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向原 進一 院長の独自取材記事

向原クリニック

(神戸市西区/明石駅)

最終更新日:2019/10/10

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「向原クリニック」は神戸市西区にある、訪問診療・往診を中心に取り組む在宅療養支援診療所だ。2010年に同院を開業した向原進一院長は、10年以上、小児の整形外科を専門として総合病院に勤務していた。しかし、自分の育った神戸市で在宅医療を提供することで地域の役に立ちたいと一念発起。がん・難病で自宅療養中、通院が困難、在宅酸素療法や人工呼吸器を使用中といった人が、住み慣れた自宅で安心して療養できるようにと日々忙しく過ごしている。「患者さんやご家族の話をしっかりと聞いて、治療の方針をしっかりと決めていきます」と話す向原院長に、これまでの経歴、在宅医療について、患者への思いを聞いた。(取材日2019年9月17日)

小児整形外科の医師から在宅医療への転進

向原先生はもともと整形外科がご専門なのですね。そもそも医師をめざしたきっかけは何ですか?

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両親や親戚に医師がいたわけではないのですが、自分が子どもの頃に病気を治してもらったとき、私自身も楽になり、また、両親の安心したような顔を見て「医師というのはすごいなあ」という漠然とした憧れを持っていました。実は理系ではあったのですが、自分が医師になれるとも思っておらず、高校2年生ぐらいまではエンジニアになろうかと考えていましたね。ですが高校3年生の時に友達が「医者になる」と言い出したことで、私も「一緒にめざそう!」と勉強を始めました。専門については、浜松医科大学在学中に見学に行った京都大学医学部の整形外科が、教授が若く活気があり雰囲気が非常に良かったので、整形外科を選びました。研修先の病院や、その後勤務した病院では小児整形を専門的に診療していました。

そこから在宅医療専門のクリニックを開業したのは、非常に珍しいのでは?

そうですね。ただ、小児整形という非常に専門性が高い分野の診療を続けることで、扱う疾患などがとても狭くなってしまったのです。もちろんそれは意義深いことではあったのですが、次第により広く、多くの患者さんと関わりたいと思うようになりました。また、子どもが小学生に上がろうかという年齢になっていましたので、地元である神戸に戻り、仕事をしたいという思いもありました。そんな折に、垂水区で在宅医療に力を入れているクリニックで医師を募集していたので、そちらで働き始めました。3年ほど在宅医療や往診を行い、自分でもやってみたいと思うと同時に地域のニーズを感じたため、2010年に開業しました。

現在はどのような患者さんのもとを訪れているのでしょうか。

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患者さんの症状や病気はさまざまなのですが、進行期・末期のがん患者さんや、パーキンソン病などの神経難病の患者さん、認知症の患者さんが多い印象です。そのため、年齢層もおおむね70代以上の患者さんですね。在宅医療を選ぶ理由はさまざまにあると思いますが、自分自身の生活を優先し、その中で治療を行いたいという方が在宅医療を選ばれています。住み慣れた家やこれまでの生活のペースを崩さず診療できることはメリットも多く、患者さんの安心につながると思っています。

家族と一丸となって方針を決定していく

在宅医療の流れを教えてください。

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当院では、まずご家族の方と面談を行います。そこで患者さんの現在の病状などを確認します。そして、少しでも病状が悪化などした場合にすぐに病院へ移るのか、あるいはできる限り在宅にこだわるのかということ、また、急激に悪化した場合や、心筋梗塞や脳梗塞などの症状が現れた場合に救急車を呼ぶのかどうかといった、基本的な方針を決めてから訪問が始まります。訪問診療では、基本的に経過の観察と、患者さんから何か困っていることがないか念入りに確認します。在宅医療を行う際、医師は医療・介護のリーダーの役割なので、ケアマネジャーに相談したほうがいいのか、デイサービスを利用したほうがいいのか、などを判断し、お伝えする仕事もあります。

在宅医療を行う中で、先生が大切にしていることはありますか?

在宅医療では、患者さんはもちろんのことですが、ご家族の方とのコミュニケーションも非常に重要です。治療についても、患者さん本人と主介護者の方が一丸となって方針を決めていく必要があります。例えば、慢性疾患の患者さんが別の病気にかかった場合などは、病院にかかれば早い回復につながるかもしれませんし、あるいは自宅でゆっくり治療することもできます。“いざというときにどのように判断するのか”、あらかじめご家族の方ともきちんと方針を決めておかないと、大きな後悔につながりかねません。ですから重要なことはご家族の方と事前に話し合い、一緒に決めるようにしています。

ご家族の協力が必須であり、一丸となって患者を診ることが重要なのですね。

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そうです。近年、在宅医療そのものの認知度は高まっており、当院にも多くの方がご相談に来られます。いざ在宅医療を始めてみて、今までの生活に在宅医療が合う場合もあれば、なかなかうまくいかずに悩まれる方もいらっしゃるのが事実です。ただ、いくら事前にご説明したり、話し合いを重ねたとしても、在宅医療というスタイルがその患者さんやご家族に合うかどうか、うまくいくかはやってみないとわかりません。在宅医療を行う医師としては、やはり在宅医療をご希望されれば継続してほしいとは思いますが、いざやってみてうまくいかなかったり、やってみたけど不安が大きいという場合は在宅医療をやめて他の方法を選択するという道もありますよね。そういった部分にも寄り添いながら診療できたらと思っています。

在宅医療を継続するコツなどはあるのでしょうか。

私がよく言うのは「主介護者が倒れてしまったら元も子もない」ということ。在宅医療では主介護者にかかる負担が非常に大きく、特に近年では配偶者の方、あるいは娘さんが介護の担い手になり、いわゆる「老老介護」にならざるを得ないケースがたくさんあります。ずっとご自宅で療養していると、介護者の方が休まる暇がありませんから、私がお勧めしているのはショートステイを活用すること。1泊2日だけでなく、4泊5日ほどのものもあり、その場合は中3日お休みができます。介護者であるご家族の方も休める環境をつくることが、在宅での療養を長く続けていくためには重要だと思います。

地域の医療に貢献したいという想い

泌尿器科がご専門の先生もいらっしゃるのですね。

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そうです。常勤で整形外科と泌尿器科という、内科以外の専門分野を持つ医師がいることは当院の特徴でもあると思います。ですから転倒による突発的な骨折や、あるいは寝たきりでカテーテルを挿入している方などの泌尿器のトラブルにも、すぐに対応することが可能です。在宅医療では、一般的な内科知識はもちろん、それ以外の診療科目の知識が求められることがあります。多岐にわたる診療科目の医師が集まるのが理想ですね。

今後の展望や、夢はありますか?

当院も開業して10年目に入りまして、今まさにそういったことを考えている最中です。今後の10年で私も年をとり、いつまでも診療を続けることが難しくなるかもしれません。そのため、どんどん若い先生にも在宅医療に興味を持ってもらい、当院で活躍してもらいたいと思っています。そして、当院でさまざまな経験を積んだ医師が、分院として各地域に開業し、より強固で綿密な連携をとれるネットワークをつくっていきたいですね。そうすることで、休日や夜間も、求められる医療を提供できるようになるのではないかと思います。

患者さんやそのご家族にメッセージをお願いいたします。

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ご高齢のご両親がいらっしゃる方や、配偶者が通院困難という方は1度、地域の在宅医療を行っている医師やクリニックを調べてみてください。在宅医療から、通院や入院に切り替えることもできます。ある日突然、寝たきりになるということもありえますので、早くから知識を持っておくことに越したことはないと思います。そして現在、在宅医療に興味のある患者さんやご家族の方は、ぜひ気軽に主治医やケアマネジャー、地域包括支援センターなどに相談してみてください。当院に直接ご相談いただいても大丈夫です。地域の在宅医療に貢献し、患者さん本人だけでなくご家族にも喜んでいただけるクリニックをめざしていきます。

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