山口 良兼 理事長の独自取材記事
医療法人HAL health and longevity 山口クリニック
(日向市/日向市駅)
最終更新日:2026/01/08
宮崎県北部に位置する日向市。中心部の日向市駅より自動車で約5分、国道から少し入った閑静なエリアに「山口クリニック」はある。窓から植物や空が見える診察室の隅には、山口良兼理事長が制作したプラモデルが置かれ、リラックスできる空間になっている。山口理事長は岡山大学を卒業後、神奈川県、愛媛県、香川県、宮崎県などの病院で、整形外科の医師として研鑽を積んできた。2019年に開業し、患者の健康寿命を延ばすため、スタッフたちと尽力している。長年の経験と、整形外科と内科両方の視点を生かした診療が同院の特徴だ。地域医療への熱い思いを秘めた山口理事長に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年11月28日)
患者の健康長寿を延ばすことに注力
医師をめざしたきっかけを教えてください。

父が放射線技師、母が看護師でしたので、自分も自然と医療の道に進みました。中学に入る頃には進路を意識していましたね。地元に貢献したい、ゆくゆくは地域医療に携わりたいという思いがあったので、卒業後は地元である愛媛県で初期研修を受けて、その後は神奈川県や香川県、宮崎県など各地で整形外科の技術を学びました。当時を振り返ると、毎日が印象的な出来事だらけでしたね。人対人の仕事ですから、それはもうさまざまなことがありました。毎日のように手術を担当しましたし、手肢の骨折はもとより、大腿骨の骨折や、脊椎の手術も経験しました。2010年からは、初志貫徹すべく地域医療に携わるため、妻の出身地である宮崎で勤務医をしていました。
開業に至った経緯をお聞かせください。
年齢的に、そろそろ手術の現場からは身を引こうと考えていましたが、特に大きなきっかけがあったわけではありません。今までずっと勤務医として診療してきましたが、子どもも大きくなったので、タイミングとしてちょうどいいかなと思ったんです。クリニックの場所は、妻の実家から遠すぎず近すぎず、ちょうど良い距離の場所に決めました。以前は婦人科のクリニックだった建物を、そのまま居抜きで使っています。トイレを少しリニューアルしたくらいで、ほとんどそのままですね。当院の強みは、患者さんと距離感が近いことです。それは物理的な距離も含みます。常に目の届くところに患者さんがいますし、患者さんをスタッフに託して運動指導をしてもらうとか、処置をしてもらうなどの連携もスムーズです。
どのような診療を行っていますか。

「医療法人HAL」のHALは、「ヘルス&ロンジェビティー」。健康と長寿を意味しています。いろいろと漢字を組み合わせて考えていたのですが、一番しっくりときた英語にしました。当院では「健康寿命をいかに延ばすか」を重視した診療を行っています。地域の皆さんが元気で健康な状態でいられるよう、貢献していきたいと考えています。整形外科と内科を標榜していますが、患者さんの年齢層は幅広いですね。割合としては、整形外科を受診する高齢の方が多い印象です。最近は、50代の生活習慣病の患者さんも増えました。また、高校が近いので部活動等スポーツによるけがや痛み等での10代の学生さんもいらっしゃいます。骨粗しょう症関連の相談でいらっしゃる高齢の女性の方も多いですね。
かかりつけ医として整形外科と内科をバランス良く診る
そもそも内科も標榜しようと考えたのはなぜですか。

内科も診ることは、昔から考えていました。研修医時代に内科も経験しましたし、大きな病院で勤務している時は、内科の疾患も診たり、入院患者の内科管理も行ったりしていました。その時実感したのは、内科的視点と整形外科的視点の両方を合わせると、とても管理がしやすいことでした。健康でいるためには運動機能は大切です。一方で体の内部も健康でなくてはなりません。健康で長生きするために、内科と整形外科はリンクしているんです。両方をバランス良く統合して診る「かかりつけ医」というスタンスで、患者さんが健康で長生きできるように診ていきたいですね。とはいえ、実は開業当初はそこまで深く考えていたわけではありません。でも今になってみると、整形外科と内科を勉強しておいて良かったなと思っています。
特に注力されている疾患はありますか。
骨粗しょう症ですね。75歳以上の女性の50%くらいは骨粗しょう症だといわれています。年齢がもっと上がるとさらに患者数は増え、85歳の女性ですと80%くらいは骨粗しょう症ではないでしょうか。でも、実際の受診者数は非常に少ないんです。自覚症状がほぼないので、治療を受けていない人は、まだまだたくさんいると思います。症状が出た時は骨が悲鳴を上げた時なので、もう遅いんですね。ですから、骨密度の測定は早めにしておくことが大切です。特に女性は、閉経した時点での自分の骨の状態を把握するためにも、50代で一度測定しておくことを強くお勧めします。若い頃にあまり運動していない弱いままの骨だと、数値はそこから下がっていく一方になってしまいます。
骨粗しょう症はどのような治療を行いますか。

生活習慣の改善が一番大事なので、まずは食事の改善ですね。そして運動と、日光を浴びること。医師が行う治療は4番目です。運動については、筋肉ではなく骨への負荷を考えなければなりません。もちろん筋肉も鍛える必要はありますが、筋肉への負荷と骨への負荷は異なります。間違った負荷のかけ方をすると、ただでさえ弱い骨に余計な負荷をかけることになってしまうので注意が必要なんです。また、適切な運動量は個々で違いますから、一人ひとりの年齢、筋力、ステージに合わせた方法を実施しています。「たくさん歩いてください」とお伝えして、転んで骨折してしまっては元も子もないので、患者さんそれぞれに合った指導を行っています。
患者を「寝たきりにさせない」診療を
診療において大切にしていることは何ですか。

一番注力しているのは、患者さんを「寝たきりにさせないことです。長い間医師の仕事に携わっていると、患者さんが5年先10年先にどうなるか大方の想像がつきます。筋力が弱いといった寝たきりになる危険性がある人は診ればわかりますから、そうならないためのアドバイスや治療の提案をしています。僕は昔から、患者さんに対して一切怒りません。子どもに「勉強しなさい」と怒っても、聞き入れてくれるわけではありませんよね。それと同じで、患者さんに対しても頭ごなしに「やってください」とは言いません。例えば運動療法の場合、「まずはこれだけやってみましょう」と課題を1、2個だけ出して、クリアできたらステップをゆっくりと上げていくなど、継続してもらうことを大切にしています。大事なのは結果ですから、結果がプラスに出るよう考えています。
健康でいるために、日頃から心がけるべきことはありますか。
日常生活に運動を取り入れてほしいですね。ウォーキングでも何でもいいのですが、とにかく意識的に運動することが大事です。あまりハードルが高くないことのほうが長く続けられると思います。例えば僕自身は、良い姿勢を心がけています。健康的な歩き方について考えることもありますが、基本的には座っている時間が長いので、そのときの姿勢に気をつけています。年齢が上がって筋力がなくなると、猫背になってきますからね。皆さんにもぜひ意識していただきたいなと思います。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

現在元気な人は、医療機関に行きませんよね。そうすると病気に気づくチャンスは、健康診断の時ぐらいしかないんです。会社勤めの人は職場で健康診断の機会がありますが、そうでなければ自発的に受診しない人も多く、症状が出たり倒れたりして初めて受診することになってしまいます。特に糖尿病や高血圧症、脂質異常症といった生活習慣病は自分で気づくことは難しい病気の一例です。健康診断を受けていればそこまで悪化しなかったのに、というケースも見てきました。最近は昔に比べると健康意識の向上が広がり、健康診断を受ける人が増えてきました。ぜひ、日頃から自分の体と向き合っていただき、1年に1回は健康診断を受けていただきたいと思います。

