増田 貴行 院長の独自取材記事
福島ファミリーデンタルクリニック
(大阪市福島区/福島駅)
最終更新日:2025/07/01

大阪環状線・福島駅より徒歩約11分。「福島ファミリーデンタルクリニック」は、2025年2月に誕生した歯科クリニックだ。お世話になった祖母の言葉をきっかけに、歯科の道を志したという増田貴行院長。大学院や東京の大学で得た深い学びを生かし、削る、詰める、ではなく、ケアに注力し取り組んでいる。院名に冠したように、子どもから高齢者まで家族で通える歯科医院にしたいという思いから、院内づくりや情報発信にも力を入れる。今後の目標は、「子どもや子育て中の親御さんの力になること」。信頼できるスタッフとともに、日々新たな取り組みに挑戦しているという増田院長に、これまでの歩みや大切にしていること、今後の展望などを聞いた。
(取材日2025年6月2日)
信頼のスタッフとともに地域を支えるクリニックへ
2025年に新しくオープンされたとのことでした。

はい、当院は2025年2月に誕生しました。この場所には以前も同じ法人の歯科医院があったのですが、半年ほどの休診を経て、私が院長に就任しました。診療内容やクリニックづくりについて一任していただき、「福島ファミリーデンタルクリニック」と名づけリニューアルオープンしました。その名前のとおり「子どもから高齢者まで幅広く、地域に根づいたクリニックにすること」をコンセプトにしています。以前通っていた方がリニューアル後に戻ってきてくださったということもあり、この地で歯科医療を提供する意義を感じています。
オープン当初からのスタッフも欠かせない存在ですね。
現在は私と歯科衛生士、受付スタッフの3人が常勤です。初期メンバーとして、密に連携を取れていますし、チームとしての絆は固いと思います。オープン当初から毎月患者さんのために「来月はこんなことにチャレンジしよう」と3人で話し合いながら進めてきました。今後スタッフを増やしていく予定ですが、新しい方にもどんどん意見を出してもらえるような自由な職場にしたいと考えています。患者さんとの信頼関係を築くためには、スタッフ同士の信頼関係が大切だと思っています。そうすれば、クリニックを良くするために積極的な意見がたくさん出るはず。チームワークの良さを患者さんにも感じていただければうれしいですね。
ファミリーでも通いやすいよう工夫もされたとか。

院内はベビーカーや車いすでも通りやすいようにスロープを設置し、チェアの周りも広く取っています。最低限重要な情報だけをダイレクトに伝えるために、受付周りをシンプルにまとめていることもこだわりです。また、お子さんが通院を楽しみにできるよう、キッズスペースやカプセルトイのプレゼントなども用意しています。初めて来るお子さんは不安が大きいでしょうから、急に治療することはせずに、「こんな道具を使うよ」「こんな治療をするんだよ」と恐怖心を取り除けるよう工夫して対応しています。
丁寧な寄り添う診療で、歯の健康を守る場所に
患者さんとの関わり方で、心がけていることや大切にしていることは何ですか?

歯科医院で「勝手に削られた」「歯を抜かれた」という話をよく聞くので、信頼関係を築くこと、信用を失わないことが重要だと考えています。「悪くなっているところがこれだけあります」「今日はここを治療します」「こういう方針で進めていきます」と、一つずつ丁寧に説明します。治療の費用や回数についても包み隠さずお伝えしています。当たり前のことではありますが、納得して治療を受けてもらえるよう、患者さんとのコミュニケーションの時間をしっかり取るようにしていますね。
子どもの受診について知ってもらいたいことがあれば、お聞かせください。
歯が生え始める生後半年くらいから、歯科医院に通ってほしいと考えています。よくわからないながらも雰囲気や音を感じ、少しずつ慣れていけば、もし虫歯になってもスムーズに治療に入ることができるはずです。歯が生えていく最中は歯と歯の間も見やすいので、乳歯が生えそろう3歳頃までに一度来ていただき、継続してお口の管理をお手伝いできるようにしたいですね。加えて、一番大切なのは毎日の歯磨きだと考えているので、徹底的にブラッシング指導を実施しています。一方的に言うのではなく「どうやって磨けば良いと思いますか?」「何分くらい磨いていますか?」など、必ず質問を交えながら指導しています。理解を深めてもらい、しっかりと実践できるようになるまで繰り返し伝えることを重視しています。お子さん連れの方は仕上げ磨きがメインになるので、わからないことはどんどん質問していただきたいですね。
歯科医療の大切さは、どのようなところにあるとお考えですか?

歯を治療すれば終わり、痛くなければ大丈夫、と思っている方がまだまだ多いと感じています。進行してしまうと治療回数が増え、内容も大がかりになってしまうので、まずは予防が重要です。また、一度削ってしまうと歯は再生しないので、最小限に食い止めるためにはこまめな検診が必要です。歯科医院は歯の治療を行う所ですが、例えば噛むことが認知症に関係していることや、歯周病菌が体の病気の原因になるなど、歯の健康は全身の健康と密接に関わっています。患者さんにもっと知ってもらいたいと長年思っていて、現在注力しているのがブログやSNSでの情報発信です。実は文章を書くことには苦手意識があるのですが……。記事を見た方に少しでも意識していただき、受診のきっかけになればと思っています。
口腔ケアを探求し、一歩先までサポートする診療を
歯科医師をめざした理由について教えてください。

父が歯科医師で、その背中を見てきたことが大きいと思います。実家とクリニックが同じ建物の中にあったので、小さい頃から父の職場で遊んでいましたし、仕事をする姿を見て面白そうだなと感じ、自然とめざすようになりました。また、いわゆるおばあちゃんっ子で、昔から「大きくなったら歯を治療してほしい」と祖母に頼まれていたんです。これからますます高齢化が進むといわれているので、祖母だけでなく高齢者の歯科治療の必要性が高まるのではないか、という考えもありました。大阪歯科大学を卒業後は、高齢者歯科を学ぶため大阪歯科大学大学院へ進みました。
東京でも学ばれていらっしゃったのですね。
大学院では入れ歯のことをメインに勉強してきましたが、入れ歯による摂食嚥下、つまり噛んだものを飲み込むことについて学び、自分をもっと成長させるため東京に行きました。摂食嚥下リハビリテーションに力を入れられている先生がいますので、都内の歯科医院で働きながら東京医科歯科大学(現・東京科学大学)に通いました。摂食嚥下リハビリテーションとは、食べ物を飲み込むための訓練を行うものです。食事の姿勢が影響することもあれば、体の状態や持病、生活環境などさまざまな原因が考えられるため、探りながらケアしていきます。高齢の方の診療を行う中で、ただ削る、詰める、入れ歯を作る、だけでなく、さらにもう一歩先までサポートできる力が備わったと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

一生、ご自身の歯で食事をする喜びを味わっていただきたいという思いで、診療にあたっています。歯から人を笑顔にできるのが歯科医師の役割であり、楽しみでもあります。丁寧にコミュニケーションを重ねながら、一人ひとりに合った治療プランを立てていきます。ぜひ、当院で大切な歯を守るお手伝いをさせてください。