加藤 時規 院長の独自取材記事
Toki Dental Clinic
(桑名市/桑名駅)
最終更新日:2025/03/27

桑名駅から徒歩3分。「Toki Dental Clinic」は青い横のラインと白いルーバーといったスタイリッシュな外観が目印。開業当初はカフェと間違える人も多かったそうだが、2018年5月に開業して1年余り、今では子どもから高齢者までが通う、親しみある町の歯科医院として定着しつつある。黒い服に身を包んだ加藤時規院長は、穏やかな話しぶりと優しい笑顔で緊張感をほぐしてくれる、大学病院での勤務経験で得た知識と技術を最大限生かして地域貢献したいと意欲を語る、地元思いの先生だ。「奉仕の精神をもってベストを尽くしたい」というその熱い思いの根源や普段の心がけ、今後の展望までさまざま語ってもらった。
(取材日2019年8月2日)
父の姿を見て育ち、地元に貢献したいと開業
とてもおしゃれなクリニックです。コンセプトを教えてください。

歯科医院は治療も含め、歯をきれいにしたい方が来られますので、きれいなところで施術を受けてほしいと思い、スタイリッシュな空間を追求しました。院内も、私が好きなブルーを生かした内装となっています。無垢の木にもこだわり、窓の白いルーバーはうっすら木目が浮かび上がるように何度も色味をチェックしてペイントしてもらいました。ただ、掃除に予想外に手間がかかるんです。夜は院全体に明かりがともって外から見るときれいです。開業当初よくカフェに間違えられましたので、今は「とき歯科」と看板もつけています。また、見た目のきれいさだけでなく、勤務していた大学病院の診療レベルに近づけたいと考えて、院内や器具の消毒・滅菌は徹底しており、CAD/CAMシステム、歯科用CT、マイクロスコープを導入しました。
患者はどんな方が来られていますか?
最初は外観が影響して、「高そう」「自費診療しかやっていないのではないか」と恐る恐る来院される方が多かったですが、実際はそうでもなく保険診療の方も多く来院いただいています。4つあるユニットのうち1つは広いファミリールームで、マットを敷いてお子さんが遊べるスペースがありますので親子で来られる方に結構好評です。妊婦さんもいらっしゃいます。また、駅に近いという場所柄でしょうか、30~50代の働き盛りの方も多いです。もちろん高齢の方も来られており、年齢層は幅広いです。
歯科医師であるお父さまも一緒に診療されています。

父はもともと郊外で歯科医院を開業していましたが閉院し、今は午前中のみこちらで診療しています。小学生の頃、友達から「トキのお父さんに治療してもらった」などと言われて、父が誇らしくもあり、歯科医師は良い仕事だなと思うようになりました。大阪大学へ進みましたが、いずれ生まれ育った桑名に貢献したいという気持ちがあり、アクセスが良く父の実家にも近い駅前に開業した次第です。ありがたいことに、父の以前からの患者さんもわざわざ電車に乗ってきてくださいます。父は決して愛想が良いわけではなく昔ながらの職人気質。患者さんにも結構厳しく、私はそれを“反面教師”にして患者さんに寄り添い、説明も丁寧にしています(笑)。でもこの頃父も、気づくと患者さんと結構しゃべっています。ちょっとうれしく、意外でもあります。
奉仕の精神でベストを尽くす
得意な治療について教えてください。

大学卒業後、クラウンブリッジ、つまりセラミックなどのかぶせ物の作製や審美面に配慮した診療を行う補綴科に入局し、大学院に進みました。最終的に「きれいな歯でしっかり噛む」ことを目的とした科です。クラウンブリッジ科がインプラント治療も行っていたので外科的治療も多く経験することができました。大阪大学では、最終的にこのように噛むようにしたいから、ここにこういうインプラントが必要だという、いわば補綴主導のやり方を取り入れており、数十年後も噛めて、ケアもしやすいかぶせ物をつくることに重きを置いていました。私はインプラント治療の技術が素晴らしい先生のもとで直接学びましたので、補綴、さらにインプラント治療も得意な治療といえます。
インプラント治療でのこだわりはありますか?
インプラント治療に求められているのは、高齢になっても噛める、長期的に持つことだと思います。体の変化にもなじんでいく治療を心がけています。大事になるのは、いかにメンテナンスがしやすいものをつくっていくかということ。まずレントゲンや歯科用CTを用いてしっかり診断をし、シミュレーションして、手術では、入れるべき場所にインプラントを的確に入れていきます。昔は上手な先生が経験値によるフリーハンドで行っていましたが、今はCTのデータを活用したガイドがあり、シミュレーションどおりにインプラントを埋入できるようになっています。血管や神経を損傷するリスクも少なく、必要最小限の切開で低侵襲の手術が可能となってきています。
診療において心がけていることはどんなことですか?

大学病院での上司の先生が、患者さんと常にじっくり向き合う方でした。診療時間は決まっていても、時には急患やその他の用事が入ります。それで時間がずれて次の患者さんも来られて、「今日はここまでにするのかな」と思っていると、そうではなく、ちゃんと最後まで続けられるわけです。一切の妥協がなく、当たり前ですが絶対に手を抜かないので、やはり仕上がりは美しかったです。その先生の姿勢が印象的で、私も、患者さんにはもちろん自分自身も満足できる治療を追求したいと思っています。大学病院では17時まで診療して、その後夜中まで研究という日々でしたが、それでも患者さんを目の前にするとベストを尽くしたいという気持ちになりました。やはり医療者は奉仕の精神を持つべきと私は思います。真摯に患者さんに向き合うこと、これが一番大事です。
患者の気持ちに寄り添い、貢献するクリニックに
大学病院でのご経験は今に役立っていますか?

補綴やインプラント治療の他にも小児の外傷など救急治療にも携わっていましたので、さまざまな症例に出会ったことで、今もどんな症状の方がいらしても冷静に受け入れることができるようになりました。例えば大学病院には過去に歯科治療でつらい思いをした方もよく来られていましたし、当院にも「歯医者さんが怖い」とおっしゃる方が多く来院されます。あらかじめ問診票に記入してもらうのですが、中には冷や汗が止まらなくなると訴える方も。そんな方には、チェアを半分だけ倒して簡単な処置から始め、痛みにも配慮しながら治療を進めるような対応も可能です。そのような配慮をすることで、治療をやり通して、メンテナンスに通っていただけるようになるとうれしいですね。同じようにかつて治療で苦しんだ経験がありながらも、当院には毎月来られるようになった県外の方もいます。
それは素晴らしいですね。スタッフの方の存在も大きいのでは?
そうですね。スタッフには、言葉には出ない患者さんの本当の思いをくみ取るようにしてほしいと話しています。例えば問診でも「どうされましたか?」「歯が痛いです」で終わるのではなく、それが以前からだとしたら、なぜ今来られたのかを聞き取ってほしい。これまで治療に苦労されたのか、単に仕事が忙しかったのか、いろいろな理由があるはずです。これは私が研修時代に師事した先生から言われたことで、「人は何か思いがあって来られている。単に歯だけを診るのではなくて、その人を見なさい」ということだと思っています。患者さんは、私には言いにくいことでもスタッフには言えることもあり、スタッフの存在は大きいです。開業して1年がたち、最近では皆、にこやかに患者さんの話をよく聞いてくれているなと感じます。
今後の展望についてお聞かせください。

患者さんが笑顔で帰られるようにと昔から思っています。歯科医院へ行くのは嫌だなという方が多いと思いますが、良くなってきたと実感できれば笑顔になれるのではないでしょうか。たまに「きれいになってきて、来るのが楽しい」という言葉をいただいてうれしくなります。その状態を保つためにメンテナンスに来られる方が増えて、当院の理念に賛同するスタッフも増えていけばというのが理想です。また自分に子どもができてから、お子さんへの接し方や親御さんの気持ちへの理解が深まりました。将来のためにぜひ小さい頃から予防に来ていただきたいです。お子さんの成長に合わせて私たちができることでお役に立っていきたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/30万円~、CAD/CAMシステムを使ったセラミック/4万円~、マイクロスコープ治療/10万円~
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。