上田 順一 理事長の独自取材記事
うえだ歯科 小田急藤沢クリニック
(藤沢市/藤沢駅)
最終更新日:2021/11/12
藤沢駅から徒歩1分。商業施設が入るビルの7階にある「うえだ歯科 小田急藤沢クリニック」。雨の日でも傘をささずに行くことができ、とても便利だ。理事長の上田順一先生は、先に開業している鎌倉の2ヵ所のクリニックと同じように、地域に根づいた診療を行うべく同院を開業。「歯科医師は患者さんが治療を受けなくて済むことをめざさなければならない」というスウェーデンの恩師の言葉に感銘を受け、歯周病治療と予防を通じて健康な歯の維持に全力を注ぐ。歯周病治療のスペシャリストでありながら気さくな上田先生に、診療の際に心がけていること、力を入れている歯周病治療のこと、歯科医師をめざしたきっかけなど、たっぷり語ってもらった。
(取材日2021年7月8日/更新日2021年11月12日)
適切な治療方針で、可能な限り歯を残すことをめざす
駅から雨に濡れずにすぐにアプローチでき、とても便利ですね。どんな患者さんが多く来院しますか?
駅から近いので働いている方も多いのですが、0歳からお年寄りまで幅広い年齢の患者さんが来院されています。鎌倉市内に本院と分院があり、その患者さんからのご紹介で来院される方もいらっしゃいますね。こちら藤沢でも鎌倉のクリニックのように、かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所として地域に根づいた診療を行っていきたいと考えています。患者さんが心地良く治療を受けられる診療環境づくりをめざし、院内はバリアフリー設計とし、プライバシーに配慮した個室型カウンセリングルームをご用意。また、インプラント治療や歯周外科治療に先端の設備で対応するため、オペ室を備えています。
診療の際に心がけていることや診療方針についてお聞かせください。
なるべく歯を抜かずにご自身の歯を生涯使い続けていただくため、歯周病治療と予防を中心とした長期安定性の高い治療方針をご提案するよう努め、機能的かつ審美的にご満足いただける診療を心がけています。また、すべてにおいて患者さん中心の診療を行っており、患者さんのお話をじっくりと聞き、ご要望を引き出し、治療方針を立てます。その際、どんな治療でも土台となるのは歯周病治療と予防、プラークコントロールであることを患者さんに理解していただくようにしています。スタッフにも常に患者さんを中心に置き、患者さんが快適に気持ち良く過ごせるようにしてほしいと伝えています。
患者第一主義を貫かれているのですね。
当院が取り入れているスウェーデンの診療スタイルでもあるのですが、すべては患者さん中心です。歯科診療、特に予防においては、患者さんが納得して処置を受け、予防・治療チームの一員となってご自身の歯の健康を守っていただかなければなりません。そのためには患者さんのモチベーションが大切で、それには信頼関係が重要です。嫌いな人のところへは行きたくありませんから、患者さんに「好き」と思っていただけるような、また私たちもそう思えるような人間関係を築けるように心がけています。
歯周病治療と予防に重点を置くスウェーデン式歯科診療
歯周病治療に力を入れて取り組まれるようになった経緯をお聞かせください。
開業後に歯周病治療の重要性に気づき、東北歯科大学(現・奥羽大学)歯周病科教授であった岡本浩先生に師事して学び、さらに岡本先生の師匠であり、歯周病治療の分野で知られるスウェーデン・イエテボリ大学のヤン・リンデ先生の勉強会にも参加するようになりました。当時の日本では歯周病治療に取り組む歯科医師はわずかでしたが、世界的には関心が高まっていた時期で「第1回リンデシンポジウム」に参加したときの感動は今でも忘れられません。世界中から集まった歯科医師が症例発表をした後、リンデ先生が「どれも素晴らしいが、歯科医師は患者さんがこのような治療を受けなくて済むことをめざさなければならない」と総評され、スタンディングオベーションとなったのです。その感動が自身の歯科医師としての方向性を決めるきっかけとなり、以来、歯周病治療と予防に取り組んでいます。
スウェーデンは歯科予防先進国ともいわれ、虫歯が少ないそうですね。
そうですね。スウェーデンは世界的にみて虫歯になる人が少なく、歯周病治療や虫歯治療、インプラント治療、予防において世界をリードしているともいわれています。予防やメンテナンスに重点を置くのがスウェーデンスタイルですが、特別な機械や薬を使うものではありません。その根底にある考え方は、「患者の口腔の健康を第一に考え、予防を最優先にする」。そのために、一人ひとりに合った口腔ケアや指導、治療はシンプルに行い、治療後の状態を長期継続するためのメンテナンスを行います。当院はそうしたスウェーデン式の診療を行っており、検査結果を数値化することで患者さんにわかりやすく説明し、目標値を設定して患者さんと一緒に治療に取り組みます。
こちらのクリニックの歯周病治療について教えてください。
当院では、スウェーデンのイエテボリ大学歯周病科と同じ機器を使い、歯石を取り除く際に歯や歯茎を傷つけないことに留意しています。治療と同じぐらいメンテナンスを重視するのがイエテボリ流なのですが、これは日本人に向いているようです。鎌倉市でこの診療を始めた当初は、メンテナンスという考えが浸透していなかったにもかかわらず、受けていただいた患者さんの紹介で来院される方が増えました。また、インプラント周囲炎の患者さんにも対応しています。この疾患は歯周病とは少し異なるとはいえ、インプラントだけでなく歯周病治療の心得がないと対応が難しいものだと思います。私は日本歯科専門医機構歯周病専門医の資格を持ち、多くの経験を積んでいますので難しい症例にも対応が可能です。当院でもご希望があればインプラント治療は行いますが、歯周病の方は、まず歯周病をきちんと治して土台を整えることが大切です。
自分の歯に関心を持ち、歯の健康を守ってほしい
歯科医師を志したきっかけなどありましたらお聞かせいただけますか?
母方の祖父、叔父が歯科医師で、患者さんから好かれている印象を持っていて、漠然と自分もそうなりたいと思っていました。祖父は福島県郡山市の開成山大神宮の長男でしたが、宮司ではなく歯科医師の道を選んだのです。私も祖父のようになりたいと、日本歯科大学新潟生命歯学部に進み、勤務医を経て1997年に鎌倉市に本院を開業しました。祖父にちなんで、医療法人名は「開成会」とし、神に仕える神聖な気持ちで仕事にあたろうと、神の使いといわれる鹿をロゴマークにしました。歯科と鹿をかけたわけではないんですよ(笑)。もちろん、当院も同じロゴマークです。
上田先生がずっと大切にしていること、今後の展望などお聞かせください。
「記録を残す」ということをすごく大切にしています。ですから、開業以来、患者さんのカルテやエックス線写真などの資料を捨てていません。一人の患者さんの口腔観察を続けていく中で、良い資料があれば患者さんの微細な変化を感じ取り、それを患者さんにお伝えすることもできます。今後については、高齢化は避けられない流れですから、現在行っている往診や訪問歯科診療、施設での高齢者の口腔ケアにもっと力を入れていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。
20歳までに虫歯ゼロであれば、生涯にわたって虫歯や歯周病にならない可能性が高まるといわれていますので、ぜひ予防に取り組んでいただきたいですね。お口の管理はお子さん自身ではなく親御さんの責任です、と言うと厳しく聞こえるかもしれませんが、親御さんからお子さんに向けた生涯にわたっての大きなプレゼントと考えていただければと思います。また女性は、ホルモンの影響で妊娠中に歯肉炎になりやすく、歯肉炎になる人は、歯周病にもなりやすい傾向がありますので、予防に積極的に取り組んでいただきたいと思います。歯周病治療と予防は根気よく続けることが必要で、お口の健康を守り、歯を残すための基本です。放置するとどんどん悪くなりますので、メンテナンスや予防に常に関心を持って取り組んでいただけたらうれしいですね。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療/1本38万5000円
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。