西田 泰之 院長の独自取材記事
西田内科クリニック
(高岡市/高岡やぶなみ駅)
最終更新日:2022/03/03

高岡市郊外、閑静な住宅街にある「西田内科クリニック」。院内の吹き抜けの窓から見える高い空が印象的だ。院長の西田泰之先生は、消化器内科を専門とし、数多くの基幹病院で経験を積んだ後2019年に開業した。内視鏡を用いた検査や治療を数多く行っている同院。ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)と呼ばれる内視鏡によるがんの先進的な治療についても、西田院長は早期に習得し経験を積んできた。胃がんについて「早期治療ができれば生命に関わることが少ないでしょうし、胃を温存することも見込めます」と話し、内視鏡検査の重要性を説く。開業後は生活習慣病も診るようになり、予防医学として日常生活の指導から関われることにやりがいを感じているという。そんな西田院長に内視鏡を用いた検査や治療について、これからやりたいことなど話を聞いた。
(取材日2022年2月7日)
内視鏡に関する専門性の高い技術を身につける
高岡やぶなみ駅から徒歩2分と、アクセスが良いですね。

高岡やぶなみ駅を造る工事中だった2017年にこちらの土地を見つけて、その後2019年に当院を開業しました。開業する前は厚生連高岡病院に15年間勤務していたのですが、こちらの木津地区からも患者さんが結構多く来られていまして。開業するにあたって、それまで長く診ていた患者さんを継続して診ていきたいという思いがあったのでこの地を選びました。
先生も高岡のご出身ですか?
出身は金沢なんです。金沢の高校を卒業し、一旦は金沢大学の理学部に入ったのですが、医師になりたいという思いを捨て切れず、三重大学の医学部に入り直しました。医師になりたいと思ったのは、中学生の頃に腎臓を患って、金沢大学の大学病院に2ヵ月入院したことがきっかけになっているかもしれません。その時に、看護師さんやドクターの働く姿を見て、感銘を受けました。
内科の消化器分野を専門に選ばれた理由は?

内科の中でも特に消化器内科は外科に近いところがあり、頭で考えるだけでなく手先など体を動かすというところが自分には合っているのかなと思います。面白いと思ったのは内視鏡ですね。消化器内科は主に消化管グループと肝臓グループに分かれていたのですが、僕は消化管のほうで、内視鏡を使った検査や治療が主となります。研修医の1年目の時から内視鏡検査を始めましたが、内視鏡カメラを通し目で視覚的に診断できるところと、内視鏡の技術や操作がうまくなれば治療の精度にも結びつくところにやりがいと面白さを感じました。若い頃は経験を積みたくて、自分が当直ではない時でも先輩と一緒に当直をして、「内視鏡検査が必要な場合は西田を呼んでください」と常に周囲に言っていました。
内視鏡を使った早期がんの先進的な治療にも取り組む
最近多い患者さんの訴えはどういったものですか?

腹痛の患者さんが多いですね。特に、若い方ではストレスが関与していると思われる場合が多いです。過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアのように、腹痛に加え、排便異常や吐き気を訴える方も来られます。症状があって来られる方のほか、当院のホームページを見て、胃や大腸の内視鏡検査の希望で来られる方も多いです。
内視鏡検査とはどういったものでしょうか。
内視鏡検査には、胃の検査と大腸の検査とがあります。胃内視鏡検査に関しては、口から内視鏡を挿入するか、鼻から挿入するか、患者さんにそれぞれの長所、短所を説明して、希望を聞いてから行います。例えば緊張しやすい方など、口からの挿入で嘔吐反射が強いと想定される場合には、鼻からの挿入をお勧めしています。検査時の鎮静剤使用については、希望される方には行っています。特に、以前の検査でかなり嘔吐反射が強かったという方には鎮静剤をお勧めしています。ご高齢の患者さんの場合は、鎮静剤により呼吸や血圧が影響を受けるリスクも考えられるので、あまりお勧めはしていません。大腸内視鏡検査は、午前中にご自宅等で下剤を飲んでいただき、大腸の中をきれいに洗浄した上で、午後に来院していただき検査を行います。肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を観察します。大腸にポリープを認めた場合は、その場で切除を行っています。
内視鏡検査に不安を感じる方は多いですか。

人から話を聞いたり調べたりして、不安な思いで来られる方は多いですね。診察室では、緊張をほぐすように声をかけてから、内視鏡検査の方法や、検査を上手に受けるコツなどを説明し、スタッフからも緊張を取るための声がけを行っています。また、検査室にはベッドに横になったときに見える位置に小鳥の写真が貼ってあります。目を閉じると緊張して力が入ってしまうことが多いので、「目を開けて、小鳥の写真をぼーっと見ていてください」と、説明して患者さんにリラックスしていただけるようにしています。胃カメラは、患者さんの呼吸に合わせて、そーっと入れていきます。喉の反射が強い場合は一旦カメラの動きを止めて、落ち着いてから再度動かし始めます。検査中、体に力が入りすぎてつらい検査にならないように、看護師は患者さんの背中をさすったり声がけを行っています。できるだけ苦痛の少ない内視鏡検査になるよう、スタッフ全員で努力しています。
早期がんの先進的な内視鏡治療にも取り組まれていると聞きました。
高岡に来る前、2001年から3年間横浜の病院にいたのですが、そこで国立がん研究センターに見学に行く機会があって、ESDという早期がんに対する内視鏡治療を知りました。治療法が出たばかりの頃で、まだ保険診療になる前の話です。その技術を習得したいと思い、講習を受けながらスタートしました。本格的に取り組むことになったのは、厚生連高岡病院に来てからです。その後、2006年に保険診療になりました。当時は、まだあまり知られていない治療法だったので、治療を行う前には1時間くらい時間を取って患者さんに説明していました。切除には特殊なメスを使い、胃がんの部分である、粘膜の表面だけを削り取る治療になります。
開業後は予防医学にも重点を置く
当初から開業を考えられていたのですか。

以前はずっと病院で働くつもりでいました。ある時、開業されている先生と話す機会があり、そこで開業医の働き方を聞いて、これまでと違う医療も経験してみたいと思うようになりました。総合病院では難しい疾患の患者さんを診ることが多く、軽症患者さんを長期的に診るということはあまりないんですね。一方で開業医の場合は、逆流性食道炎が典型なんですが、慢性的な消化管の病気を長期間診ることが多いです。総合病院ではあまり診ることがなかった高血圧や糖尿病、高脂血症など、いわゆる生活習慣病も診ることが多く、やりがいを感じています。胃がんにしても高血圧にしても、どちらも塩分が発症リスクに関わるという関係性があります。塩分の摂取量を減らすなど、生活習慣を変えることで胃がんも高血圧も発症リスクを抑えることが期待できるので、開業医はそういった日常生活の指導をするという、予防医学に取り組める点にやりがいを感じます。
開業されて3年目ですが、これから力を入れていきたいことは何ですか。
予防医学に重点を置きたいと考えていて、病気になる前に生活習慣の指導などをしていきたいですね。内視鏡検査についても、今後も積極的に対応していきたいと思います。それと、診察の際、問診を丁寧に行うことで大方の診断予測がつきますので、患者さん一人ひとりの問診に時間をかけていきたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

スタッフも私も、日頃から患者さんのいろんな話をお伺いしています。緊張しやすい方、こんなことを言ってもいいのかなと不安に思っている方は、ちょっとしたことでも相談していただけたらと思います。もし、内科的なことではなくても相談を受ければ、ほかの診療科の医療機関を紹介することもできます。当院の待合室は吹き抜けの空間になっていて、大きな窓から見える空が結構きれいで、リラックスできる環境だと思いますよ。気軽に足を運んでいただければと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とは内視鏡検査/胃:1万3090円、大腸:1万5500円