だけではなく、本気でスポーツに取り組むなら体の一部に炎症を持っているいのはマイナスで、虫歯や歯周病の管理も怠ってはいけません。しっかりと食いしばれる噛み合わせも大切なことなども伝えていきたいです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

今後とも、地域密着型のクリニックとして皆さまのお役に立てればと思っています。歯周病と全身疾患の関連性がさかんに指摘されている昨今、ご不安な方も多いのではないでしょうか。生活習慣病、心疾患、脳疾患などを引き起こすことのないよう、予防歯科を始めるのに早すぎることはありません。お子さんや親御さんをお連れになる方も増えていてうれしく思いますが、働き盛り世代こそつい後回しにしがちなご自身を大切にして欲しいです。将来の健康のために今からできることもあります。家族みんなのかかりつけ医として末永く健康を見守らせていただければと願っています。
自由診療費用の目安
自由診療とは成人矯正/ワイヤー矯正(全顎):88万円~、成人矯正/ワイヤー矯正(部分):22万円~、マウスピース型装置を用いた矯正/110万円~、小児矯正(1期)/38万5000円~、小児矯正(2期)/49万5000円~、インプラント治療/44万円〜、スポーツ用マウスガード/一般用1万1000円、学生用8800円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。