額田 勝 院長の独自取材記事
ぬかた内科クリニック
(羽曳野市/古市駅)
最終更新日:2024/12/05

古市駅から徒歩約15分の場所に立つ医療ビル。その一角を担う「ぬかた内科クリニック」は、2019年に額田勝院長が開業した。外環状線から西浦の交差点を曲がってすぐの場所にあり、広い駐車場も用意されているので、車でも通院しやすい。清潔感と温かみのある院内は、麻痺症状のある患者などが車いすでも移動しやすいように、広々とした造りとなっている。額田院長は、藤田保健衛生大学医学部を卒業後、大阪大学医学部第一内科に入局。その後、国立病院やクリニックの脳神経内科で尽力してきた。「医療を通じて、患者さんには笑顔を持ち帰ってもらいたい」と語り、気兼ねなく相談できる雰囲気づくりを大切にしているという額田院長。朗らかで親しみやすい人柄の額田院長に、医師を志したきっかけや診療で大切にしていることなどを詳しく聞いた。
(取材日2024年10月25日)
かかりつけとして内科から脳神経内科まで幅広く対応
医師をめざしたきっかけを教えてください。

子どもの頃は、親戚に医師の多い家系であったため、なんとなく私も医師になるのかなとイメージはしていたものの、明確には決めていませんでした。私が高校生の頃、医師であった祖父を含め、家族で一緒にご飯を食べている最中に祖父が突然倒れるできごとがありました。パタッと倒れたので当時はとてもびっくりしたのですが、医師である父が即座に適切な対処を行っていました。この時の父の姿がとてもかっこよくて、自分も医師をめざそうと決意しました。とはいえ、それまでは部活動に夢中でしたので、医学部をめざして必死に頑張りましたね。医学部卒業後は、父の紹介で大阪大学の先生のもとで脳神経内科に勤め、その後も長年経験を積んできました。
クリニックには、主にどのような患者さんが来られていますか?
今は脳神経内科に限らず、かかりつけとして幅広く診察しています。なので、一般内科と循環器関連、それから高血圧や糖尿病などの生活習慣病で来られる方も多いですね。脳卒中の発症予防についてもお伝えしています。脳神経内科に関わる病気は難病である場合が多いので、患者さんに余計な負担をかけることのないように特に慎重に診察します。精密検査が必要な場合は、他院をご紹介することも。脳卒中後遺症などで通院される方には、医療にとどまらず身体障害者手帳の申請など、地域の福祉サービスを受けられるようにフォローさせていただいています。最近では、認知症の患者さんも増えていますね。ご本人が一人で来院されることもありますし、ご家族が相談にいらっしゃることも。認知症の場合は、クリニックでしっかり受け答えをしていても、家では全然違うというケースもありますから、その辺りも考慮しながら診させていただいています。
クリニックの環境でこだわった点を教えてください。

クリニックとして清潔感を大事にしていますが、冷たい感じにならないように温かみのある雰囲気になるようにしました。また、今まで勤めてきたクリニックでの経験を通して、改善したほうが良いと感じていたところは改善し、なるべく無駄のない動線にしました。車いすでの移動にも配慮し、点滴処置室のベッド周りを広めに取ったり、トイレも広めにしたりしています。ずっと脳神経内科を専門にやってきましたので、麻痺のある患者さんなどが利用しやすいようにと考えています。結果的に、ご高齢の方や障害のある方の使いやすさにもつながったかと思います。患者さんの声も大切にして、今後も過ごしやすい院内づくりに努めたいですね。
医療を通して地域の人へ笑顔を届けたい
先生が診療で心がけていることを教えてください。

診察では、先入観を持たずに白紙の状態で丁寧に診るようにしています。紹介状があれば、他院の先生の診断を踏まえて診ていきますが、紹介状を全面的にうのみにせず目の前の患者さんと向き合うことも大切にしています。患者さんが何か言いたそうなときには、話しやすくなるようにこちらから声がけをしたり、いろいろな方面から質問したりしますね。体の症状をはじめ、家族の様子について伺うこともあります。案外そういった話から、重要なことがわかったりする場合もあるんですよ。堂々巡りで話される方もいらっしゃいますが、何かつっかえているものを取り除くために、温かい雰囲気を心がけてお尋ねするようにしていますね。例えば、高血圧であれば塩分だけでなく、年齢などの要因もありますし、糖尿病であれば背景にご家庭の事情による生活環境の変化がある場合もあるんです。
患者さんに寄り添った診察をされているのですね。
なるべく相談しやすい雰囲気を大切にしています。ありがたいことですが、中にはなんでも相談してくださる患者さんもいらっしゃって、専門外の場合には、基本的なことはお答えし、他院を紹介させていただいています。大きい病院で薬をもらったけれど、詳しく聞けなかったから教えてほしいという方にも、わかる範囲でお答えして、わからないという不安が少しでも解消されればと思っています。
院内に映画のポスターが貼られていますね。

この映画は、アメリカの医師の実話に基づいたストーリーなのですが、映画の中で暗かった子どもたちがだんだんと明るくなるんです。その様子にとても感銘を受け、私自身も明るく元気に生きていこうと思いましたし、患者さんに対しても笑いを大切にしていこうと思うようになりました。診療でも、ただ処方箋や薬を持って帰ってもらうだけではなく、面白いと思えるものを一つ持って帰ってもらいたいですね。カルテには、病気のことだけではなく「どこへ旅行に行く」とか、一言二言、患者さんとの会話をメモするんです。そうすれば、次に来院された際に「どうだった?」とお話しできますからね。そういった何げない話から診察に入るようにして、リラックスして話しやすい雰囲気づくりを大切にしています。
誰もが生きがいを持ち、笑顔の社会をめざして
先生と同じように、スタッフさんも明るい方が多いですね。

スタッフを最初に募集するときにも「笑顔の絶えないクリニックをめざしています」とお伝えしたんですよ。実際に、当院には明るく元気なスタッフが多く、患者さんにも気さくに話しかけてくれていますね。クリニックには不安な気持ちで来院される方も多いと思いますので、ちょっとした声のかけ方も大事だと思っています。患者さんの不安を少しでも解消できたらというのは、スタッフみんなで心がけています。
今後の展望についてお聞かせください。
クリニックを継続しながら、障害のある方を対象としたグループホームやケアハウスなどを作れたらと考えています。どうしたら実現できるのかいろいろな方に相談をしているところなのですが、その中でさまざまな障害のある方やご家族と知り合い、彼らからたくさんのことを学んでいます。今はちょっとしたサポートから始めていますが、より効果的に何かできないだろうか模索中です。福祉として提供するだけではなく、たとえ障害があっても納税者になれるような社会にしていきたいですね。芸術的な才能を持っていたり、丁寧に仕事をこなしたりとそれぞれの素晴らしい特性を生かせば、生産活動にもっと関わることができると思っています。実現のためには、そばでフォローする人材が必要ですが、今後も周りの人と協力しながら進めていきたいですね。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

不安に思うことがあれば、まずはなんでも気軽に相談していただきたいですね。中には、私が以前勤務していた病院から引き続き通っていただいている患者さんもいらっしゃいます。私は、今まで大きな病院やクリニックで経験を積んできましたが、まだまだ初めて出会う症例もあります。常に初心を忘れず、患者さんの症状に真摯に向き合い、患者さんの安心を第一に他院との連携も大切にしていきたいですね。医師という仕事をしながら、同窓会の幹事や大学の野球部OB会事務局などにも関わっていますが、人が集まり、みんなが笑顔になってくれることが何より大好きなんです。当院に来ていただいた患者さんにも、医師としての診療はもちろんですが、気軽に悩みや不安を話してもらい、少しでも気持ちを軽くして笑顔で帰っていただけるとうれしいですね。