釜谷 直人 院長、釜谷 明美 副院長の独自取材記事
かまたにクリニック
(みよし市/豊明駅)
最終更新日:2021/10/12
2019年6月に開業した「かまたにクリニック」は、みよし市の県道54号線沿い、田畑が広がる見通し良い場所にある。内科・糖尿病内科・内分泌内科・消化器内科・小児科を標榜し、釜谷直人院長と釜谷明美副院長それぞれが患者の話を丁寧に聞き取り、専門性を生かした診療を提供している。釜谷院長と明美副院長は、子どもの頃から医師をめざし、経験を積み開業した。「患者さんとはなんでも言い合える関係を築きたい。どれだけ時代が進んでもAIにはできない心の通った医療がしたい」と話す院長の隣で、うんうんとうなずいていた副院長の姿が印象的。診療への熱い想いと医師としての冷静な視点を持つ2人に、その思いの丈をたっぷり語ってもらった。
(取材日2019年12月5日)
自分たちを支えてくれた町で、心の通う医療をめざして
開業したばかりですが、駐車場も広く、建物の中も広々としていますね。
【釜谷院長】院内はバリアフリーで待合室の天井も高くとっているため広々と感じていただけると思うのですが、その分、冬は寒さを感じるので、待っている患者さんに寒い思いをしてほしくないと床暖房を取り入れました。お父さんがお子さんを連れて来院されることが増えています。私たちも今子育て中なので、男性用トイレにもベビーチェアを設置しました。
【明美副院長】うちにも幼い子がいるのですが、赤ちゃんを抱いていると、雨の日に車から降りる際も傘をさすことができませんよね。そういった経験から、玄関の庇を大きくしてもらいました。細かいことですが、子育て世代も高齢者も気持ち良く来院していただけるようなクリニックづくりを心がけました。
どうしてこの場所に開業しようと思われたのですか?
【釜谷院長】結婚した頃、私は豊田厚生病院に、副院長は藤田保健衛生大学病院(現・藤田医科大学病院)にそれぞれ勤務しており、互いの職場の中間地点のみよし市で新婚生活をスタートしました。新参者の私たちにも、地域の方々はとても良くしてくれて、第2の故郷になりました。開業場所を決めるにあたっては、人とのつながりを重視していたので、温かい人が多いこの地域で患者さんと良い関係を築きたいと思い、自らこの場所を選びました。夫婦ともどもたいへんご縁を感じています。
【明美副院長】わが子に親しく声をかけてくれたり、引っ越すことになった時にも「また戻って来てね」と言ってもらったり、良い思い出ばかりです。ここで過ごした5年間は、子どもが生まれ、育ち、地域の方々に支えられ、医師としても多くを学び自分も成長した時期でもありましたね。
医師になろうと思ったきっかけを教えてください。
【釜谷院長】小学生の頃に医学に興味があったというのが、きっかけですね。幼稚園に通っていた頃なりたかったのは野球選手でしたが、小学校高学年には、専門職に進み、人に役に立つ仕事に就きたいという思いが強くなり医師をめざしました。
【明美副院長】幼い頃、家族が病気がちだったので、病院へ行く機会も多くありました。医師は病気を治し、周りの人から尊敬される職業と感じ憧れていましたし、私も家族の病気を治してあげたいと思っていました。知識があれば病気を予防したり、早期発見のために情報提供できます。医師になってからも病気で苦しまないようにどうしたらいいかを常に考えていますね。院長もですが、実家が病院だからとか誰かになりなさいと言われたわけでなく、自分たちで選択し目標を持って医師をめざしました。
先進の検査機器を導入し、その日のうちに結果を伝える
院長のご専門である糖尿病・甲状腺疾患について教えてください。
【釜谷院長】糖尿病は自覚症状がないうちに発症していることも多くあり、「治る」ということがなく、長く治療を続けることが大事なので、専門的知識を一方的に押しつけるのではなく、患者さんとしっかりと向き合いながら治療を進めることが重要だと思っています。甲状腺疾患は妊娠・出産に大きく関わる疾患で若い女性の罹患率も高く、当院の患者さんも17歳から79歳まで幅広いです。誰もがなり得る病気にもかかわらず、発見しづらい病気でもあります。やる気が出ないとか動悸がするなど症状も全身的なので、他科では疲労が原因だとか、精神疾患だと言われてしまうこともあります。不妊治療中や妊娠中の方は、より専門的な知識を要しますので、これまでの経験をもとに正確な診断をしていきたいと思います。
副院長は消化器内科がご専門ですが、どんな診療をされていますか?
【明美副院長】子どもの頃には私の家族の、勤務医時代には担当する患者さんたちのつらい様子を多く見てきたので、高度な医療が必要となる大病にならないよう、予防や指導をしていきたいという気持ちが強いですね。特に消化器疾患は、内視鏡検査やピロリ菌検査で、病気の原因となる芽を摘むことができます。内視鏡の経験も多く積んできましたので、鼻から挿入する経鼻内視鏡の技術も自信があります。患者さんの症状を聞きながら原因を突き止めて、持てる技術を生かし、必要最小限の薬で治していきたいですね。
予防や早期発見を重視しているからこそ、検査機器にこだわっておられるのですね。
【明美副院長】経鼻内視鏡も精度や画像の質にこだわりましたし、糖尿病や甲状腺の検査についても大病院レベルの機器をそろえました。その日のうちにほとんどの検査結果が出るので、遠方から来院される方にとっても負担は少ないと思います。また、ピロリ菌は胃がんのリスク因子の一つなので、除菌することで胃がんの予防につながりますが、保険適用となる2回の除菌でも菌を取りきれないケースもあります。「これまで何回も除菌してもだめだった。なんとか除菌してほしい」とおっしゃる患者さんのご相談にも乗っています。医師からの一方通行ではなく、患者さんとの意思疎通がしっかりできれば、きちんと結果につながると考えています。
医師と患者がなんでも言い合える関係を築いていきたい
診療する上でどんなことを大切にしていますか?
【釜谷院長】一方的な治療はしたくないという考えがベースにあり、そのためには患者さんの話を丁寧に聞いてなんでも言い合える関係を築きたいと思っています。医師としては、こうあるべきという治療をする必要がありますが、私が患者さんの立場ならばそれを一方的に押しつけられたくはないなと思います。特に糖尿病や甲状腺疾患は継続治療が必要なので、「あれはダメ、これもダメ」と言われたら、たとえそれが正論であっても、「まずは1つだけ頑張ってみましょう」と言われるほうが治療に前向きになれますよね。可能な限り患者さんの話に耳を傾け、「動悸がする」と言われれば、「心臓病かもしくは甲状腺、いやもしかしたら脱水症状かもしれない」などと、いろいろ可能性を考えます。総合的な広い視野を持ち、その上で専門知識を生かしていきたいですね。
患者自身がどうしてほしいかをきちんと伝えたほうが、先生としても診療がスムーズに進むのでしょうか?
【明美副院長】そうですね。患者さんの求めるものはそれぞれで、検査をして原因を突き止めてほしいという方がおられる一方で、明日も仕事だから取り急ぎ薬が欲しいという方もいらっしゃいます。院長の「丁寧に話を聞く」ということと重なりますが、私も患者さんがどういう治療を望んでいるかを確認しながら治療法を選択していきたいです。要望や家庭の事情などがあれば、医師でもスタッフでもいいので、遠慮せずに伝えていただきたいですね。ただ、症状によってはどうしても検査を受けてほしい場合もあります。そういう場合は、医師として見過ごせない状況なので、「自分の家族だったらこの検査は受けてもらいたいです」と説得しています。
読者へのメッセージをお願いします。
【釜谷院長】糖尿病は今や国民病と言っても過言ではありません。また、甲状腺疾患はご高齢の方のみならず、10代から50代の女性にも多い病気です。ほてりや動悸で更年期だと診断され薬の効果がなかった人が実は甲状腺の病気だったケースや、不妊の原因として甲状腺が影響していたというケースもあります。便秘、下痢、やる気が起きない、イライラするなど、誰もが経験することが症状として挙げられ、自律神経の問題だと勘違いされることもあります。ほとんどの場合、採血検査で診断できますので、一度は受けてみることをお勧めします。患者さんの話を丁寧に聞いて診断していきますので、気軽にご相談ください。
自由診療費用の目安
自由診療とはピロリ菌の検査(尿素呼気試験)/6500円(すべて税込み価格)