高木 誠 院長の独自取材記事
コスギコモンズクリニック
(川崎市中原区/武蔵小杉駅)
最終更新日:2025/03/31

超高層住宅と充実した商業施設、多摩川の自然に恵まれた川崎市中原区。その中心となる武蔵小杉駅近くに「コスギコモンズクリニック」を開院した高木誠院長。日本呼吸器学会呼吸器専門医および日本内科学会総合内科専門医として、喘息をはじめとする呼吸器疾患の診療に力を入れるとともに、脳神経外科や循環器内科を専門とする医師を招聘し、多様な診療に対応する。救急科での経験を生かし全身用CTなど検査機器も導入。「専門性を生かした診療はもちろんですが、地域の一次医療施設として、病気の早期発見、早期治療も重視しています」と話す。開院から5年を経て地域にも浸透してきた同院。子育て世代や働く世代が多い地域にあって、診療時間に配慮しウェブ予約やオンライン診療を導入するなど、受診しやすいクリニックをめざす高木院長に話を聞いた。
(取材日2024年11月19日)
喘息など呼吸器の専門医療とプライマリケアに取り組む
まずはクリニックについてご紹介ください。

当院は2019年に開院しました。内科と呼吸器内科を専門とする私に加え、総合診療、脳神経外科、循環器内科など専門の異なる医師が在籍しており、連携しながら診療を行っています。水曜日と土曜日の午前は二診制で対応しています。患者さんは20代から40代の働く世代の方が多いのも特徴です。かかりつけ医ですから、風邪症状や胃痛、腹痛、あるいは、高血圧症や糖尿病といった生活習慣病など、内科疾患全般に幅広く対応していますが、多いのは喘息や気管支炎など呼吸器の病気の患者さんですね。また、全身用CTを備えているので、小児や中高生ぐらいのお子さんが転んで頭を打ったなど頭部打撲での受診もあります。頭部打撲なら必ずCT検査というわけではありませんが、必要だと判断した場合は当院で検査しています。
院長の専門である呼吸器内科診療の特徴を教えてください。
特に注力しているのは、喘息の治療です。子どもから大人まで幅広い年齢層の方がいらっしゃいます。また、最近は、風邪などをきっかけに始まった咳が3週間以上続くというような、咳喘息が目立ちます。ゼーゼーといった息苦しさはありませんが、放っておくと気管支喘息に移行することが多いので注意が必要です。また、従来の吸入ステロイド薬や気管支を広げるための薬を使用してもコントロールが難しい患者さんに対しては、生物学的製剤という注射剤での治療も行っています。喘息に関しては、喘息治療の専門家として入院以外の診療にはほぼ対応できるように体制を整えています。
生物学的製剤とはどのような薬でしょうか。

生物が作るタンパク質などを利用して作られた薬です。喘息が起こるメカニズムには多くの物質が複雑に関与しており、生物学的製剤はその中の特定の物質の働きだけをブロックして症状の進行抑制を図ることで、喘息の症状を全般的に抑制させることが目的です。寛解や治癒をめざすことも期待できます。現在、承認されている5製剤のうち4製剤を導入しており、費用や投与間隔、自己注射の可否などを見極めて患者さんに適したものを選択しています。新しい治療ですから、患者さんにはよく説明して納得されてから治療を行うのはもちろん、薬が合っていない時にはすぐに中止するなど、細かく配慮しながら治療を行っています。
全身用CTも導入し、脳神経外科や循環器内科にも対応
CTをはじめ多彩な検査機器がそろっているそうですね。

はい。救命救急の現場に携わった経験を生かそうと、小さな病変も見逃すことなく確認できる検査体制の整備に力を入れ、開院当初から全身用CT、エコー検査機器、内視鏡、デジタルエックス線撮影機、感染症診断装置などを導入しています。全身用CTは1.25ミリ幅の断層画像の撮影が可能で、脳や肺、腹部の小さな病変まで確認できます。例えば、咳や痰、胸痛、息苦しさなどの症状がある場合はまず胸部エックス線検査を行い、異常が見つかった場合は、より精度の高い胸部CT検査をお勧めしています。喘息の患者さんに多い副鼻腔炎もCT検査が有用です。当院では、患者さんが了承されればすぐにCT検査を行い、結果説明まで1時間ほどで終えることも可能です。検査のために他の医療機関を受診する必要もなく、結果もその日のうちにわかりますので、不安な気持ちを翌日に持ち越さずに済むのはメリットだと思います。
脳神経外科ではどのような診療を行っているのですか。
主に、頭痛やめまい、体のしびれや痛み、転んで頭を打ったなどの頭部打撲といった症状を診察しています。特に、頭痛に悩まされている方が多いですね。頭痛の治療は近年、飛躍的に進化していて、片頭痛に関しては発作予防の目的で使用できる注射薬が2021年に登場しました。この注射薬は脳神経内科や脳神経外科など、頭痛を専門とする医師が処方できる薬であり、処方できる施設が限られていますが、当院は脳神経外科専門の医師が診療していますので処方が可能です。片頭痛は女性に多い病気です。当院には女性の医師が在籍していますので、悩みを相談しやすいのではないかと思います。つらい痛みを我慢しながら生活している方は、ぜひ受診していただきたいですね。
その他、力を入れている領域はありますか。

地域のニーズの高い診療に積極的に取り組みたいと考えており、川崎市の健康診断や予防接種、花粉症の舌下免疫療法、睡眠時無呼吸症候群などの診療にも対応しています。睡眠時無呼吸症候群は睡眠時に無呼吸状態が繰り返される病気で、夜よく眠れないために昼間の大事な会議で眠くなる、車の運転中に眠気が来るといった症状が現れます。日常生活に支障を来すだけでなく、将来的には、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが高まると考えられています。睡眠時のいびきや日中の強い眠気などの兆候があれば、検査をお勧めします。当院では循環器内科医師による心エコー検査も行えますし、他の専門性を持つ先生方と連携しながら、病気の早期発見に努めたいと思っています。
多忙な働き世代や子ども連れも受診しやすいよう配慮
先生はどうして呼吸器内科医師を志されたのですか。

呼吸器内科を専攻したきっかけは、当時の上司からの勧めです。当初は体全体をトータルに診療できる医師になりたという思いから小児科を志望していましたが、呼吸器内科はとても奥の深い分野だったのです。その後、呼吸器内科で4年を過ごし、そろそろ他の科も経験したいと思った際に、救急科ならば全身をオールマイティーに診療できると考えて、信州大学医学部附属病院の高度救命救急センターに入職しました。救命救急では素早く全身を診て迅速に処置することが求められてきましたから、それらの経験を当院の診療にしっかり生かしたいと思っています。
診療でする上で、どのようなことを大切にされていますか。
患者さんに病気の原因や治療内容をしっかりとわかりやすく説明することです。患者さんの理解が深まるよう、診察室の卓上に大型で高精細なモニターを備え、詳細なエックス線画像などを患者さんにも見てもらいながら、疾患部分がどのようになっているのかを説明しています。また、当院ではスマホなどからのウェブ診療予約も導入しています。ウェブ上で問診票に記入してもらうこともでき、そこに「原因の詳細な説明を希望するかどうか」という項目も設けています。ウェブ予約・ウェブ問診票は、患者さんの待ち時間を減らすことや、院内の滞在時間を短くして感染症のリスクを減らす目的で導入しました。もちろん、ウェブ予約なしの急患にも対応しています。子育て世代や働き世代が多い地域ですから、多忙な人も受けやすいクリニックでありたいと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私の専門は呼吸器内科ですが、日本内科学会総合内科専門医でもあります。脳神経外科や循環器内科を専門とする医師も在籍する地域に密着したクリニックとして、幅広い患者さんに対応していくのが当院の務めです。患者さん一人ひとりのニーズにしっかりとお応えすることで不安な気持ちを払拭し、寄り添う立場でともに病気に立ち向かっていきたいと思っています。なんでも気兼ねなくご相談ください。また、当院は喘息の治療に力を入れています。喘息では治療を中断される方も少なくないのですが、放置すると将来、COPD(慢性閉塞性肺疾患)のように呼吸機能が低下することもあります。当院は、お子さんや忙しい方も治療が続けやすいような診療体制を心がけています。川崎市は喘息患者に対する医療費助成制度を導入していますし、咳や喘息でお困りの方はぜひ当院にご相談いただきたいと思っています。
自由診療費用の目安
自由診療とはCT/各部位1万5000円
上部消化管内視鏡/1万1500円
腹部エコー/6000円