赤ちゃんの病気に関する悩み
決断する前に専門家にまずは相談を
母と子のまきクリニック Mother and fetus Maki Clinic
(広島市南区/広島駅)
最終更新日:2025/04/28


- 保険診療
おなかに命を宿したら幸せを感じる一方で、子どもが健康に生まれてくるかどうかを心配に思い、不安を感じるケースもある。そういった家族のために遺伝カウンセリングに力を入れているのが「母と子のまきクリニック」の兵頭麻希院長だ。赤ちゃんの病気は実にさまざまで、「成長に合わせた胎児の変化を熟知した医師であれば、微細な病気のサインにも気づき、早めに対処方法を考えることができます」と兵頭院長。見つかった場合は、夫婦の思いを聞いた上で胎児の様子を丁寧に伝え、希望を持って赤ちゃんを育てていけるよう親身にサポートしていく。兵頭院長に胎児の疾患や万が一おなかの中の赤ちゃんが病気だとわかったときにどう向き合っていくべきなのかについて話を聞いた。
(取材日2025年3月29日)
目次
専門の医師が4Dエコーで胎児の様子や健康状態をチェックし、必要に応じて産後に適切な医療へとつなげる
- Q赤ちゃんの先天性の病気にはどんなものがありますか?
-
A
▲赤ちゃんの先天性の病気にはさまざまな種類がある
よく知られているのはダウン症ですが、実は他にもたくさんの種類の病気があります。多いものでは心室中隔欠損や動脈管開存症などの心臓の病気、口唇口蓋裂、他に手足や内臓・神経の異常などがあります。ただ、通常の妊婦健診は赤ちゃんの病気を探そうとして行うものではないので、気づかれにくいのも事実。そのため、もし不安がある場合には、専門の医師の検査を受けることをお勧めします。赤ちゃんの体が10ヵ月間でどう変化しつくられていくかを知っている医師なら、妊娠初期でも高い確率でリスクを発見するスキルを持っています。
- Qどうして病気になってしまう赤ちゃんがいるのでしょうか?
-
A
▲丁寧に説明、サポートしてくれる
生まれつきの赤ちゃんの病気は3~5%で起こります。遺伝子は両親から半分ずつ受け継ぎます。精子や卵子の段階で遺伝子や染色体の異常を持つ場合やその他の要因で偶発的に発症する場合もあります。染色体の異常が起こりやすくなるのは高年妊娠で、相談に来られる方も多いです。当院では必ずご夫婦一緒にカウンセリングを行っています。それは赤ちゃんを迎え入れる準備のために、夫婦がそろってスタートラインに立つことを意味します。そしておなかの中に赤ちゃんがいるお母さんを一人ぼっちにしないためでもあります。産まれてくる前から大事な命です。そんな赤ちゃんの人生最初の大切な1年をご夫婦で一緒に見ていっていただきたいです。
- Q妊娠を考える上で、準備することはどんなことですか?
-
A
▲夫婦でしっかりと話すことが大切だと話す兵頭院長
出産前、妊娠前からご夫婦でしっかり話し合っておく必要があると思います。「プレコンセプションケア」といって、将来の妊娠を考えながらカップルが自分たちの生活や健康に向き合うことはとても大切なこと。例えば妊娠初期に葉酸を取ったほうがいいとよく耳にすると思いますが、赤ちゃんの脳は妊娠初期からつくられ始めるので、実際は妊娠前から必要な栄養分なのです。またダイエットによる栄養不足や貧血も良くありません。そういった意識を持って日頃からお二人で健康管理を行ったり、話をする習慣があるといいですね。おなかの赤ちゃんに何らかのリスクが見つかった場合にも妊娠中、出産後のこともご夫婦一緒に考えていけると思います。
- Qパートナーやご家族はどのように関わっていくべきでしょうか?
-
A
▲検査時には夫婦で一緒に赤ちゃんを見ることができる
妊娠、出産はお母さんだけでなく、一緒に向き合うべきことです。「どうするかは妻に任せます」とおっしゃるご主人も多いですが、そうではなく、まずはどうするかはご夫婦2人で決めるという意識を持ってもらえるよう広く啓発していきたいと思っています。当院では妊娠の診断や妊婦健診だけでなく、赤ちゃんの成長に合わせて超音波でフォローを行っていますが、検査時にはできるだけご夫婦で見ていただくようにしています。4Dで見る赤ちゃんはとてもかわいいですし、一緒にその様子を見るだけでも関係性が深まり、父性も育まれます。
- Qもしおなかの赤ちゃんに病気が見つかった時は?
-
A
▲4Dエコーで胎児の様子や健康状態をチェックできる
もしもリスクがあるとわかった場合でも、事前にきちんと正しい情報を得ていれば、しっかり今後のことを考えていけます。産後の医療はどこで受けるのか、生まれた後にどこで育てるのか、誰に協力をお願いするかなど、準備するための期間は長いほうが良いですから。最も重要なのは、産まれる前に最初に赤ちゃんに会える大切な日から2人で向き合っていることです。不安がなくなることはないかもしれませんが、少しでもその不安を軽減できるように私たち医療従事者が全力でサポートします。超音波検査をして目の前のモニターで元気に動く赤ちゃんの成長していく様子を見守ることで、医療者とともに前向きに進んでいけると思います。