平田 好正 院長の独自取材記事
ひらたクリニック
(羽曳野市/古市駅)
最終更新日:2025/08/12

古市駅から徒歩2分の「ひらたクリニック」。家族の病気をどうにかしたいという思いから医師を志した平田好正院長。消化器内科を専門に城山病院で多くのがん患者を診てきた経験から「失う必要のない命を救いたい」と、内視鏡検査のハードルを下げながら高度な医療を提供することを理念に2019年に開業した。総合診療の医師として培った幅広い知識と、消化器のスペシャリストとしての専門性を融合させた診療スタイルが特徴だ。「人生に無駄はない」という恩師の言葉を胸に、すべての経験を今の診療に生かしているという平田院長に、開業への思いや診療理念、地域医療にかける情熱について聞いた。
(取材日2025年7月7日)
患者の想いに寄り添い、その人らしい選択に導く医療を
医師をめざされたきっかけと、消化器内科を選んだ理由を教えてください。

家族が病気を持っており、幼稚園の頃から「病気を治したい」という思いがありました。それが医師をめざす原点でした。その後、医学部への進路を進んでいく中で身内をがんで亡くしたんです。それが大きな転機となりました。周りを見渡すとがんで亡くなる方が本当に多くて、「自分の力を注げたら」と消化器内科をめざすようになりました。城山病院で消化器内科の立ち上げメンバーとして働いた際、進行がんで亡くなる患者さんを多く診てきました。早期に見つけていれば、失わずに済んだ命と家族との時間があったはずです。抗がん剤で苦しい思いをすることもなかったでしょう。そういった経験が、今の診療理念につながっています。
総合診療から消化器内科への道のりについて教えてください。
最初は堺の病院などで総合診療の医師として研鑽を積みました。「専門外だからわからない」と言いたくなかったんです。どの疾患に対してもある程度専門的な話ができるレベルになりたいと考えていました。その後、消化器内科に進んでからは、大腸を専門としながらも、胃、食道、小腸、胆嚢、膵臓、肝臓など、消化器全般のゼネラリストをめざしました。大学では細分化された専門性が求められますが、私は一つの専門性を持ちながら、幅広い領域に対応できる医師でありたいと思っていたんです。「人生に無駄はない」という言葉どおり、若い頃に「なぜこんな経験を」と思ったことも、今ではすべてが診療に生きています。
開業に至った経緯を教えてください。

もともと開業したいと思っていましたが、決定的だったのは城山病院での経験です。がんの早期発見・治療に役立つ内視鏡検査ですが、検査を受けるのはハードルが高いと感じる方が多いんです。そのハードルを低くして、レベルの高い診療を提供したいと考え、それをクリニックであれば身近な場所で提供できると思い開業に至りました。また、当院が、地域の皆さんにとって「ここに来て良かった」と思ってもらえる、医療の入り口でありたいと思っています。ですので、一般内科診療も積極的に行っています。生活習慣病の管理も含め、ぜひ気軽に相談してもらえればと思います。たとえ当院で対応できない疾患などの場合でも、適切な医療機関を紹介します。
専門性の高い内視鏡検査と幅広い消化器診療の実践
内視鏡検査の特徴と工夫について教えてください。

当院では先進の内視鏡機器を導入し、私を含めて経験豊富な医師が担当しています。鎮静剤を使用した、苦痛の少ない検査を実施しています。また、常勤医師は私と副院長の2人ですが、検査希望の多い土曜日には、非常勤の医師も含めた体制で検査に対応し、働く世代の方々が仕事を休まずに検査を受けられる環境を整えることも、「ハードルを下げる」という理念の一環です。当院の医師はみんな内視鏡の経験豊富な方ばかりなので、安心して検査を受けていただけると思っています。
専門である大腸・胃の診療や、肝臓の外来について教えてください。
大腸疾患では便秘の相談が最も多いですね。ただ、便秘を病気からくる症状と思っていない方が多く、実は大腸がんだったというケースもあるんです。おなかの張りや違和感、下痢、おならの臭いなど、腹部の違和感全般を診察しています。胃の診療では、胃もたれや胸やけなどの日常的な症状でのご相談が多いです。ピロリ菌は除菌治療後も胃がんのリスクがあることを知らない方が多いので、継続的なフォローが大切なんです。また、日本肝臓学会肝臓専門医として南大阪では少ない肝臓専門の外来も開設しています。B型・C型肝炎やその他の肝臓疾患にも対応しています。腹部エコー検査も行っており、臨床検査技師と連携して肝臓がん、胆嚢がん、膵臓がんなどの早期発見に努めています。女性の場合は、婦人科検診に抵抗がある方向けに、エコーで見える範囲での確認も行っています。
若い世代への内視鏡検査の重要性についてどうお考えですか?

最近は20代でも内視鏡検査を希望される方が増えています。20代でもかなり大きなポリープが見つかることがあるので、ぜひ気になる症状がある方は検査を受けてほしいですね。ポリープをそのまま放置すれば、40歳頃にはがん化している可能性が高くなります。ですので、一般的には40歳からががん年齢と言われていますが、若い方でも前段階の病変を見つけることは非常に重要。早期発見・早期治療ができれば、がんによって失われる命を救うことにもつながります。
チーム医療と地域貢献、未来への展望
スタッフとの連携やチーム医療について教えてください。

当院には臨床工学技士のマネジャー、看護主任、事務主任を中心に、看護師4人、事務5人、臨床検査技師1人が在籍しています。極力ボトムアップの形式を心がけており、スタッフの意見を大切にしています。月1回の全体ミーティングと週1回の看護ミーティングで情報共有を図っています。多職種が連携することで、初めて内視鏡検査を受ける方も安心して治療を受けられるような環境を作っています。
地域への健康啓発活動として、市民講座もされているそうですね。
はい。純粋に地域の方々の健康に役立ちたいという思いで、市民の方に向けた無料の講座を開催しています。今年の6月には、同じ思いを持つ4つのクリニックと合同で講演会を開催し、羽LIC羽曳野に400人近い方が集まりました。また当院にある、医療コラムについては、実はスタッフが中心となって作成してくれています。副院長やスタッフが頑張ってくれる姿を見て、私も勉強になっています。消化器だけでなく、さまざまな疾患の情報を発信しており、地域の皆さんに正しい医療情報を知ってもらいたいという思いで取り組んでいます。
今後の展望と、読者へのメッセージをお願いします。

来年10月に当院の近くに分院を開院予定です。現在のクリニックが手狭になってきたため、待合室を広げ、新しい検査機器を導入してより高度な医療を提供できるようにしたいと考えています。分院となると「先生はどこに行くの?診療しないの?」と心配される患者さんもいらっしゃると思いますが、分院はあくまで現在の診療をより充実させるためのもので、私は今後も変わらず診療を続けます。分院にはCTなど高度な検査機器も導入予定で、診療内容も現在と同じく消化器内科、一般内科、内視鏡検査を中心に行う予定です。読者の皆さんへお伝えしたいことは、困ったら内視鏡検査に関係なく、まず来てください。ということです。私たちは皆さんの健康の入り口として、しっかりサポートしていきますので、一人で悩まずに相談していただければと思います。