高橋 康ー 院長の独自取材記事
高山泌尿器科月の浦クリニック
(大野城市/春日原駅)
最終更新日:2021/10/12

西鉄バス・月の浦県営住宅前停留所から徒歩4分。緑豊かな大野城市月の浦にある「高山泌尿器科月の浦クリニック」。筑紫野市にある高山病院の分院として開業したクリニックだ。白を基調にした院内は、明るく清潔感にあふれている。院長の高橋康一先生は、大学病院や総合病院で長年研鑽を積んできた泌尿器科のスペシャリスト。15年に及ぶ救急医療経験を持ち、さまざまな手術にも携わってきた。性別、年齢を問わず、幅広い診療に対応している。こちらの質問に対して真摯に答える姿から、一人ひとりの患者と誠心誠意を持って向き合う姿勢がうかがえる。優しい笑顔が印象的な高橋院長に、診療にかける思いや日々の診察で心がけていることなどをたっぷりと語ってもらった。
(取材日2021年4月17日)
めざすのは、患者と長く深く関われるクリニック
こちらは高山病院の分院だそうですね。

筑紫野市にある「高山病院」の分院として2018年に開業しました。この辺りは住宅街で、近くには大型ショッピングモールもあり、人口が増えている地域ですが、泌尿器科のクリニックは意外と少ないんです。泌尿器や排尿関係でお困りの方に気軽に来ていただきたいという思いから、この場所を選びました。小さなクリニックではありますが、本院と連携しながら幅広い診療に対応しています。私自身も本院での治療や手術に加わりますので、ご安心いただければと思います。また、女性の場合、泌尿器科は敷居が高い、恥ずかしいというイメージをお持ちの方も多いでしょう。そこで当院では、火曜と木曜に女性医師による女性泌尿器科診療を行っています。地域に根差したクリニックとして、皆さんの健康を支えることが一番の目標です。
これまでのご経歴と院長になられた経緯を教えてください。
九州大学を卒業後、九州大学の医局員として15年、産業医科大学に5年間勤務しました。専門は尿路感染症で、ベルギー、ブリュッセルでの研究留学も経験しています。その後、救急病院にただ1人の泌尿器科の医師として赴任。シビアな状況にある患者さんの緊急処置や手術を行ってきました。そこで15年ほど研鑽を積み、定年が近づいた時に、本院の高山理事長にお声がけいただいたのが、分院長に就任したきっかけです。私は昔から外来の患者さんを診ることが大好きでしたから、とてもありがたいお話でした。それと同時に、診断から治療まで患者さんと深く関われることに、大きな責任とともにやりがいを感じています。地域のかかりつけとして、患者さんと末永くお付き合いをしていきたいです。
どのような患者さんが多くいらっしゃいますか?

小さなお子さんからご高齢の方まで幅広く来てくださっています。男女比は半々くらいです。お子さんの夜尿症(おねしょ)のご相談に来られる親御さんもたくさんいらっしゃいます。若い男性の場合は性感染症、ご高齢の方は前立腺肥大や、前立腺がん、過活動膀胱などが多いですね。尿路結石は年齢を問わず多く見られる症状です。女性の方ですと、間質性膀胱炎、膀胱や子宮、直腸などの臓器が膣に落ち込む骨盤臓器脱などでしょうか。開業するまではどの病態でも早期の方の治療が中心だと思っていたのですが、かなり進行してからおみえになる方が意外と多いのには驚きました。それだけ皆さん我慢されているんですね。このようなケースでも、本院に速やかに連絡して適切な対応ができるのが私どもの強みです。
患者と真摯に向き合い、妥協せずに最善を尽くす
診療ポリシーを教えてください。

患者さんの話にしっかり耳を傾けて、体に触れる診療を行うことを大切にしています。とりあえず薬を出して「様子を見ましょう」といった治療はしたくありません。納得できないことはとことん追究します。まずは患者さんに症状や病歴などを詳しく聞く、そして診察、さらにさまざまな検査を行うことで、候補となる病名を絞り込み、正確な診断につなげるよう努めます。大事なのは先入観を持たないこと。どんな患者さんを診るときも、必ずしも泌尿器科の病気とは限らないという視点を持つことを大切にしています。確実な診断を下すことで、泌尿器科以外の病気についても早期発見、早期治療に導きたいと考えています。
こちらではどのような検査を行うのでしょう。
泌尿器科というと「痛い検査をされる」といったイメージをお持ちの方も多いようですが、そんなことはありません。皆さんの訴えに応じた検査をします。まず、検尿が基本です。一般的に女性の方は、その後に簡単な診察を行い、問題がなければ内服薬治療を行います。男性の方やご高齢の方で検尿異常が認められない場合、エコーやエックス線など負担の少ない検査を加え、さらに熱がある方は血液検査をして診断します。いきなりつらい検査をするわけではないのでご安心ください。もし膀胱がんなどの病気が疑われる場合は、後日、CT検査や内視鏡検査を受けていただくこともあります。内視鏡検査では尿道から内視鏡を挿入しますが、できるだけ痛みを軽減できるよう、細くやわらかい素材を用いています。
お子さんの夜尿症の治療はどのように進めるのですか?

まずはお話を伺って、検尿や診察、必要があれば腎臓や膀胱のエコー検査を行い、尿路に先天的な異常がないかどうかを調べます。大きな問題がなければ、お子さん本人に排尿記録をつけてもらいます。水分摂取量やおしっこの量、おもらしの有無など、簡単な記録を通して、排尿の意識づけをさせることが狙いです。その上で、夜の尿量を減らすためのお薬をお出しします。多くのお子さんはこれらの治療で改善に向かっていきますが、薬のおかげとは言いません。「自分の力で治して偉いね」と声をかけるようにしています。夜尿症を克服するには、お子さんの自信と自立心を養うことが大切です。ご両親にもできた時だけ褒めてあげて、後はそっと見守ってあげてくださいとお願いしています。
礼節を重んじ、敬意を持って患者と接する
最近は、尿漏れで悩まれている女性も多いのですよね。

平均寿命が延びた分だけ、筋肉の衰えによる尿漏れや頻尿などの尿トラブルは確かに増えていると思います。しかし、もともと女性の体は、男性に比べて尿漏れしやすい構造です。今までは症状があっても恥ずかしくて誰にも言えなかったのが、マスコミなどで取り上げられるようになったことで、ようやく尿漏れという病気が市民権を得て、受診される方が増えたというのが実際のところではないでしょうか。それでもまだ泌尿器科は行きにくいとためらっている方は多いかもしれませんが、一人で悩まないでご相談いただきたいです。当院ではお薬の治療のほかに、尿漏れの予防として骨盤底筋運動の指導を行っています。治療や手術に抵抗のある方は、ぜひ一度お試しください。
患者さんと接する際にどのようなことを心がけていますか?
いつも意識しているのは、患者さんをリスペクトすることです。皆さんに平等に接し、よほど親しい間柄にならない限りは丁寧語で話すようにしています。もちろんお子さんには安心してもらえるような話し方をしていますが、そこまで大きく変えるわけではありません。ご高齢の方に対しても「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼びかけるのは失礼だと思っているので、お名前でお呼びします。私自身、患者や患者の家族の立場で病院を訪れることがありますが、そこでたくさんの気づきを得ることがあります。自分がされて嫌だったことは、患者さんにしてみても同じでしょう。その教訓を生かして、相手の立場に立った診療を行うことを大切にしています。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

症状があるのに我慢して悪化されている患者さんが多いのが気になります。もっと早く来ていただけるよう、皆さんの意識を高める啓発活動にも力を入れていきたいです。新型コロナウイルス感染症が流行する前は、健康教室を実施していたのですが、もう少し状況が落ち着いたら再開したいですね。皆さんにお伝えしたいのは、とにかく一人で悩まないでほしいということ。例えば、排尿時に痛みがあった、急に腰が痛くなった、血尿が出たなど、いつもと少しでも違うことがあれば、受診していただきたいです。また、男性である程度年齢を重ねた方は、前立腺がんを意識して、一度検査を受けられることをお勧めします。通いやすいクリニックを心がけていますので、ぜひお気軽にご相談ください。