井口 福一郎 理事長の独自取材記事
京都駅前耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック
(京都市下京区/京都駅)
最終更新日:2024/12/04

京都駅から徒歩約3分。アクセスの良い場所にある「京都駅前耳鼻咽喉科アレルギー科クリニック」。鼻の日帰り手術のスペシャリストである井口福一郎理事長のクリニックだ。「これまで出町柳の本院で診療をしてきましたが、今後はこちらの分院に手術機能を集約していきます」と話す井口理事長。院内には大学病院で整えるような機器を備えた手術室や、同院がめざす「見てわかる耳鼻科」の工夫の一つとして導入した大型モニターや内視鏡など、こだわりの設備がそろう。また、リフレッシュオープンした受付や待合スペースは、木目調のインテリアで統一され、明るい雰囲気の中にもリラックス感が漂う。「多くの人が通いやすいこの駅前で、より多くの患者さんの悩みに対応していきたい」という井口理事長に話を聞いた。
(取材日2023年12月20日)
京都駅前に、鼻の日帰り手術を専門領域に開院
京都駅近くとアクセスがいい場所ですが、こちらに開院されたのはどうしてですか?

これまでわれわれの福耳会グループは、出町柳にある本院で「鼻詰まり」の治療を強みに診療を行ってきました。鼻の日帰り手術を専門的に行っているクリニックはそれほど多くないですから、近隣だけでなく、近江八幡や宇治、亀岡、長岡京、舞鶴など遠方からも患者さんがお越しになっていました。そのため、遠方からでも受診しやすいところにクリニックがあればと思ったのがきっかけです。特に副鼻腔炎は40代、50代の働き盛りの方が多くかかる傾向がある病気なので、仕事をしながら治療に通えたり、手術も受けられたりできればと思っていました。滋賀や大阪にお住まいでも、通勤途中の京都駅であれば夜診に間に合う方もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな患者さんのためにも、診断から治療までを一ヵ所で行える、手術室を備えたクリニックを京都駅近くにオープンさせたかったんです。
このほど、クリニックをリニューアルしたそうですね。
ええ。これまで本院は本院、分院は分院と独立したクリニックにしていましたが、今後はより多くの患者さんに対応できるよう、こちらのクリニックに鼻の日帰り手術の治療は集約していきます。それに合わせて、院内もリニューアルしました。ガラス窓を変えたり、壁紙を張り替えたりして、見た目も美しくなりましたが、改装のおかげで院内の反射音を減らすこともできました。気になるほどではありませんが、耳鼻科では難聴も扱っていますので、アップデートできて良かったです。また当院には大学病院と同じような設備を整えた手術室があります。これまで鼻の日帰り手術は局所麻酔で行っていましたが、リニューアル後は新しい医療設備がそろっていますので全身麻酔まで行えます。局所麻酔でもほとんど痛みは感じないと思いますが、不安感が強くて手術に踏み出せなかったという人も安心していただきたいと思います。
手術以外では、どのような治療を行っていますか?

アレルギー性鼻炎や花粉症、風邪、蓄膿症、中耳炎、外耳炎、喉の違和感、睡眠時無呼吸症候群など、耳・鼻・喉の疾患について全般的に診療を行っています。院内には、聴覚検査の機器や嗅覚検査室などもあります。通常、嗅覚検査をすると部屋が臭くなって、ほかの患者さんの迷惑になるようなこともありますが、当院では緻密な設計を施し、そのような心配なくいつでも検査ができるようになっています。また、喘息の診断を行う呼吸機能検査機器もあります。当院で手術することも多い難治性の好酸球性副鼻腔炎は気管支喘息の合併率が高いので、必ず同時に診療する方針です。これは、当院では鼻から気管支までを一つの「空気の通り道」として捉え、トータルに診療しようという「エアウェイメディスン(気道医療)」といった考えを大切にしているからなんです。
「見てわかる耳鼻科」を体現し、スムーズな診療を実現
ほかに、クリニックにはどのような特長がありますか?

当院では、「見てわかる耳鼻科」を診療ポリシーに掲げています。CTやエックス線、電子内視鏡などを使った画像検査を重視し、診察室にある大型モニター2台を使いながらリアルタイムで画像を患者さんと一緒に見て、「何が原因でつらい症状を引き起こしているのか」を丁寧に説明したりしています。ときには模型や図も使い、まるで学習塾の先生になったつもりで話すことも(笑)。わかりやすい言葉選びを心がけ、時間をかけてお話ししますし、患者さん自身も普段見ることができない自分の体の内部を見ることができるため、納得して治療を受けていただけるかと思います。
カルテ入力を専門にする人もいるのだとか。
一般的にカルテに患者さんの情報や診療記録を書き込むのは医師の仕事となっていますが、診察しながらパソコンに向かって入力していては患者さんとじっくり話すことはできません。そこで活躍するのがシュライバーです。診療中は医師の隣にいて、患者さんがしゃべったこと、医師が説明したこと、画像の内容などを電子カルテに記録してくれます。クリニックレベルでの配置はまだまだ少ないようですが、シュライバーがついていてくれることで、私たち医師は患者さんとじっくり話ができ、診療の効率化にも大いに役立っています。また、当院では専門用語を理解するなど、シュライバーの育成にも力を入れています。
また、スムーズな診療のために二診制にされていると聞きました。

患者さんにしっかり向き合った診療するため、二診制を採用しています。どの先生も大学病院や総合病院で研鑽を積んでこられた方ばかりです。患者さんの治療において悩んだ時には、他の先生方と一緒に診療方針を決めたり、治療方法について相談したりもします。一般的に、街の小さなクリニックでは1人の先生が診療していることも多いですが、当院の場合は複数人の先生がいますので、治療方針などに偏りもなく、広い視野で診療を行うことができています。また当院は、完全予約制になってます。患者さん一人ひとりとじっくりと向き合って診療できるように時間もしっかり確保しています。
治療を諦めている人ほど、相談してほしい
そもそもなぜ勤務医から開業をめざされたのですか?

開業を決めた一番の理由は、患者さんにしっかり説明し、納得してもらってから治療を始めたいと強く感じるようになったからです。それまでの病院での勤務は診察に追われ、患者さん一人ひとりに十分説明する時間がありませんでした。理想とする医療と現実が自分の中で消化不良を起こしていたと思います。今は自分が理想とする医療を体現できるようになり、例えば鼻の日帰り手術をした後に喜んでいただいたり、一生懸命に説明をして患者さんに理解していただいたりしたら、本当にうれしいでよすね。ですので、「鼻炎の薬が効かないから仕方ない」「鼻詰まりは良くならない」と思っている人には、「諦めないで」と伝えたいです。鼻詰まりや副鼻腔炎の中には、手術が適した方法となるケースがあることを知ってほしい。そして、ぜひ相談だけでも来ていただければと思っています。
アメリカに留学された経験があると聞きました。 なぜ留学しようと思ったのですか?
もともとは研究者になるつもりで、内耳の再生医療の基礎研究を進めていて、その専門性を高めるためワシントン大学に留学しました。大学内にある研究施設でも研鑽を積み、専門家に向けて情報発信をしていましたが、帰国して勤務医として患者さんと触れ合う機会が増えると、「自分は研究者ではなく、臨床医に向いているのではないか」と思うようになったんです。人には研究者の資質、臨床医の資質があることに気づき、自分の得意なフィールドに気づけたのは留学のおかげかもしれません。今は仕事が趣味といっても過言ではないくらい、毎日の仕事が楽しいですから。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

当院には京都府内からたくさんの患者さんがいらっしゃいます。皆さんにとって通いやすく、頼りにしてもらえるクリニックになっていきたいですね。花粉症や風邪、中耳炎、インフルエンザなど、一般的な耳鼻咽喉科診療に加え、特に鼻詰まりの改善に力を入れて診療を行っています。慢性的な鼻詰まりは、鼻のポリープや鼻中隔の曲がり、下鼻甲介の肥大などが原因かもしれません。「鼻炎薬はどれも効かない」「息苦しくて、夜はなかなか寝つけない」「口呼吸のため勉強やスポーツのパフォーマンスが上がらない」といった人の中には、手術が適応の人がいるかもしれません。内視鏡を使った手術であれば、外側に傷も残りませんし、手術時間も1時間ほど。思っているよりも楽だったと思っていただけると思います。