三谷 年史 院長の独自取材記事
三軒茶屋駅前おなかクリニック
(世田谷区/三軒茶屋駅)
最終更新日:2025/05/16

三軒茶屋駅から歩いて2分のビル4階にある「三軒茶屋駅前おなかクリニック」は、内視鏡検査を中心に、消化器内科や一般内科、心療内科など幅広い診療に対応している。院長の三谷年史先生は、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医として、これまでに数多くの胃・大腸内視鏡検査を手がけ、同院においても苦痛の少ない、かつ高精度な内視鏡検査を追究。内視鏡検査は決して楽なものではないが、静脈麻酔や経鼻内視鏡など複数の選択肢を用意し、できる限り快適に受けられる体制を整備。穏やかな笑顔で「まずは気軽に相談してほしい」と話す三谷院長に、内視鏡検査に対する思いや、診療において大切にしていることについて話を聞いた。
(取材日2025年4月21日)
内視鏡の診断力の高さに感銘を受け、消化器内科へ
先生が医師、そして消化器内科医を志した経緯について聞かせていただけますか?

高校時代、周囲に医学部をめざす友人が多く、特に親しい友人が医師の家系だったこともあり、話を聞くうちに自然と興味を持つようになりました。私自身、理系科目が得意だったことも大きかったかもしれません。神戸大学の医学部に進学し、さまざまな診療科で実習を行う中で、次第に外科よりも内科系に魅力を感じるようになりました。あくまで当時の印象ですが、「病気だけでなく人を診る」視点に惹かれたのだと思います。大学卒業後は消化器内科をローテーションで回った際、初めて内視鏡を使った検査にふれました。当時はまだあまり一般的ではなかった「カメラを使って内部を観察する」という技術と診断力の高さに感銘を受け「この技術を学びたい」と、消化器内科に進むことにしました。
こちらに開業するまでの経緯をお聞かせください。
2007年から12年間、虎の門病院の消化器内科に勤務し、内視鏡の技術にも自信がついてきた頃から、今後について考えるようになりました。「今の病院にいると、そろそろ臨床業務から管理的な立場へと役割が変わっていく。臨床にいたいのであれば開業しかない」という中で、自分がこれまで培ってきた診療や技術を、今ならそのまま地域のクリニックで生かせるのではと思ったんです。当時の内視鏡検査は大きな医療機関に行く必要があり、予約や待ち時間の負担も大きかったのが実情です。地域のクリニックで検査を受けられれば、患者さんの負担も大きく減らせると考えました。大規模病院でないと難しい処置もありますが、胃や大腸の内視鏡検査、ポリープ切除といった一般的な検査や治療であれば、クリニックでも大規模病院と同じレベルで提供できると思い、開業を決意しました。
クリニックの診療について教えてください。

内視鏡検査を中心に、一般内科や消化器内科など幅広い診療を行っています。腹部超音波検査やピロリ菌の検査・除菌にも対応していますし、2024年6月からは週に1回、心療内科の診療も開始しました。内視鏡検査には、病変を数十倍に拡大して観察できる拡大内視鏡や、光の波長を調整して異常を際立たせる狭帯域光観察技術も導入しています。大腸に病変が見つかった場合、通常、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)のような高度な処置はクリニックでは行っていませんが、大きくないポリープや、病変が浅い早期がんであれば、当クリニックではEMR(内視鏡的粘膜切除術)にてその場で切除が可能です。検査は基本的に院長である私がすべて担当し、検査から治療までを一貫して行える体制を整えています。
痛い、つらいはもう古い。内視鏡検査の現状とは
「内視鏡検査はつらい」と敬遠してしまう方も多いのでは?

そういったイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、現在は検査環境や方法が大きく進化しています。特に静脈麻酔を用いた検査は、うとうとしている間に検査が終わるため苦痛の大幅な軽減が見込めます。もちろん「検査後に仕事に戻りたいので麻酔はしたくない」などのご希望にも対応しています。胃の内視鏡については経口と経鼻から選ぶことができますし、「この日しか時間が取れない」といった場合は、条件が整えば初診当日の検査が可能です。大腸内視鏡検査では「検査よりつらい」ともいわれている腸管洗浄剤の服用を、クリニック内かご自宅かで選択できるようにしており、さらに、同日に胃内視鏡検査を行うことも可能です。高齢者や持病のある方には別日をお勧めしていますが、1日で両方の検査ができるため、忙しい方には大きなメリットがあります。個々のご希望に応じて、無理のない方法を提案していますので、安心して相談してください。
院内の設計にもこだわったと伺いました。
クリニック内の廊下を極力少なくし、患者さんの移動が最小限となるよう工夫しました。鎮静剤を使用した検査の後は、患者さんにしばらく休んでいただく必要があるため、内視鏡室のすぐ隣に処置室を設け、患者さんは眠ったままストレッチャーで移動できるような設計にしていますし、内視鏡室と処置室の間や、リカバリースペースも壁やドアではなくカーテンで仕切り、空間に余裕を持たせることで、ストレッチャーでの移動もスムーズに行えるようにしました。待合室から診察室や内視鏡室までの動線にも無駄がなく、患者さんがあちこち移動する必要のない設計になっています。
開業して6年ですが、変化を感じることはありますか?

開業当初に比べ、内視鏡検査を希望される方が着実に増えてきたと感じています。特に、大腸がん検診の重要性が、厚生労働省の「第4期がん対策推進基本計画」に盛り込まれた2023年度以降は、職場での健診などをきっかけに来院される方が増えました。内視鏡検査への関心が高まり、「つらそう」「怖そう」といったイメージも徐々に薄れてきた印象がありますし、実際、検査後「思ったより楽だった」と思った方も多かったのではないでしょうか。あと、変化としてはもう一つ、潰瘍性大腸炎の患者さんが増えていると感じます。これは一度発症すると完治が難しく、症状をうまくコントロールしながら付き合っていく必要があります。放置すれば悪化する可能性もあるため、下痢や血便などの症状がある方は、早めに検査を受けていただければと思います。
早期発見のため、些細な不安も気軽に相談を
心療内科の外来はどういった思いで始められたのですか?

一見、消化器内科と心療内科は無関係に思われるかもしれませんが、胃腸はストレスの影響を受けやすい臓器です。過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなど、検査では異常が見つからないけれど不調が続く患者さんも多く、薬だけでは改善しない場合は心療内科的な視点が必要になります。これまでは近隣の医療機関に紹介・連携してきましたが、より密にやりとりしながら診療ができればと考え、大学の同級生でもある医師に声をかけました。「腹痛や下痢を繰り返す」「ストレスがあると悪化する」という方は、背景にうつなどが隠れていることも多くあるんです。「メンタルクリニックに行ってみてください」と言われるよりも、併設の心療内科に相談するほうが患者さんにとっての心理的ハードルが低いと考えたのが、心療内科の外来を開設した理由です。
診療で大切にしていることは何ですか?
基本的なことですが「良くなって帰っていただくこと」です。そのために検査があり、診断があり、治療があります。先ほどのように、内視鏡検査が負担にならないよう細かな希望を聞きながら進めますし、患者さんと向き合う時も、その方に合わせて柔軟に対応するよう心がけています。例えば、仕事の合間に来られているような方には簡潔な説明を、不安の強い方には時間をかけて丁寧に説明するなどです。ほかにも、内視鏡検査に恐怖感のある方には、まずは薬で様子を見て、必要に応じて検査を提案し、逆に早めの検査を望む方は速やかに検査をするなど、できる限り個別の希望に寄り添った対応を心がけています。当クリニックに来た際は「こんなこと言ったら迷惑かな」と思わずに、ご希望があれば遠慮なくお伝えいただきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

体の不調や気になる症状があれば、どんな小さなことでも気軽にご相談ください。胃がんや大腸がんをはじめ、多くの病気は早期発見が重要です。また、「何科にかかればいいのかわからない」といった曖昧な症状も、まずはご相談いただければ、必要に応じて適切な診療科をご案内します。これまで培ってきた知識と経験をもとに、一人ひとりに合った丁寧な医療を提供できるよう努めてまいります。駅の近くにありますので、お忙しい方も今後の安心のために、一度足を運んでいただければと思います。