前田 文仁 院長、前田 千裕 先生の独自取材記事
前田歯科医院
(松山市/福音寺駅)
最終更新日:2021/10/12

松山市石井地区の住宅街にある「前田歯科医院」は今から約20年前に開業し、地域のホームドクターとして根づいている歯科医院だ。冗談好きの前田文仁院長と、しっかり者の前田千裕先生の親子2代で診療し、明るくアットホームな印象だ。しっかりとした説明や何でも相談しやすい気さくな雰囲気で、地元の人を中心にクチコミで患者が訪れているという。プライベートでは一緒に松山城に上ることもあるという仲の良い2人に、同院で注力する診療や今後について話を聞いた。
(取材日2021年7月3日)
幅広い世代が通う歯科医院
クリニックの歴史やお二人のご経歴を教えてください。

【文仁院長】父が宇和島で歯科医院を開業していたので、私自身は宇和島の出身です。勤務医として松山逓信病院の歯科口腔外科に長く勤務した後、自宅があった松山に1998年に開業しました。勤務医時代の同僚たちが定年退職を迎える中で、現役で長く働けることに喜びを感じますし、後継者にも恵まれて開業して大正解でした。
【千裕先生】最初はDNAの研究がしたくて理学部に入ったのですが、兄が医師になり後継ぎが不在になったので「私が歯科医師になって歯科医院を継ごう!」と方向転換。歯科医師になってみて、治療は細かい作業の連続なのですが、それが苦にはならず、自分が器用なことに気づきました。人とお話するのが好きで、たくさんの人と接する機会があって、それに加えて「ありがとう」と感謝してもらえるのが歯科医師という仕事。今では天職だとはっきり言うことができます。
患者層はいかがですか?
【文仁院長】開業当初は以前の勤務先からの紹介患者さんが多かったのですが、クチコミで患者さんが広がっていきました。遠い人だと香川県、宇和島や西条からも来院されますが、メインは地元の方たち。住宅街という地域柄、中高年の患者さんも多いですが、学校が近くにあるのでお子さんが5割ほどを占めています。子どもから高齢の方まで幅広く来ていただいていて、家族みんなで長年通ってくださっている方が多いです。
【千裕先生】長く通われている患者さんだと、高齢になり足が悪くなって通えないという方もいらっしゃいますので、そうした通院が困難な方には訪問診療を行っています。患者さんご本人だけでなく、お子さんやお孫さんから「うちのおばあちゃんを診に来てほしい」と相談されることもありますよ。
得意な分野をそれぞれ教えてください。

【文仁院長】長年病院の口腔外科勤務をしていましたから、診療所から紹介されるような難しい処置が必要な患者さんを数多く診てきました。そのため抜歯などの外科系の処置は得意です。ただ診療所なのでさまざまな方が来ますから、広く何でも診られるように心がけています。
【千裕先生】審美的な治療や、小児の治療を得意としています。小児歯科では、子どもは男性よりも女性歯科医師のほうが初対面で親しみやすいと思うので、最初に診るようにしていますね。お子さんたちが怖がらないように、明るく楽しく診療しています。
予防や小児歯科に注力。生涯の健康を支えたい
診療で大切にしていることは何でしょうか?

【文仁院長】患者さんが遠慮なく、気を使わずに何でも言えるような関係づくりに努めています。私に直接言えず、歯科衛生士さんばかりに相談する、ということがないようにしたいですね。趣味がジム通いなので、そこで近所の皆さんと一緒になってお喋りしていますよ。おかげで歯のことだけでなく、全身の健康に関することもたくさん相談してくださいます。診療が終わったら「先生ちょっと聞いて!」と患者さんが話かけてくれるのが理想ですね。
【千裕先生】最近、地域の方々の口腔内の健康への意識や歯の病気に関する知識といった「デンタルIQ」が高まっていると感じます。患者さんが納得いくまで相談ができて、最後に満足していただけるように質問をしっかりと受け止め、気持ちに応えることを大切にしています。
小児の患者さんも多いそうですが、接する際に心がけていることはありますか?
【千裕先生】小児歯科は最初が肝心なので、いきなり治療に入ることはありません。まずは練習してすべての器具に慣れてもらうことから始めます。時間はかかりますが、のちのち歯科恐怖症にならないための大切なステップだと考えています。お子さんたちと仲良くなりたいので、コミュニケーションでは工夫も。その子の好きなこと、流行っていることをメモなどして覚えておいて、次の診療で話題にすると「覚えていてくれた」と心を開いてくれますね。当院の小児歯科は基本的に母子分離です。ですので、口腔内の写真やレントゲンなどをお見せして治療についてしっかり話し合い、今お子さんが何をしているのかわからないことがないよう心がけています。治療が終わったら診療室に入ってもらい、説明をして直接確認を。必ずその場でお子さんをほめてあげて、次回につなげています。
力を入れている診療はありますか?

【千裕先生】歯周病は糖尿病、脳梗塞などの脳血管疾患、心疾患、早産など、全身の健康と深い関係があることがわかっています。日本では成人の多くが歯周病にかかっていると言われていますから、歯周病をしっかりと治療し、管理していくためにも歯周病治療と予防歯科に力を入れています。また小児歯科では、妊婦検診でのお母さんの治療と啓発に取り組んで、お子さんの将来の健康のために早くから介入できるように努めています。ですから生まれる前から来てくれているお子さんがたくさんいるんですよ。親御さんの骨格や歯並び、虫歯リスクはお子さんに遺伝するケースが多いです。お子さんのお口に問題がある時、ご両親にアプローチしてみると、気にしている方は多く、実際に受診してくださる方もいらっしゃいます。将来を見据えてしっかりと治療し、ご家族皆さんの健康に役立てるとうれしいですね。
歯科治療が苦手な人も安心できる診療の提供を
説明で工夫していることはありますか?

【文仁院長】わかりやすい言葉を使うことと合わせて、目からの情報はとても大事。話すだけだと聞き流してしまうことがありますからね。パンフレットなどがあると帰ったときにご家族にも説明しやすいですし、ご自身の現状をきちんと把握しておかれると、継続して治療に通うモチベーションになりますね。
【千裕先生】自分のお口の中で何が起こっているのか理解していただけるように、可視化するようにしています。きちんと理解できていないと、治療がまだ終わっていないのに痛みがなくなったからと通院をやめてしまう方が多いんです。口腔内の写真、レントゲン画像をモニターに映しながら説明したり、自作のパンフレットをお渡ししたりして、目から入る情報を充実させていますね。
どんな時にやりがいを感じますか?
【文仁院長】患者さんがご家族やご友人に紹介してくださったり、治療後に喜んでくれたりするとやりがいを感じます。当院を信頼して大切な方を紹介してくださるのは、やはりうれしいですよね。
【千裕先生】歯科治療が苦手で、ずっと嫌なイメージを抱えていた方が、治療を終える時に「楽しく、満足のいく治療を受けられました」と喜んでいただけると、「歯科医師で良かった」と思いますね。実は私自身も歯科恐怖症。苦手な方の気持ちがよくわかるので、治療前にはしっかりと説明をして、処置の前に必ず何をするか声をかけることを意識しています。
今後の展望をお聞かせください。

【文仁院長】娘が後継者になってくれたので、いかにつなげていくかですね。でも長く診ていたご家族が「娘さんは説明もしっかりしてくれて、大ファンです」と言ってくださる方もいるので心配する必要はなさそうです。まだまだ引退は先なので、これからも親子でにぎやかに診療していきます。
【千裕先生】何世代にも渡り通ってくださっている患者さんが多いので、私たちも家族代々引き継いでいきたいですね。かかりつけ医として、つながっていったご家族の一生涯を診ていくような歯科医院にしたいです。気軽に相談ができて、悩みがあればすぐに来てくれるようなアットホームな歯科医院を院長やスタッフとめざしています。