門間 美佳 院長の独自取材記事
藤沢女性のクリニックもんま
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2026/01/14
藤沢駅から徒歩4分のビル4階にある「藤沢女性のクリニックもんま」。院長の門間美佳先生は、山梨医科大学(現・山梨大学)を卒業後、複数の病院で研鑽を積み、2019年に同院を開業。院長は、日本産科婦人科学会産婦人科専門医として、特に思春期と更年期の女性医療に力を注ぐ。院内は白を基調とした清潔感ある空間で、若い女性も通院しやすい婦人科をめざしている。第1土曜日午後にはユースクリニックとしてクリニックを開放し、若者の安心できる居場所づくりにも取り組むほか、高校や大学に赴いて性教育に関する講演会なども行っている。また、「女性の健康を守るための選択肢を増やしたい」という強い思いのもと、生理痛を我慢せず治療につなげる診療を実践。女性が主体的に健康を管理できる環境づくりなどについて、門間院長に話を聞いた。
(取材日2025年12月8日)
若い世代が気軽に相談できる婦人科でありたい
開業されて6年とのことですが、振り返ってみていかがでしょうか。

開業を決めたきっかけは、子どもが3人いて勤務医として思うように働けなくなったことでしたが、今では開業して本当に良かったと感じています。病院勤務の頃は、思春期や更年期の悩みよりも、お産やがん治療など命に関わる場面に関心の比重がありました。開業医として思春期や更年期の悩みに深く向き合うようになり、それらが本人にとってどれほどつらく深刻な問題かを改めて実感するようになったんです。そこに寄り添えるようになったことは、非常に大きなやりがいになっています。例えば、つらさで動けなかった方が少しずつ元気になったり、学校に行けなかった子が笑顔を取り戻したり。人の「生きる力」の強さに心を動かされることが度々あります。私が手助けする部分はありますが、最後に前へ進む力はその人自身の中にあるものです。その瞬間に立ち会えることが、私の何よりの喜びです。
「若い人が通院しやすい婦人科をめざしている」と伺いました。どのような思いからですか?
おっしゃるとおり、当院はユースフレンドリーな婦人科をめざしています。性と「生殖の健康と権利」を大切にし、自分の体について受け身ではなく主体的に選べるよう寄り添っています。中高生同士のクチコミで「あそこはそんな怖い先生じゃないと聞いたから」と言って来てくれる子も多いんですよ。先生方も安心して生徒に紹介してくださっているようです。当院は、単に病気を診るのではなく、その人を診る全人的医療を心がけています。そのため、学生の皆さんにも来やすいと感じてもらえているのかもしれませんね。代表例としては、生理による学校生活の悩みに対して、ピルを用いることで快適に過ごす手助けができたらと思っています。
第1土曜日に「ユースクリニック」を開催されているそうですね。始められたきっかけは何だったのですか?

隣の平塚市で新生児遺棄事件が2年続けて起こったんです。そこから、そうなる前のセーフティーネットをつくりたいと思い始めました。「ユースクリニック」はスウェーデンが発祥で、13~25歳の若者が、性・体・心に関する悩みを相談できる「若者のためのクリニック」です。第1土曜日の14時から17時まで無料開放していて、高校生、大学生などが友達や彼氏と足を運んでくれます。15時からは月経痛やPMS、HPVワクチンについてのミニ勉強会も開催しています。とはいえ、「困ってる人はおいで」とだけ言ってもなかなか人は集まらないものです。困っていることに気づけなかったり、うまく言葉にできなかったりすることもありますからね。当院では爪心理士さんによるネイルサービスも実施しています。とにかく気軽に立ち寄れる楽しい場所にして、月経カップや吸水ショーツを手に取ったり、スタッフと会話できるようにしています。
生理の悩みを我慢せず、自分の体の主人公に
月経困難症や子宮内膜症の診療に力を入れているそうですね。

はい。生理痛をそのままにしておくと内膜症や不妊につながる可能性があります。だからこそ、「ただの生理痛だから」と我慢せず、早めに相談してほしいと思っています。貧血が良くなるだけでも落ち込みがなくなり、疲れにくくなり、勉強や運動のパフォーマンス向上も期待できます。生理というのは、毎月赤ちゃんのためのベッドである子宮内膜を準備して、必要なければ剥がれて体の外に出るという仕組みです。妊娠を望まない時期などは、月経困難症などを和らげる目的で低用量ピルを使用することもあります。毎月の生理痛を我慢して、女性が本来の力を発揮できないのは、本当にもったいないことです。だからこそ、持っている力を120%引き出せるように手助けしたいと思っています。
更年期のための外来についても伺います。
45歳から59歳の方は、更年期障害による不調を緩和するためのプラセンタ注射が保険適用で受けられます。更年期障害で、体がだるい、眠れない、肩こりや頭痛などの症状でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。50~60代は仕事でも大事な時期なので、更年期の不調がつらくて離脱してしまうのは本当にもったいないことです。思春期と同じく更年期はホルモンが揺らぎやすい時期だからこそ、不調を整えて、女性が自分らしく輝けるように支えていきたいですね。このほか、過多月経や月経困難症の治療として、子宮内黄体ホルモン放出システムもご提案しています。生理の量を抑えるほか、避妊にも有用で、保険で治療することができます。
診療において大切にされていることは何ですか?

患者さんが「自分の体の主人公」になれることを大切にしています。どんな治療を受けているのかわからないまま進むのではなく、こちらからいくつかの選択肢をお伝えして、その中からご自分で納得して選べるようにしています。「この薬を飲んでと言われたけれど、理由がわからなかった」となることがないように、私は「なぜ必要なのか」も丁寧に説明することを心がけています。表情を見ながら、ちゃんと伝わっているかなと確認しつつお話ししています。勤務医時代、親御さんの反対で一年間薬を使えなかった高校生が、受験前に生理痛で涙してしまったことがありました。その時、「説明したつもりになっていたのかもしれない」と強く感じ、それ以来、相手が本当に理解しているかどうかをより大切にしながら説明するようになりました。
女性スタッフとともに女性の健康を守る選択肢を増やす
スタッフの皆さんもさまざまな専門スキルをお持ちだとか。

当院には、思春期保健について専門に学んだ看護師が複数おり、思春期特有のお悩みも丁寧にお聞きできる体制があります。さらに、性暴力被害者支援について詳しい看護師も在籍しており、より慎重な配慮が必要なご相談にも寄り添えるようにしています。スタッフが患者さんと十分に関われないこともありますが、当院ではお話を伺う時間を大切にしています。スタッフ自身もその関わりにやりがいを感じてくれていて、良い循環が生まれていると感じています。
今後の展望について教えてください。
女性の健康を守るための選択肢を、もっと広げていきたいと思っています。日本は世界と比べると、女性の健康に関する情報や医療がまだ遅れている部分があるので、そこを少しでも前に進めていきたいですね。例えば、HPVワクチン。接種に不安を持つ方もいますが、子宮頸がんは74人に1人がかかる病気で、20代や30代に多く、子宮摘出や命にもかかわるなど、マザーキラーと呼ばれています。だからこそ、予防のためのワクチンの知識を正しく知っていただくことが大切だと思っています。今後も勉強会を開き、情報を届ける取り組みを続けています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

生理痛は我慢せず、つらいと感じたら早めに相談してほしいです。楽になる方法はたくさんあるので、まずは受診してもらえたらうれしいですね。私はよく「妊娠を望まない時の生理は、実はそんなに必要なものではないんです」とお話ししています。実は現代女性は明治時代の約9倍もの月経回数があり、その分、体の負担が大きいともいわれています。だからこそ、月経の回数を減らしたり、子宮を休ませたりすることも大切なんです。「無理やり生理を止めているんじゃないですか?」「出血しないと体内にたまるんですか?」と心配される方も多いのですが、女性の体がライフスタイルの影響で昔と大きく変わっているから、生理に悩む人が増えているのだとお伝えすると、皆さん驚かれます。婦人科にもっと気軽に来て、「つらさを我慢しなくていいんだ」と知ってもらえたらと思っています。

