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酒井 康弘 院長の独自取材記事

さど眼科

(佐渡市/新潟駅)

最終更新日:2024/12/03

酒井康弘院長 さど眼科 main

佐渡病院バス停で下車して歩いて2分。2019年から診療を続ける「さど眼科」は、島内で治療を完結できる眼科をつくりたい、そんな思いを胸に開業された眼科クリニックだ。「患者さんが島を渡るのではなく医師が出向けばいい」と語る患者思いの酒井康弘院長に、佐渡に対する思いや同院の診療方針について、じっくり話を聞いた。

(取材日2024年10月16日)

「佐渡が好き」その一心でこの地に開業

開業して約5年たちますが、現在感じていることを教えてください。

酒井康弘院長 さど眼科1

最初は「人口が少ない中で、患者さんが来てくれるのか」と不安でした。しかし、今はそんな心配は不要だったと感じるくらい多くの患者さんが来院してくれて感謝しています。佐渡市内には医療機関が少なく、症状によっては新潟市まで通う必要がありましたが、当院で手術ができる設備を整え、白内障や眼瞼形成手術、網膜硝子体手術も佐渡市内で対応できるようになりました。患者さんご自身が住む地域で完結できる医療を提供したいという思いを実現でき、また佐渡の方々に頼っていただけて本当にうれしいですね。

開業時、どのようなクリニックにしたいと考えていましたか?

開業にあたって一番大切にしたかったのは「患者さんの不安を解消し、安心して帰っていただくことができるクリニック」にすることでした。特にご高齢の方が多いこの地域では、患者さんが遠くまで治療を受けに行くのが難しいことがよくあります。先ほども少しふれましたが、私はそのような方々が気軽に治療を受けられる環境をつくりたいと思っていました。開業前も約11年の間、新潟市の大学病院に勤務しながら佐渡に週1回通って診療していましたが、もっと専門的な治療を受けるために島外の病院の受診を進めても、患者さんが「行きたいけど、体が動かない」という理由で治療を諦める場面も多かったんですよね。それなら医師がこの土地に来ればその問題を解決できると考えたんです。患者さんが無理に動かなくても、私がここでしっかり治療を提供できる医院にしたい。その思いは今もずっと心に抱いています。

先生のご出身は島外ですが、そもそもなぜこの佐渡に開業されたのですか?

酒井康弘院長 さど眼科2

佐渡の方々の温かい人柄に惹かれたからです。週に一度の外来診療で佐渡を訪れるようになった時、患者さんや地域の方々と接する中で、皆さんの親しみやすさや優しさを感じて、この場所で働くことが楽しいと思うようになりました。例えば、居酒屋に行くと昔から地元の方々に愛されているお店が多くて、お店の人や常連さんもみんな親切で、人情味あふれる方ばかり。どこに行ってもそんな温かさが感じられて、まるで家族のような距離感が心地良かったですね。今でも、外を歩いている時に患者さんと顔を合わせて会話をしたり、そんな日常の交流がとても楽しいんです。また、私は歴史が好きなので佐渡の神社仏閣やお祭りなどにも興味があります。まだ忙しくて十分に楽しめていない部分もありますが、散歩するだけでも魅力を感じられるところも好きなんですよ。そんな佐渡で、地域の方々に頼りにされるクリニックを開業できて、本当に良かったと感じています。

島内で一般診療から手術まで一貫した治療を行う

こちらではどのような診療を受けることができますか。

酒井康弘院長 さど眼科3

一般的な眼科診療をはじめ、白内障の手術、緑内障診療などの各種眼疾患に対応しています。医師は私と週に何回か他の先生にも手伝ってもらっており、それぞれが専門分野を持っています。私は白内障や眼の炎症、感染症が専門で、副院長の張(ちょう)大行先生は眼瞼の形成手術や眼の腫瘍、涙が通る涙道に関する症状を専門にしています。佐々木亮先生は網膜硝子体が専門で、眼球の内側にある網膜が剥がれて放置すれば失明する網膜剥離などの重症な眼底疾患の手術を主に担当しています。「島外に行かなければ受けられなかった手術も島内でできるようにしたい」という思いで集まってくれた先生方とは大学病院時代からの仲なんですよ。各自の専門分野で目の内側と外側を幅広く診ることができる診療体制を整えています。また最近は年に2、3回ほどですが、斜視や子どもの弱視、神経眼科が専門の先生にも来ていただき、より幅広い症状に対応できるようになりました。

診療時に大切にしているのはどんなことでしょうか。

患者さんの話をしっかりと聞くことです。そのため、診察に時間がかかり、待ち時間が長くなってしまうこともありますが、目の前の患者さんに真剣に向き合うことを大切にしています。同じ症状でも、患者さんそれぞれの生活環境や体調によって最適な治療法は異なります。ですので、いくつかの治療法を提示し、患者さん自身が納得できる治療を選んでもらえるよう心がけています。一方的に「これがいいからやりましょう」と押しつけるのではなく、患者さんの気持ちに寄り添った治療を行いたいんです。白内障の手術の説明についても、大きい病院では映像で説明を済ませることも多いですが、当院では毎回30~40分ほど時間を取り、私自身が直接、丁寧に説明するようにしています。これも患者さんに安心して治療を受けてもらうことを第一に考えている私のポリシーなんです。

設備や内装など、院内でこだわりの点を教えてください。

酒井康弘院長 さど眼科4

まず、手術に対応できるように充実した設備を整えました。白内障の他、眼瞼の手術や網膜硝子体手術など、今まで島外に行かないと受けることができなかった手術にも対応できる環境を整備し、患者さんに安心して治療を受けてもらえるようにしています。また、ご高齢の患者さんが多いため、畳スペースを設けて、待ち時間も横になってリラックスしていただけるよう工夫しました。さらに、佐渡の郷土色を感じてもらえるよう、院内に地域にまつわるものを飾ったりして佐渡らしさを取り入れています。自分自身が佐渡がとても好きだからという理由もありますが、慣れ親しんだ物にふれていただくことで、患者さんにもよりリラックスして過ごしてもらえる空間づくりを意識しています。

一人ひとりに寄り添い患者本位の医療を提供

先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。

酒井康弘院長 さど眼科5

父が内科医だったこともあり、小さい頃から医師という仕事を近くで見ていたのですが、夜中にも呼ばれることが多く漠然と大変な仕事だなと感じていました。でも大学受験の際に「自分はこれからどういう人生を歩んでいきたいんだろう」と考えた際、自然と浮かんだのは医師という仕事だったんですよね。大学に入学後、最初のうちは何科に進むか悩んでいましたね。内科は薬で治療し、外科は手術が主な治療ですが、眼科はその両方ができるんです。目は小さい臓器ではあるけれど、薬による内科的な治療も外科的な手術もできて、知識と技術次第で一貫して治療できるのが面白いと感じ、眼科の道を選びました。実際に今、この地で幅広い診療を行うことができているので、選んだ道は間違ってなかったと思います。

医師人生を通して、影響を受けた方はいらっしゃいますか?

これまで出会った多くの方々に影響を受けていますが、強いてあげれば2人います。まず医師2年目で、最初の出張先の山形の病院で上司だった先生です。いつも患者さんと同じ目線で会話され、患者さんへの対応が素晴らしい先生で、当時は診療技術を学ぶことで精一杯だった私も「先生のように患者さんに慕われる医師になりたい」と思い、その先生の患者さんへの接し方は今の診療スタイルの基盤になっています。もう1人は佐渡での開業を考えるきっかけになった患者さんです。週に一度佐渡に通って診療していた時、佐渡から新潟市の大学病院まで来ていただいて難しい手術を行った患者さんが稀な合併症で失明してしまい……術後の説明が怖かったのですが「どんな結果でも一生懸命頑張ってくれて感謝している」と言ってくださって。その言葉に救われ、佐渡の方の人情深い温かさに心を打たれました。その恩返しをしたいという気持ちで、今も日々の診療を行っています。

最後に、今後の展望を教えてください。

酒井康弘院長 さど眼科6

これからも、もっと知識や技術を身につけながら多くの患者さんを支えていきたいと考えています。自分の気力、体力が続く限りは島民の皆さまの眼を守るために貢献したいので、自分の健康も大事にしながら長くこの仕事を続けたいですね(笑)。もちろん私一人ではなく、多くの先生やスタッフの協力があって成り立っていますから、人とのつながりを大切にしていきたいです。チーム全体でさまざまな疾患に対応できるよう、できるだけ当院で完結できる医療をめざします。今後も患者さん本位の医療の提供に、全員で取り組んでいきたいです。

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