橋本 奈津子 院長の独自取材記事
ちかこどもくりにっく
(大阪市福島区/新福島駅)
最終更新日:2025/04/18

福島駅より徒歩約5分。福島公園からほど近い「ちかこどもくりにっく」は、クリニックモールの3階にある。1階にはスーパーがあり、便利な立地だ。橋本奈津子院長は、開業前は一般小児科領域の診療だけでなく、小児神経系疾患や新生児診療、小児救急などの幅広い経験を積んできた。自身の子育て経験から学ぶことも多かったといい、子を持つ親としての引き出しの多さも、同院の強みだろう。同院のキーワードは「笑顔」だという橋本院長。「笑顔は病気を寄せつけない、笑顔は病気を遠ざける」と考えているそうだ。みんなで楽しく、気持ちが楽になってもらえる場所でありたいと温かい想いを持つ橋本院長に、開業までの経緯や診療内容など詳しく聞いた。
(取材日2025年2月27日)
子育て経験を生かして患者にしっかり寄り添いたい
「ちかこどもくりにっく」として約5年になりますが、この地に開業されようと思ったのはなぜですか?

JCHO大阪病院(旧・大阪厚生年金病院)に勤務していたことがあり、このエリアの雰囲気がとても気に入りました。梅田駅から1駅のアクセスなのも決め手です。実家は群馬県の地方なので、地元の雰囲気に似ているので、過ごしやすくて落ち着きます。クリニック名は長女の名前からつけました。長女はマイペースで何事にも動じない性格なんです。そんなふうにできたらいいなと思うこともあるくらいです。クリニックのロゴマークは長男が3歳の時に書いたものです。保育園で「自分の大切な人を描こう」というテーマで、「ママを描いた」と教えてくれました。ワクチン接種後、患者さんに渡すシールに採用したイラストでもあります。実は最初は「なつこ小児科・アレルギー科」として開業したのですが、体調を崩して休業し、ほどなく新型コロナウイルスが流行したため、再出発となりました。おかげさまで今はすっかり元気です。
開業までのご経歴などを教えていただけますか?
てんかんなど小児神経系が専門です。大阪大学医学部附属病院に勤務し、広く一般小児科を診たいと思い、一般クリニックで勤務しました。ちょうど自分も子どもを持った時期で、価値・環境の変化もあり楽しくやりがいもありました。子育ては子どもによってそれぞれ違いますし、かかる病気もいろいろです。子育てするたびに「何人子どもを産んでも、お母さんは若葉マークの初心者みたいになるんだ、大変だ」と実感しました。地元ではやっている病気なども母親目線で診ていけるよう、自分の柱が地域医療にシフトしていきました。その後、勤務した産婦人科のクリニックは分娩数も多く、乳児診療を経験したのは医師としての幅を広げるためにも良かったと思います。新生児もやはり、それぞれ違いいろいろありますが、小児科の中でも特に注意が必要な面がありますね。中にはちょっとしたケアが必要なケースもあり、予測を立てて対応する経験を積みました。
開業しようと思われたのはなぜですか?

家族の理解、特に夫が全面的にバックアップしてくれたことです。夫は医療系の仕事ではありませんが、開業したいという私の想いを理解し、尊重してくれました。勤務医時代も充実していましたが、それぞれの病院の診療方針があるので、自分がしたくてもできないことも出てきます。開業前に勤務した産婦人科の病院は、小児科の一般外来がありませんでしたが、JCHO大阪病院・その他の救急病院で小児救急を長年経験してきました。しかし救急では患者さんの経過が追えなかったので、その後どうなったか気になることもあったのでそうしたこともあり開業を決めました。
「気持ちを楽にしてもらえる場所」でありたい
対象年齢や、多い疾患などについて教えてください。

小さいお子さんが中心ですが、新生児から高校生まで診ています。ワクチンの接種や、健診や子育ての相談、咳鼻水などの風邪、嘔吐下痢などの症状で来院する方も多いです。定期的な通院では、アレルギー性疾患やアトピー性皮膚炎、喘息などです。何度か通ってくださるうちに、お子さんも親御さんもだんだん素を見せてくれるようになります。小児の発達についてご相談もあります。発達については性格なども関係していて、診断をつけたほうが良い場合とそうでない場合があります。診断がゴールではなく、ケアや対応の仕方でも変わってきますから。相談することで気を楽にしてもらえたらうれしいです。ただ、当クリニックでは検査を行っていません。ご希望の方や専門家につなげたほうが良いと思われる場合は、近隣の専門の医師や医療機関などに紹介しています。
クリニックの理念についてお聞かせください。
常日頃心がけめざしているのは「みんな笑顔がいい」ということです。患者さんも保護者の方も、スタッフ・私も、みんなで楽しくです。「笑顔がある所には笑顔が近寄ってくる」「笑顔が消えかけている人には笑顔をお裾分けしたい」と考えています。保護者の方が心配しすぎてしまうと、なかなか良いほうに向かうことが難しいと思うんです。検査結果が陽性となって心配になる気持ちや、「大丈夫」と言ってもなかなか不安が解消されない気持ちはわかりますが、当院では笑顔の連鎖を大切にしています。スタッフ一人ひとりの笑顔が広がり、患者さんにも自然と笑顔が生まれる。そんな空間をめざしています。ここに来ると気持ちが楽になる。そんな場所であり続けたいです。
クリニックのアピールポイントについて、改めてお聞かせください。

子育ては、子どもによって、そして兄弟姉妹がいてもそれぞれ違います。私もマイペースな長女、発達を心配した次女などに対していろいろ試行錯誤した経験があります。同じ環境で育ったのにアレルギー性疾患のある子とない子がいることも経験しました。それぞれ年齢が上がると、年齢ごとで悩みやうれしいことが出てくるんだ、ということもあります。私自身の実体験からお伝えできることはたくさんあることが強みかなと思います。
日々の診療で大切にされていることは何ですか?
小児科なので、患者さんは子どもです。診察室ではお子さんを中心として話すことを意識します。答えられる年齢なら直接話しかけ、話を聞きます。もっと小さいお子さんには、「苦しそうだね」「鼻が詰まっているね」「つらいね」など、まず本人に話しかけ、それから保護者の方へ、という流れです。診察室では親子のスキンシップや会話の様子もわかるので、関係が良好か、赤ちゃんがお母さんのことを信頼しているかなども見ています。親御さんの口調や、どこの調子が悪いのか、前回と違う点や、兄弟関係なども同様です。そうしたことを理解しながら、きめこまやかな対応を心がけています。兄弟の子育てだと、誰かが突然体調が悪くなったりすると、保育園や幼稚園のお迎えの順番など、予定していたことに狂いが生じてしまうことがあります。私も何度も経験しているのでその大変さがわかります。
小さな不安や疑問、悩みなども気軽に相談してほしい
いろいろな柄の壁紙やインテリア小物など、院内はどこもかわいらしく明るい雰囲気ですね。

大人でもくつろげる空間にしたかったので、テレビで動画は流さず、音楽はジャズにして小児科っぽさをなくしました。受付のカウンター下の丸い小窓には季節を感じる装いの人形を置いていて。お子さんや大人が椅子に座った時に見える位置にしました。入り口すぐの壁にある絵は、私の子どもが描いた絵です。院内設備は子ども連れの親御さんが使いやすいよう工夫をしました。靴も履き替えていただくのでお子さんが床に座っても汚れる心配はありません。入り口近くにはベビーカーを置くスペースを用意し、トイレにはおむつ交換台も設置しています。絵本図鑑を置いてあるのでお子さんと会話する時間にしていただきたいです。
スタッフについて教えてください。
看護師3人と事務スタッフ2人で、それぞれ1~2人ずつ勤務しています。小児科での経験がある看護師もいます。診療室では私以外のスタッフに必ずついてもらい、時にはお子さんの遊び相手をお願いしています。臨機応変に対応できるスタッフばかりで、とても信頼しています。小さな疑問も解決できるよう、尽力してくれています。
読者の方へメッセージをお願いします。

小さなことでも気になることがあれば、気軽に来てほしいです。「病は気から」という言葉があるとおり気持ちは大事です。少しでも気持ちを軽くして、お子さんを見てあげてほしいです。スキンシップも大切で、おなかの具合の悪いお子さんのけがや病気に手を当てることが「手当」であり、薬でもあると考えています。心配なことがあれば何でも気軽に聞いてください。