徳永 誠 院長の独自取材記事
徳永産婦人科
(鹿児島市/市立病院前駅)
最終更新日:2024/12/04

鹿児島中央駅から車で約7分。デザイナーズホテルのようなスタイリッシュな外観が目を引く「徳永産婦人科」は2019年に開院。不妊治療から妊娠、出産、婦人科疾患の診療まで女性の健康をトータルでサポートし、地域の産科医療の中心的役割を担っている。クリニックを率いる徳永誠院長は日本生殖医学会の生殖医療専門医の資格を持ち、鹿児島や東京、大阪の病院で研鑽を積んできた不妊治療のエキスパートだ。看護師や培養士、臨床心理士をはじめとした不妊治療に精通するスタッフとともに届ける「チーム医療」を大切にしている。患者を取り巻く生活背景にも配慮した一人ひとりに合ったオーダーメイドの医療に力を注ぐ徳永院長に、特徴や診療への思いをたっぷりと聞いた。
(取材日2024年10月2日)
心穏やかに過ごせる工夫を凝らした院内
医療機関であることを感じさせない、すごくおしゃれなクリニックですね。

ありがとうございます。ホテルライクでありながら患者さんがリラックスして過ごせるような空間にこだわりました。落ち着いた木目調や落ち着いたトーンの壁紙をあしらい、ダウンライトで温かい光が院内を照らしています。また、不妊治療と産科・婦人科の建物を入り口から2つに分け、それぞれ受付や待合室を設けています。不妊治療に取り組まれている時に、妊婦さんと同じ空間にいることがつらいと感じられる方もいらっしゃるためです。2人目からの不妊治療をご希望される方には、お子さん連れでも来院いただけるようキッズスペースも用意し、一緒に診療を受けていただくことも可能です。
病室など設備面のこだわりも教えてください。
病室、診療室、陣痛室、分娩室はすべて個室です。病室はソファーベッドやトイレ、洗面台のついた洋室の一般個室と、バスタブつきの特別個室を和洋室で用意。いずれも未就学児の宿泊が可能です。3階のラウンジからは鹿児島のシンボルである桜島がきれいに見えるのですよ。心身に負担のかかる出産前後こそ、景色を見ながら心穏やかに過ごしていただきたいですね。管理栄養士とシェフが連携して提供する食事も当院の特徴の一つ。栄養バランス、美しい彩りや味にこだわり、季節のイベントにちなんだメニューを取り入れることもありますよ。ビューティールームではアロマを使ったエステを行うなど、産後の疲れを癒やせるよう工夫しています。
こちらを開院されるまで、院長はどういった道のりを歩んでこられたのですか?

産業医科大学医学部に在学中、実習で出産に立ち会う機会があり「たった0.1mmの卵子が、このようなかわいい子どもに成長するのだな」と、生命の不思議さや尊さに感動した経験がありました。小児科と産婦人科で迷ったのですが、産婦人科の医師が減少しているという社会的背景も知り、産婦人科の医師になることを決意。卒業後は鹿児島大学とその関連病院や、東京の愛育病院、レディースクリニックあいいくのほか、IVF大阪クリニックなどで勤務してきました。産婦人科の医師として命の誕生に携わる喜びを感じる一方で、赤ちゃんがなかなかできずに悩むご夫婦にもたくさん出会いました。不妊治療の重要性を痛感したことで、不妊治療から分娩、産後の健診までケアできるクリニックをつくりたいと考えるようになり、開院を決意するに至りました。
「チーム医療」で妊産婦の不安をサポート
こちらで行われている不妊治療について教えてください。

タイミング指導や人工授精といった一般不妊治療、体外受精・顕微授精による高度生殖医療のほか、不育症検査や卵管鏡下卵管形成術など幅広く対応しています。特に大切にしているのは年齢や不妊歴、治療歴や、検査で判明した不妊の原因のほか、患者さんを取り巻く生活背景などにも配慮した上で、一人ひとりに適切な治療法を選択するオーダーメイドの医療を提供することです。不妊治療に臨むことはハードルが高く、踏み出しにくいと感じられる方も根強くいらっしゃることを実感します。そういった認識を変えるためにも、患者さんに合ったストレスの少ない治療や、通院しやすい環境づくりを心がけています。
不妊治療を行う上で大切にされていることは?
スタッフが一丸となって行う「チーム医療」が重要だと考えています。医師は全員が日本産科婦人科学会の産婦人科専門医で、日本生殖医学会生殖医療専門医の私と、鹿児島で長く産科診療に従事してきたベテランの有馬正俊副院長、宮崎医科大学などで研鑽を積んだ川口日出樹先生の3人で診療にあたっています。また、卵子、精子、胚を取り扱う培養士のほか、不妊治療に関する詳細な説明や相談に乗る臨床心理士、日本看護協会不妊症看護認定看護師といった、各分野で専門的な知識と技術を持つスタッフが在籍。治療段階に合わせて「体外受精カウンセリング」や「培養士相談室」も実施しています。
充実の設備と専門性の高いスタッフの存在は、大きな安心要素ですね。

不妊治療を行う患者さんの中には、うまくいかないことが要因となり、うつ状態に陥ることもあるといわれています。ただ治療を行うだけでなく、患者さんのメンタルをケアしていくことが、治療を継続させ良い結果を得るためにも大切ですし、そのためにスタッフの存在が必要不可欠です。スタッフが患者さんと直接コミュニケーションを取ることで、私たち医師だけでは聞き出せなかった本人の思いを知れることも多いのですよ。彼らのフィードバックをもとに皆で検討し、治療に生かしています。また、こちらで不妊治療を行い出産した患者さんには、卵子の時から出産後までの経過の写真をアルバムにしてお渡しするようにしています。感動していただけたらうれしいですし、私たちにとっても一緒に歩んできた道のりが報われる気持ちになります。ゴールの見えない治療に不安を抱える患者さんを、頼れるスタッフとともに“皆でサポートする医療”により支えていきたいです。
2022年4月から不妊治療の保険適用が拡大されました。
タイミング指導や人工授精から、体外受精、顕微授精も保険適用の範囲内となりました。これまでは、特定の検査や排卵誘発法などの治療法のみが保険適用でしたので、不妊治療をするためには高額な費用がかかるのが一般的。そのため、子どもが欲しくても経済的な負担が諦める理由の1つとなっていましたが、保険適用により費用面でも取り組みやすい環境が整いました。また費用面だけでなく「不妊治療は認められている治療だ」というイメージも持たれるようになったことで、心理的な部分でもハードルが下がり、不妊治療を検討される方が増えてきた印象です。
踏み出す一歩に応えられる場所でありたい
患者さんとはどういった思いで接しているのですか?

妊活をされている際、例えばデザートを控えるなど日常生活でご自身に対して我慢を強いている方も少なくありません。ですが私は、リラックスして取り組んでいただくことが大切だと考えています。そればかりになると続きませんし、頑張っているご自身へのご褒美も大切にしてほしいです。最近はインターネットの情報を取り入れ、がんじがらめになって何もできなくなってしまう方もよく見かけます。それぞれに合った治療法や過ごし方がありますので、一人で完結せず、些細な疑問や悩み事もお気軽にご相談いただければと思います。
お産や婦人科診療についてはいかがでしょうか?
妊婦健診では、妊娠初期から4Dエコーで赤ちゃんの様子を確認します。お産では、世間と同様に無痛分娩の需要が増えていますね。分娩台の上にとらわれず、自由な姿勢で行うフリースタイル分娩も対応しています。婦人科では、子宮頸がん、子宮体がん、卵巣がんの検診を積極的に行っています。月経不順や月経痛、更年期の症状など、気になることは何でもご相談ください。子宮筋腫核出手術や卵巣手術、子宮脱の手術も行っており、腹腔鏡を用いた手術も採用し、体へのダメージを低減しながら自然妊娠の可能性をなるべく妨げないことにも配慮しています。
最後に、今後のご展望と読者へのメッセージをお願いします。

今後は医師もさらに増員する予定です。皆で連携を取り、より良い医療を提供できるよう日々取り組んでまいります。不妊治療を考えてはいるものの、いつ受診するか悩まれる方も多いのではないでしょうか。受診後は絶対に通院・治療をしなくてはならないわけではありません。セカンドオピニオンでも、ちょっとしたご相談のみでも大丈夫です。アドバイスを受ける感覚で足を運べるような、不妊治療に踏み出す一歩にお応えできる場所でありたいと思っています。お気軽にご相談くださいね。
自由診療費用の目安
自由診療とは■採卵/9万9000円、体外受精/3万3000円、顕微授精/4万6200円、胚培養/4万4000円、胚移植/3万8500円
※薬・注射代は別途必要 ※採卵できた卵子の数により、追加費用あり
■体外受精カウンセリング/3000円
■AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)/6600円、抗精子抗体検査/6600円
■分娩費用/46万4300円(経産婦4日間)、48万1300円(初産婦5日間)
※食費等を含む一般個室の総費用(特別個室は1日あたり1万円加算)
※休日や時間外の出産は加算が必要 ※吸引分娩や帝王切開等の場合は一部保険診療