井田 裕太郎 院長の独自取材記事
蒲田いだ耳鼻咽喉科
(大田区/蒲田駅)
最終更新日:2025/12/26
JR京浜東北線の蒲田駅と京急蒲田駅のほぼ中間に位置する「蒲田いだ耳鼻咽喉科」。2020年の開業以来、子どもから高齢者まで幅広い世代の人々が訪れている。同院の井田裕太郎院長は東邦大学医療センター大森病院で経験積んだ日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医。耳・鼻・喉の症状、アレルギー、睡眠時無呼吸症候群など幅広い診療に対応するほか、めまいや聞こえに対する補聴器の診療にも注力している。モットーは、患者自身も治療に参加し問題解決をめざす寄り添う医療。井田院長に、診療や患者への思いを聞かせてもらった。
(取材日2022年5月31日/再取材2025年9月8日)
患者とともに考える診療と通いやすさの追求
開業の経緯を教えてください。

僕は西蒲田で生まれ育ち、現在も実家には両親が住んでいます。大学卒業後は東邦大学医療センター大森病院の耳鼻咽喉科で診療に携わり、2020年1月にこの地で開業しました。クリニックのある場所は、曽祖父の代から3代にわたり歯科医院を営んできた場所で、開業に併せて建て替えを行いました。幼い頃は自分も歯科医師になるものだと思っていましたが、将来を考える中で、人の健康や命に直接関わる仕事への関心が強くなり、また多くの診療科から自分に合った分野を選べる点に魅力を感じて医学部へ進学しました。耳鼻咽喉科は診断から治療まで一貫して患者さんを診ることができ、内科的領域から外科的分野まで幅広く関われる点、そして治療を通じて患者さんの変化を実感しやすい点にやりがいを感じ、専門に選びました。
どのような患者さんがいらしているのでしょうか。
開業時からメイン層は周辺の会社に勤められている方で、最近は土地柄か航空性中耳炎でお悩みの方がたくさんいらしています。また、お子さんも増えている印象です。お子さんはアレルギーや風邪のご相談や、耳掃除などをしに来られます。アレルギー検査では採血が苦手なお子さんも多いので、指先に針を刺してわずかな血液で8種類の抗原を検査し、20分ほどで判定できる機器を取り入れています。2階にはキッズスペースも設けているので、飽きずに過ごしてもらえるのではないでしょうか。
通いやすさのために、取り組まれていることはありますか?

地域医療に貢献したいとの思いから、現在は体力や集中力が許す限り、なるべく多くの患者さんをお受けしています。その結果、待ち時間をできるだけ抑えるため、やむを得ずお一人お一人にかけられる診療時間が限られてしまっている点について心苦しく思っており、診療体制や運用の工夫など、改善に向けて取り組んでいます。その一環として、診察時間を有効に使えるよう順番受付システムやウェブ問診票を導入し、会計面ではキャッシュレス決済にも対応しています。また、開業時は新型コロナウイルス感染症の流行下であったことから、できることから取り組もうとオンライン診療も開始しました。現在は感染症が流行する時期を中心に、アレルギー薬の処方やCPAP治療の経過観察などで活用しています。受診方法の選択肢を広げることで、患者さんにとって無理なく通っていただける環境づくりにつなげていきたいと考えています。
診療におけるモットーをお聞きします。
診療において大切にしているのは、患者さんにとって最善の医療を提供すること、そして患者さんご自身にも治療に主体的に参加していただくことです。医師はつい知識をもとに治療方針を一方的に示してしまいがちですが、患者さんの立場で考えると、複数の選択肢の中から納得して選ぶことで、治療への理解や前向きな姿勢につながるのではないかと感じています。そのため、患者さんが何を望んでいるのかを丁寧にくみ取り、一緒に方向性を考えることを心がけています。話しやすい雰囲気づくりを大切にし、スタッフ間でも患者さんの情報を共有しながら診療にあたっています。
専門性の高いめまいや補聴器の診療も
めまいや補聴器の診療に力を注がれていると伺いました。

はい。大学病院時代の外来でめまいや耳鳴りにお困りの方が多かったので、専門的に勉強するようになりました。めまいは40〜60代に多いのですが、この年代では聞こえに問題が出てくる方も多いため、両方の診療に力を入れるようになりました。めまいに関して当院でできる検査は、赤外線CCDカメラで目の揺れを診る検査と、直立姿勢で現れる体の揺れを解析する重心動揺検査です。これに、問診や視診を加えて診断していきます。もっと詳しい検査が必要と判断した場合は、東邦大学医療センター大森病院を紹介し、僕が外来を受け持っている時間に受診してもらい検査を行います。
めまいに専門性を持つ医師に相談する良さは、どういったところにあるのでしょうか。
めまいの原因は睡眠時無呼吸症候群や精神的な問題、整形や婦人科系の病気など多岐に及ぶため、個々に合わせた診療が必要です。特にご高齢の方の場合は複数の原因が重なってめまいが起こっているケースも多く、医療機関にかかっても「うちの診療科ではないよ」と流されてしまうことがしばしばあるようです。経験を積んできた医師であれば原因を見極めて、患者さんに伝わるようにご説明できるところがメリットの一つといえるでしょう。僕が若い頃、めまいの外来をしていた大先輩の先生の診察を見させてもらった際、患者さんから「この先生についていけば大丈夫だ」という安心感を感じたんです。症状が長く続くと精神的にもつらくなってしまう方も多いので、そういった意味でも解決のための手札を持っている先生にかかることで、安心いただけるのではないでしょうか。
補聴器の診療についてはいかがでしょうか。

火曜日と金曜日の午前中に補聴器調整を専門とする業者の方に来てもらい、専用の診療時間を設けています。お友達やご家族の勧めで、補聴器を導入される際や、量販店でケアを行われている中、お悩みがあっていらっしゃる方も多いですね。補聴器は装着してすぐに体になじむわけではなく、2〜3ヵ月かけて徐々に慣らしていくものです。患者さんの大半は、補聴器を着ければすぐに聞こえるものだと思っていますが、これは大きな間違いです。聞こえなかった音が聞こえるようになると、最初は煩わしく感じますが、それが普通です。ただ聞こえればいいというものではなく、一人ひとりに合うように微調整をしに来ていただく必要があります。補聴器は決して安価ではありません。本当にご本人が使いこなせるかどうかを体験していただくために、初回相談時から1〜2ヵ月程度、貸出期間を設けています。ご自身が十分に納得された上で、導入を決めていただきたいです。
生活の質に直結する耳鼻咽喉科領域。積極的な治療を
メニエール病の中耳加圧療法も行っているとか。

はい。中耳加圧療法は強弱をつけた圧力の波を耳の奥に送り、内耳にたまったリンパ液を押し出す治療で、1日に2回、3分程度行っていただきます。近年保険適用になった機器を貸し出しご自宅で行っていただく治療です。それまでメニエール病は投薬と生活指導といった内科的なアプローチがメインで、これで良くならない人は、手術など侵襲の大きな治療しかありませんでした。中耳加圧療法が登場したことで、内科的アプローチからすぐ手術に至るのではなく、その中間の治療が可能になりました。
病院での外来診療も続けられているそうですね。
はい。水曜日の午後にめまいに特化した外来で診療を続けています。理由は大きく2つあり、1つは先進的な医療の研究や臨床を行う大学病院に身を置くことで、新たな治療法にふれられるから。開業しているからこそ、大切なことだと思います。知見を得て学び、クリニックの診療で患者さんに還元していきたいです。もう1つは、込み入った状況の方が紹介状を持ってクリニックにいらっしゃる機会も多いのですが、ありがたいことに患者さんが増えたことで十分に時間を割けないこともあって。それならば、自分で自分に紹介する形で「病院で話を聞くので、検査がてら来ませんか?」とご提案すれば良いのではないかと、クリニックと病院の両軸で診療を行っています。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

耳鼻咽喉科の領域には生活の質につながる疾患・症状が数多くあります。特に聞こえは、認知機能と大きく関わりがあるといわれています。「年だから」と諦めるのではなく、ぜひ積極的に治療を行ってください。僕は話をするのが好きなので、外来は自分が自然体でいられる場所です。医者っぽくなりたくないと思っていますし、患者さんとの間に壁をつくりたくないので、近所のおじさんやお兄さんといった感じで、気軽にご相談ください。

