早期発見が重要な歯周病
マイクロスコープで口腔内の状態を共有
おざわファミリー歯科
(大田区/御嶽山駅)
最終更新日:2024/09/19
- 保険診療
細菌が感染することによって炎症が起き、歯茎や骨などが溶けてしまう病気、歯周病。初期の段階では痛みはほとんどないが、重症化すると歯が抜け落ちてしまう恐れがある。そればかりか、細菌によって誤嚥性肺炎や糖尿病、心疾患、脳梗塞、認知症などの重篤な全身の病気を引き起こすこともあり、決して侮ることができない病気だ。「おざわファミリー歯科」の小澤慶之院長は、「歯周病という病名自体は聞いたことがあるが、実際にどんな病気で、どんなリスクがあるのかという認識が浅い人が多い」と話す。そこで同院では、マイクロスコープを導入し、実際に歯や歯茎の写真や映像を撮り、患者が実際に自分の口腔内の状態を目で見て理解できるような工夫を取り入れているという。今回は、小澤院長に歯周病について詳しく教えてもらった。
(取材日2023年8月8日)
目次
自覚症状がないので放置しがちな歯周病。まずは歯周病という病気を理解しておくことが大事
- Q歯周病について、最近の動向を教えてください。
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A
今、歯周病患者さんは確実に増えていますね。それも若い世代でも予備軍の傾向がある患者さんが目立ってきています。当院では、歯の治療やメンテナンスをしている延長線上で、歯周病の症状が進んでいる場合はケアしましょうとお声がけするようにしています。早めに対策すれば重症化する恐れは少なくなることが期待できます。しかし重症化すると、歯を失いかねません。歯を失うと、今まで当たり前のようにできていた、噛むことができなくなるばかりか、入れ歯を入れたりとお金もかかるようになります。でも病気への認識が薄く、「まだまだ対策は先でいい」と楽観視してしまいやすいのが、実は歯周病の一番怖いところなのかもしれません。
- Q歯周病を啓発する上でどんな工夫をしていますか?
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A
とにかく徹底してわかりやすく説明することです。まずは入り口がはっきりしないと、治療に入れませんからね。歯周病関連のパンフレットやサイトのURLを渡して啓発したりもしますが、患者さん自身に実感が湧かなければ家に帰ってもそういう情報媒体を見ないでしょう。ですので、アニメーションの動画を見てもらい、歯周病そのもののリスクや治療の大切さなどを理解してもらう工夫をしています。加えて、院内のどのスタッフの説明も均一なレベルになるよう、定期的に私が勉強してきたことを院内のスタッフに共有するようにしています。患者さんに「自分は今のうちから治療する必要があるんだと理解してもらう」ということが一番大事ですからね。
- Qマイクロスコープを導入されたと伺いました。
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A
2023年6月からドイツ製の製品を導入しましたが、歯科医師にとっても患者さんにとってもメリットが多いと感じています。根管治療にも積極的に使用しており、肉眼では見にくかった細部にまで目が行き届くようになりますから、より精度の高い治療を提供できるようになりました。患者さんに関しても、歯科医師が口頭で説明するだけだと、どうしても他人事になりやすかったところ、マイクロスコープで撮影した画像や動画を見せて「ほら、グラグラしてるでしょ」などと説明することで、自分事として認識してもらいやすいのではないかと思います。
- Q歯周病予防のために大切なことは何ですか?
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A
実は幼少期や若い時から歯科医院に通う生活習慣をつけることが大事。定期的に口腔内の状態を把握できれば、歯周病になってしまっても早い段階で対策は打ちやすくなりますし、大人になってからの歯の健康寿命に明確な差が出てくると考えます。子どもの頃に歯科医院への抵抗感をなくしておけば、大人になってからも通いやすいでしょう。あとはご家庭での歯磨きですね。ただ、幼児に対して、保護者が磨いてあげるとき、力加減を間違えてしまうと、子どもにとって歯磨きが「痛くてつらいもの」という経験としてインプットされてしまいます。それが影響して歯磨きの習慣が作れなくなったりするケースは、案外少なくないので注意が必要です。
- Q子どもの頃からの歯磨き習慣が大切なんですね。
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A
子どもの場合、歯磨きへの抵抗を減らすために、好きなキャラクターの歯ブラシやコップを使ってあげるところからのスタートで構いません。それでも歯磨きを嫌がる子どもについては、回数、時間帯を変えていくこと。眠たいから歯磨きをするのを嫌がるようであれば、時間を少し早めるなどです。お風呂に入ったときなどはちょうどいいタイミングかもしれませんね。あとは、保護者が子どもの歯磨きに必死になり過ぎないことが大切です。その必死な姿を見て、子どもが委縮してしまいかねませんから。そうして保護者も子どもも、無理なく毎日の歯磨き習慣をつけてほしいと願っています。