八木 潤子 院長の独自取材記事
なかもず女性クリニックヤギ
(堺市北区/なかもず駅)
最終更新日:2024/11/15

南海高野線・中百舌鳥駅、大阪メトロ御堂筋線・なかもず駅の利用者でにぎわう駅前ロータリーで、青い看板がひときわ目立つのが「なかもず女性クリニックヤギ」だ。院長は市立堺病院(現・堺市立総合医療センター)で医長・副理事として20年近く勤務し、40年以上も女性の健康に関するさまざまな訴えに向き合ってきた八木潤子先生。2つの内診室、処置室、安静室、エックス線室などを備え、産婦人科、乳腺外科、内科の診療に加えて、がん検診や手術、不妊検査やタイミング療法などに幅広く対応している。取材では、「体のさまざまな悩みに対応できる女性のかかりつけ医でありたいんです」と話してくれた八木院長に、患者との向き合い方や診療への思い、検診の重要性などを幅広く聞いた。
(取材日2024年9月4日)
心と体に寄り添う、女性のためのかかりつけ医
医師をめざしたきっかけから現在までの歩みについてお聞かせください。

高校生くらいから「女性のための医療をしたい」と思っていて、医師を志しました。現在は「女性のための施設」であることをコンセプトにした当院の院長として、スタッフたちとともに日々診療に尽力しています。乳腺外科に力を入れるべくマンモグラフィの機械を導入し、子宮の頸部を拡大鏡で観察するコルポスコピー検査に対応しています。スタッフはみんな優しく、待ち時間があれば患者さんにしっかり声をかけるよう伝えています。何か気になることがあれば私でなくても気軽に話してもらえればうれしいですね。「若く元気に美しく、あなたらしい人生を過ごせるよう、最新の医療をもって心と体に寄り添う」をモットーに、クリニック全体で女性が受診しやすい環境づくりに努めています。
婦人科領域にとどまらない診療内容も、クリニックの特徴ですね。
はい。婦人科だから婦人科の臓器だけということはなく、さまざまな体の悩みに対応できる女性のかかりつけ医でありたいと思っています。内科や乳腺外科も診ることができますし、生活習慣病や痔の治療なども行っていますよ。実際に、若い方から年配の方まで幅広い患者さんがいらっしゃいます。若い方ですと月経困難症やおりものの異常、性感染や膣炎などのご相談が多いですね。40代以降の方の場合、頻尿の症状が出てから更年期に入ると、子宮脱になるということもあります。相談に来てもらえれば、骨盤底筋体操や日頃の生活で工夫できることをお伝えし、子宮脱の際、ペッサリーなどの補助器具を用いた治療をしています。また、美容にも力を入れており、肌トラブルを改善させることを目的とした、IPL療法や医療脱毛も行っています。
これまでの医師生活の中で、大切にしている考えや心に残っている出来事はありますか?

やはり医師である私は病気を治したいと思っています。それには早期発見と早期治療が重要です。がんを早期発見できた場合は、治療後5年から10年の通院をしなくていい場合があります。早くに治療ができると患者さんがとても喜んでくださるので、私もうれしいです。私は患者さんのことを考え、場合によっては治療する際に少し強く伝えるようにしています。理由としては、過去の勤務経験の中での心残りがあります。強く言わなかったことで症状が悪化してしまった患者さんがいました。「放っておいたら進行するから必ず来てほしい」と伝えていたのですが、患者さんは症状を重く受け取っておらず受診が遅くなり、症状が悪化してしまった経験があります。あの時に患者さんにしっかりと言っていれば、という後悔から私はあえて患者さんに粘り強く説明しています。心から良くなってほしいという思いから伝えていることをご理解いただけたらうれしいです。
がん検診や特定健診、婦人科検診で定期的なチェックを
患者さんと接する際に心がけていることはありますか?

忙しさから心身に不調を来している人が多いので、できるだけその人に合った治療を提案するようにしています。医療を提供する側が一番良いと思っていても、患者さん側の気持ちが追いつかないこともありますので、時間をかけてお話ししていきたいと思っています。医師と患者という感覚ではなく、自分の娘のように接するときや、お友達のような感じで迎えることもあります。また、患者さんの気持ちに寄り添いながらですが、伝えるべきことはきちんと伝えるようにしています。患者さんには、自分の体を大切にして、心と体を休めてほしいですね。
婦人科への受診自体をためらってしまう人もいます。
クリニックに行きづらいという方は、検診を活用してもらえればと思います。とにかく早期発見、早期治療が重要ですので、40~50歳くらいの方は特定健診を受診していただきたいですね。当院は、堺市で実施している子宮がん・乳がん・大腸がん・肺がん・胃がんリスク検診に対応しているクリニックです。そのほか、ブライダルチェック、骨密度検査など、患者さんの年齢に合わせた検査もお勧めしています。10~40代の方は子宮内膜症や子宮がん、更年期以降は尿漏れ、尿失禁、子宮脱、外陰部痛などに悩まされるケースも少なくありません。肺がんも女性に多いとされており、胸部エックス線撮影装置を導入しました。乳がんについては30代後半から増えはじめ、40代後半から70代までピークが続くということが特徴のがんです。そういったリスクを軽減するためにも、気軽に受診していただけたらと思います。
乳がん検診においては、新しい検査方法がないか注目されているそうですね。

これまで、乳がん検診ではエックス線を使ったマンモグラフィや超音波検査が用いられてきました。しかし、骨以外の組織を画像化する際のコントラストに改善の余地があること、40歳未満に多い高濃度乳房に対する診断が難しいこと、さらには検査の際に痛みや被ばくがあることなどが課題となっています。また超音波検査においては、痛みや被ばくがなく体への負担が少ない一方で、早期乳がんに対する有用性は十分ではないともいわれてきました。そのため、これらの改善の余地がある点を満たせるような新しい乳がん検診の開発に注目し、その研究にも参加しています。
女性の人生に一生寄り添える存在でありたい
「さよなら月経痛」というコンセプトで月経痛の診療にも力を入れておられるそうですね。

女性の生き方が変わり、病気との付き合い方も変わってきました。以前から放置されがちだった月経痛ですが、今は女性も社会参画する時代ですので、月経痛に対しては、治療を行っています。近年では、10代の月経痛が子宮内膜症の初期症状かもしれないといわれ始めているからです。子宮内膜症はやっかいな病気で、軽症でも若い年齢で不妊症になる場合もありますし、ホルモンが作用している間は再発の可能性もあります。手術が最終治療なわけでもなく、卵巣が腫れてきたら、卵巣がんになるリスクもあります。こういったリスクも考えられるならば、月経痛を我慢している場合ではありませんよね。世間ではまだ月経痛は病気とは捉えられていませんが、月経困難症の治療は健康保険が適用される病気です。中高生の頃から、ぜひそういったことを知ってもらいたいです。
性教育についてはどのようにお考えですか?
昔と変わったなと感じるのは、お子さんたち自身がインターネットなどを利用して体の変化や月経痛、治療方法などを調べるようになったということです。逆にお子さんの親世代の知識は古いままで、アップデートされていないケースも多いです。例えば月経困難症に対して低用量ピルを処方するという流れになった時、お子さんは治療方法に納得しているのに、お母さんの理解が追いついておらず困惑するということも多々あります。決して親世代が悪いというわけではなく、教育を受けてこなかっただけだと思いますので、今後性教育は親世代にもきちんと行う必要があると感じています。親子一緒に正しい情報を受け取ってほしいので、今後はそういった活動にも力を入れていきたいですね。
読者へのメッセージをお願いします。

女性の健康には、心と体の両方が密接に関係しています。体の不調だけでなく、気持ちが上がらないときなども含め、「ちょっとおかしいな」と感じたら、ぜひ当院にいらしてください。女性には、いつまでも若く元気で、美しくあってほしいと考えていますので、病気の治療以外にも、その人らしく輝ける人生を送れるように、精いっぱいお手伝いをしていきたいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはブライダルチェック/2万円~、IPL療法/1万5000円~、医療脱毛/3000円~